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    kanamisaniwa

    pixivメインに二次創作(刀剣乱舞、ツイステ、グラブル、FGO等)やってます。超雑食でオリキャラ大好き病を患う腐女子です。ポイピクにはかきかけだったりネタだけの文章を投げたいです。

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    kanamisaniwa

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    ディルガイ

    ディルガイ転生もどき※カーンルイア≒Bloodborneのヤーナムイメージ。
    ※作中のガイア真体≒Bloodborneの聖職者の獣イメージ
    ※拙作ガイアは独白は重たいのに行動がアクティブなのでわりと周囲が見誤る男←

    『双子星の片割れの述懐』
    俺はもっとよく考えるべきだった。
    そうたとえば、なぜアビス教団の敵が魔物と同じ姿をしているのか、とか。


    『ガイア!!』
    『駄目だ空!』
    駆け寄ろうとした俺を掴んで止めたのはディルックだった。
    ……本当は、俺よりも、いや、誰よりもガイアに駆け寄りたかった筈なのに。
    そんな一瞬の躊躇の間になにもかもが取り返しのつかない方へと進んだ。
    ぼこぼこ、ばきばき、と。絶対に人体から出てはいけない音がガイアの身体から響く。
    骨がいびつに伸び皮膚が盛り上がりやがて人体は巨大な獣のような魔物へと変わった。

    『おぉあるるぅぅぅぅっ!!!!』

    巨大な魔物は人の声帯では絶対に発声できない叫び声をあげた。
    三メートルは優に越える体高、体表は白銀の毛で覆われ、四足の爪は立つだけで床の石畳を砕く鋭さ。
    もはやそこに俺達が知るガイアは居なかった。
    人智を越えた醜い獣が巨躯をさらしていた。
    ただ獣の左目、その青さだけが、僅かに彼の色を残しているだけ…でも、その目に理性はなくただ狂乱する野獣の殺意があるだけだった。
    これが、カーンルイアの罪の極致。
    ここからは後から知った話、行き過ぎた技術に溺れ、それを使う自分達を特別と傲り、なお足らずにもっともっと欲しがって…知らず知らずのうちに自身を魔物に変えた。さらにそれを“進化”だと信じて疑わず、国民に広めた。それがカーンルイアが犯した絶対的な罪だった。
    どうりで、神達が許さない筈だ。
    個性的すぎてお世辞にも協力が上手くない(最初にであった神がバルバトスだったせいもあるがイメージとして間違っていまい)神達が、文字通り力を会わせて国ごと葬った理由がやっとわかった。

    国ごと滅ぼされたカーンルイアの末裔達は、神を恨み、国を取り戻さんとなお罪を重ね続け…ガイアが生まれた。
    お前はカーンルイアの希望。彼の父親はガイアにそういったらしい。
    そして、これが、このおぞましい獣の姿こそが彼の言うところの"希望"だった。

    激戦だった。
    人であってもガイアは一流の剣士で氷使いで、とにかく強かったのに、獣になった彼は強いなんてものじゃなかった。
    ボキャブラリーが乏しい俺には他に表現のしようがないけれど…


    ガイアが示した場所から出てきたのは、小さいが濃い魔力を宿した鍵だった。

    『"姫様"ノ場所に繋がル鍵だ。チャんスは一度ダけ……くすネるのに、苦労しタ。無駄にシてくれルなヨ…』
    『俺のために…?』
    『約束しタろ親友…妹を探ス手伝いヲす…ガボッ…!!』

    『バーバラ!!』
    『駄目、傷口が大きすぎて手が回らない…!』
    『ガイア!人の姿に戻って!それなら…!』
    『は、ハは、無理言ウなヨ。こノ罪ノ形は不可逆ダ』


    【詩人が歌うフィナーレ】
    かくして勇者は仲間を失った。
    彼の兄の慟哭はなにもかもを切り裂かんばかりに響きわたった。






    『咎人の贖罪』

    璃月の端の端、神の守護が及ぶか及ばないかのギリギリの寂れた村に、俺達は生まれた。
    あとから聞いた話、黒髪黒目の典型的な璃月人の両親の間に生まれた筈なのに、青髪の俺と金髪の妹が双子で生まれて、取り上げた産婆はそりゃあ驚いたらしい。
    が、両親は逆に冷静だった。
    『たまたま私たちは璃月人の特徴が出ているだけで、祖先の血筋はわけがわからないくらいごちゃごちゃしている。ご先祖様の誰かの血が濃く出たんだろう』
    ある程度大きくなってから、いや、正直に言えば"ガイア"としての意識が戻ってからその話を聞いて、冷や汗を流せば良いのか感心すれば良いのかわからなかったのは内緒だ。

    友を仲間を…家族を裏切って、痛みと哀しみだけをばら蒔いて、自業自得で死んだ俺が、こんな風に生まれ変わるなんて信じられなかった。
    なにより、『にいちゃ、おにいちゃ!』と、したったらずに呼びながらとてとて俺を追いかける可愛い可愛い妹が、この世界の危機を救った双子星の片割れだと気づいた時の絶望は、筆舌に尽くしがたかった。
    守れなかったのだ。

    でも、だからこそ。
    妹には、"蛍"には必ず迎えが来る。彼女を心から愛する本当の兄が来てくれる。
    その時までは俺が守り抜くのだと決めた。


    『迷子の片割れ星の哀しみ』

    私は生まれたときから、同じ時に生まれたお兄ちゃんの事が大好きだった。
    なにせ最初に話した言葉が、"パパ"でも"ママ"でもなく"にーちゃ"だったのだから筋金入り。
    お兄ちゃん、お兄ちゃん!といつもお兄ちゃんの後ろをついて歩く私を両親は諦め半分微笑ましく見守ってくれていたけれど、当のお兄ちゃんはいつも私の言葉を訂正した。

    『お兄ちゃんじゃなくて、●●●って呼べよ』

    それは確かに両親がつけたお兄ちゃんの名前だった。
    でも、私はそれが嫌だった。訂正されるいやいやと首を体ごとふって駄々をこねた。

    『やっ!お兄ちゃん!』
    『だーかーら、●●●』
    『違うもん!お兄ちゃん!』

    毎日毎日同じやり取りをして、それでもお兄ちゃんは●●●という名前を呼ぶことを、ううん、本当は
    "お兄ちゃん"と呼ばせないように言ったけれど、それでも私もゆずらなかったから、延々ずっと続いた。
    転機が訪れたのは、7歳の誕生日だった。

    お兄ちゃんに神の目が顕現した。
    兄の周囲に広がる美しい氷、迷いのない剣筋。
    それを私は知っていた。

    『"ガイア"』
    『!……はい、"姫様"』
    『その呼び方は嫌い!! 』
    『だろうな…じゃ、"蛍"』

    『お兄ちゃんはきっと私を許してくれない…酷いことをたくさんしたもの』
    『さてどうかな。俺の中の空のイメージは妹に激甘でお人好しで一度決めたらテコでも動かない頑固者で妹に激甘だ』
    『激甘って二回言った』
    『大事なことだからな?』




    「ははは!なんだなんだ今回はそういう趣向か?うんうん、いいじゃないか!」

    年端もいかない、なんて表現でもまだ足りない、僅かに7つかそこらの幼い子供に白無垢を着せて赤い布団の上に座らせる趣向は端的にいって最低最悪だ。
    だが、でっぷりと突き出た腹を揺らして男は上機嫌だった。そこには、戸惑いも罪悪感も欠片もない。
    一体こうやって何人の子供を陵辱してきたのか。

    「ほうれ、顔をあげてごらん?」
    「……あい」
    「おお、愛らしいなぁ。よしよし、おじさんが可愛がってあげよう」

    デレデレと表情を崩しながら、男は幼い少女に歩み寄る。その腰元からかちゃかちゃと金属音が…ベルトをはずそうとバックルを弄る聞こえたことで、頭にがっと血が上るのを自覚した。
    危うく元素爆発しかかった己をまだその時じゃないと叱咤し深呼吸、しようとした時スラリと刃がすれる音がして視線を投げ、息を飲んだ。
    無表情の空が剣を抜いていた。
    普段ころころと表情をよく変える彼の快活な性質を知っているだけに、怖いと感じるほどの無表情だった。
    それすなわち激怒の証左。こうなった空を止められる者はいない。
    打ち合わせではもう少し後のタイミングで飛び込む予定だったが、これはいたしかたない。
    あとの始末を負うジンには申し訳ないが、と頭のなかで言い訳しつつ、どのみち止めるつもりはない僕も剣の柄を握りしめる。
    互いの気配だけで呼吸を合わせ、部屋に飛び込むべく一歩踏み出そうとした。
    その、瞬間だった。

    「そこまで」

    上から振ってきた小さい青い影と声に僕も空も反応が遅れた。
    青い影、いや、少年は手にした短剣に氷の力を乗せ、男の手を、白無垢の子供に振れようとしたその手を手首から切断していた。
    さらにその傷口を一瞬で凍りつかせ、出血を防いで失血死を回避させているあたりまさに神業だった。
    一瞬のうちに手首を落とされ傷口を凍らされたせいで痛みが頭に届くのに時間がかかった男がようやく悲鳴を上げた。

    「ぎゃあぁぁぁっ!手!?俺の手ぇぇぇっ!!」
    「大事な大事な"片割れ星"をくそ野郎に触らせたりしたら、俺が栄誉騎士に切られてしまうだろう?」

    だからその手を切り落としました、とでも言わんばかりの少年の声は、もうずっとずっと昔、失くしてしまったもっとも幸せだった頃の思い出のなかにしかないはずのもので。

    「こ、このガキぃっ!!」
    「おいおい、いいのか?背中ががら空きだぜ。"そっち"が主戦力なんだがなぁ」
    「あ?!ぐぉげぁっ!!」

    激昂した男が少年を襲おうとした瞬間、どこからともなく現れた巨大な樽、のような物体が男の上に落下した。ヒルチャールすら押し潰すそれを肥満男が跳ね返せるわけもなく無様に床に倒れ上から樽に押し潰される。
    さらにはおまけ、とばかりに白無垢の少女が身軽にその樽の上にぽすん!と座った。
    ごうぇぇっ!とつぶれたカエルのように男がうめく。幼い少女の体重などたかがしれているしそこに白無垢の重さをいれても大したことない筈だが、作り出された樽の密度がとんでもなく高いゆえに重いのだろう。肋骨が折れ、肺がつぶれるのも時間の問題か。
    少女はそれでも足らないとばかりに頭の被綿をむしりとって捨てると樽の上に立ち上がって言った。

    「お父さんとお母さんはどこ?」
    「し、知らな、ごふっ!や、やべで、…!」
    「村の友達のスゥリンちゃんは?弟のロン君は?行商の娘のミーアちゃんは?妹のマリンちゃんは?ねぇ、どこ?」

    ぴょんぴょんと少女が樽の上でタップダンスするかのように跳び跳ねながら問う。その勢いは元気、というよりやけくそぎみに見えるのは僕の偏見だろうか。
    その少女の姿は、性別と年の差こそあれとなりで呆然自失に陥っている空と瓜二つだったから。
    ちなみに樽の下敷きの男は、ただただ潰れるばかりの痛みに汚い悲鳴をあげるだけだ。




    「さて、と。ほぉ、これが噂の宝石型麻薬。ああ、やっぱり宝石はあくまで"吸入器"なんだな。充填する結局リキッドの購入が高くつく…そして一度試したら止められない…。カーンルイアから流出した技術、これで幾ら稼いだ?」
    「な、なぜ…!」




    「判決を下す」

    僕自身が思うより冷静な声が出た。
    元素爆発により産み出された炎の鳥が真っ直ぐに飛び、少年達に襲いかかろうとしていた護衛だか警備だかを燃やす。

    「風神」

    こちらもまた驚くほど冷静な声がしたかと思うと風の元素爆発が巻き起こり男達にぶつかるーー僕の炎で炙られていたゆえに火と風の元素がぶつかり、火炎の嵐となった。

    「「「ぎゃあぁぁぁっーーー!!!」」」

    まさに断末魔の叫びを上げて大の男達が火柱にのまれ吹き飛ばされる。
    嵐は壁どころか天井、いや屋根すらその暴風によって吹き飛ばしながらすすみ、



    「空、殺してくれるなよ。吐いてもらうことが山程ある」
    「……それはつまり殺さなきゃいいんだよね?」

    目に殺気を宿してそんなことをいう空は、まるでどこぞの戦闘狂の公子のような…いや、ある意味彼より"ヤバい"顔をしていた。

    「俺はさ、栄誉騎士だとか救世の英雄だとか諸々色々過分に呼ばれてるけど、はっきりいって的はずれもいいところなんだよね。俺の行動理由なんてずーーっとたった一つだけで、世界を救ったとかなんとかそんなの全部そのついでというか結果的にそうなったというか…。とにかく、俺にとって世界よりも大事なのはその一つだけ。そのたった一つを汚そうとした、そんな奴は」

    空の剣が迷いなく振り下ろされる。
    男の股関に、突き刺すように。
    柔らかい肉が裂ける音。
    さらについでといわんばかりに、突き刺した刃を手首を捻って半回転。ぶちぶちと何かが千切れる音が聞こえた気がした。

    「"男"じゃなくなればいいよ」
    「ーーーーー?!!!!!」

    男は、痛みとショックのあまり悲鳴すら上げられず気絶した。
    ロリコンゲス野郎に同情は一切しないが、空の仕打ちは男としては水滴一粒くらい哀れに思わなくもない。
    その一連の流れを見ることになった二人はと視線をずらすと。

    「「はわわ…」」

    はわわって。
    腰を抜かしてドン引きする二人に思わず笑いそうになって、慌てて口許を引き締める。
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    kanamisaniwa

    MAIKING
    三ヶ月後。
    アズール先輩からの提案で参加を申請したアジーム家雇用希望者の選抜試験当日、私はジャミル先輩、エリムさん、そして面白がってついてきたフロイド先輩(本当は諸々ド素人の私を心配してついてきてくれたのをちゃんと知ってる)と一緒に熱砂の国にあるアジーム家所有の別荘の隣に設置された試験会場控えにいた。
    エリムさん曰く、アジーム家所有の不動産の中では中規模ながら市街から遠くて使い勝手が悪く最低限の手入れしかしていなかった別荘で、確かに選抜試験をするには丁度良い物件だとか。なんなら爆発させても大丈夫ですよ、と言ったエリムさんの顔はわりとまじだった。
    そしてその別荘の隣に建てられた仮設の集合場所兼待機場所で簡単な説明を受けた。といっても事前にアズール先輩が収集してくれていた情報と内容はほぼ同じで、あえて追記するなら試験会場である別荘のあちこちにライブカメラもとい監視カメラが設置されていて、その映像はリアルタイム公開されるので別荘内の様子はもとより他の参加者の様子を逐次確認できること、そして本当に魔法でもなんでも使用可、建物への損害も免責するから全力で目標を破壊してみろ、という言葉が説明担当からあったことくらい。
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