優しい先輩ki×🇩🇪に留学した41ちゃんのkiis♀優しい先輩ki×🇩🇪に留学した41ちゃんのkiis♀
きっかけはちょっとした好奇心だった。大学で貼りだされていた🇩🇪留学の募集チラシ。期間は一年で、🇩🇪の大学に通いながら異文化を学ぼう!という謳い文句に41は軽い気持ちで応募したところ、案外すんなりと審査が通ってしまった。そして41は今🇩🇪の地にいる。41が通うことになった大学は大きく、そこの寮へと入ることになったのだが、41はこちらにきて一つ大きな悩みがあって、それはなかなか友達ができないことだった。異文化を学びに来たというのに現地の人とコミュニケーションが取れなきゃ始まらない。だが、そのコミュニケーションに苦戦していた。🇯🇵では特別人間関係の構築に困ったことはなく、むしろ分け隔てなく皆と仲良くできる41だったが、🇩🇪では一向に友人が増えない。何故かと考えた時、それは明白で41は言語の壁に阻まれていたのだ。勿論留学するにあたってきちんと勉強はしてきたのだが、実践となると上手くいかなかった。まず現地の人は41が活用したテキストのようにゆっくり聞き取りやすく話してはくれないし、矢継ぎ早に放たれる言語を41は上手く聞き取れないことが多かった。それに勉強したとはいえ、意味が分からない単語やスラングは少なくはない。せっかく聞き取れても話される内容がいまいち理解できないため、会話に詰まってしまうのだ。それに41の話す🇩🇪語はあまり上手いとは言えない。一生懸命会話を理解しようとしながら、精一杯の知識で会話を交えようとはするのだが、たどたどしい会話は初めは良くてもだんだんと嫌な顔をされる。41が話が混じるだけで会話のテンポが悪くなると嫌煙されるようになったのだ。
「君と話してるとまるで小さい子と話しているようで疲れるよ」と話しかけた一人に告げられた。それから41は他人との会話が怖くなってしまった。自分と話すこと相手が嫌な思いをすることが分かってしまったから。
しかし、41には一人だけ友人と呼んでも良いか分からないが、気軽に話せる人がいた。「41」
名前を呼ぶ方を振り向けば、彼がこちらに向かってきている。100人に聞いて100人全員が美形と答えるだろう美しい容姿を持つ男、ミヒャ/エルカ/イザーこそが41が唯一話せる人物だった。彼と話すようになったのは彼が落とした学生証を届けたことがきっかけで、渡してさっさっとその場を去ろうとした41を「お礼をさせてくれ」とkiが引き止めた。彼は大学では有名人で容姿端麗才色兼備おまけに資産家の息子とくれば、kiに好かれたいとお近づきになりたいと群がる人は多くいる。孤独な41とは別に常に人に囲われてる人気者の申し出に、kiの取り巻きの視線が怖かった41は「いや、いいです」と断りいそいそと逃げたのだが、後日41は再び彼に捕まった。たかが学生証を拾っただけ、それなのにkiは「礼にご飯を連れて行ってやる」としつこかったのを覚えている。その強い押しに根負けして41は申し出を受け入れたのだから。どうせ1回限りのことで、彼もきっと41との拙い会話にイライラしてすぐに解散になるだろうと。しかし、意外にも彼との食事は盛り上がった。二人ともサッカーが好きだという共通の話題があったことも大きいが、彼は41の拙いテンポの悪い会話を嫌な顔せず丁寧に聞いてくれたのだ。kiは話初めは他の人と同じように早い口調だったのだが、41が聞き取りに必死になっているのに気づき聞き取りやすいようゆっくりと話してくれたし、41が分からない単語に首を傾げると他の言葉に言い換えたり、スマホでわざわざ調べて日本語に変換して教えてくれた。41のカタコトであろう🇩🇪語も最後まで優しく聞いてくれたし「よく勉強しているな」と褒めてくれたのだから、41は久しぶりに会話が楽しいと思えた。時間は過ぎるのはあっという間で「ありがとう、楽しかった!」と伝えればkiもニッコリと「こちらこそありがとう」と答えた。人気者の彼との1回きりの食事だと思われた交友は、彼が連絡先を聞いてきたことで意外にも続いた。別れる際に「また食事にいこう」と言われた建前だと思われたそれは彼の中では本当のことだったようで、交換した連絡先から本当に連絡がきたのだから。それからkiとは何回か食事を重ね、休みの日は一緒に出かけるようにまでなった。引く手数多の彼が何故41にここまで時間を割いてくれるのかは分からなかったが、41は話せる人が出来たことが堪らなく嬉しかった。彼は変わらずテンポの悪い41との会話を笑顔で続けてくれるから。しかし、kiとの交友が嬉しい反面少し困ったこともあって、それは彼が人気者であることが起因する。
kiは休みの日は勿論、大学でも41と一緒にいてくれることが多くなったのだが、それを周囲の取り巻きがよく思う筈もなかったのだ。「イエローモンキーの癖に」
「あんな赤ちゃんみたいな言葉で話して彼が気を使って迷惑してるって気が付かないのかしら」
物が無くなることが多くなった、教科書が破られていたり、態とぶつかられたり、講義でペアを組む際に誰も組んでくれなかったり、今までそんなことなかったのに。子供じみた嫌がらせ。kiと仲良くなれたことは嬉しかったが、彼が41の近くにいればいるほど周囲の視線が痛かった。
「なんでお前が」と。そのせいで一向に友達も増えるわけもなかった。だから、41はkiには申し訳ないが大学では距離を取ろうと思った。別に友達の多い彼は41人がいなくたって困らない。kiを見かけても話しかけることはせず、見つかる前に身を隠す。見つかれば彼は必ず「41!何してるんだ?せっかくだから一緒に話そう。」と周囲を置いて41の方に来てしまうから。kiは学食の誘いをいつもしてくるのだが、それも断るようにした。「もう食べてきたから」「たまには他の人と食べたら?」とピコピコと音をたてる通知にそう返信するようになった。今日も今日とてkiを避けつつ過ごしているとピコンとスマホが音を立てる。「いまどこにいる?」と彼からの連絡だった。「なんで?」と短い返せば美味しいレストランを見つけたから一緒に昼を食べようとの誘いがくる。最近は断りっぱなしなのに、彼は懲りずに誘ってくることにため息をつきながら「今日はお弁当作って来ちゃったし、外で食べたい気分だからごめん。他の人を誘って。」と返した。するとピコンピコンと通知が立て続けに鳴る。
「41が行かないなら今度にする、また休みに二人で行こう」「俺も一緒に外でたべる」「どこにいるんだ?」「41返事しろ」震えるスマホをそっと閉じる。その内着信がきて暫く鳴っていたが、無視していれば諦めたようで音が止んだ。
人気のない木陰のベンチに腰を下ろし、持ってきた弁当に箸をつける。なんだか久しぶりに1人きりになった気がした。黙々と食事を続けていると、そよそよと気持ちの良い風に混じって神経質そうな足音に気がつく。まさかと思えば案の定彼の声がした。そして冒頭に戻る。
「41ここにいたのか、なんで電話に出ない?」
「ごめん、気が付かなかった」
「…ふーん、そうか」
どっかり隣に座った彼はちょっと怒ってるようだった。それなら隣に来なければ良いのになんて思うが、kiは41の心情を他所に紙袋からサンドイッチを取り出して齧り始める。
「え?ここでkiも食べるの?」
「そうだが?俺も41と一緒に食べると言っただろ」
「そ、う。」
沈黙が落ちる。何だが気まずい気持ちでいっぱいでお弁当も味がしなかった。
「それ」
「へ?」
ふとkiが41のお弁当を指さす。
「その黄色いのは何だ?」「あ、これは卵焼きだよ。日本食だから知らないか」
「ふーん、スクランブルエッグみたいなものか?」
「うーん、ちょっと違う…かな。食べてみる?」
聞けば、kiは「食べる」と頷い口をあっと開いた。まるで雛鳥に餌をやるみたいだなと思いながら口の中に卵焼きを入れてやれば、もぐもぐと咀嚼する。人に自分が作ったものをあげたことはなかったから何だか妙にドキドキした。kiが嚥下したのを見届ける。どうだったと聞けば彼は「甘いんだな」と零す。
「口に合わなかった?ごめん、お茶飲む?」
「いや、美味かった。優しい味だ。もっと食べたい」
そう言ってkiは再び寄越せとばかりに口を開くものだから41はポカンとした後、ほっと胸を下ろし、苦笑しながらまた卵焼きを口に運んでやった。
気まずかった時間はいつの間にか穏やかな時間に変わっていて、やはりkiと過ごす時間は好きだと再認識する。ふと、kiが口を開いた。
「なあ、41。最近俺を避けているよな。俺が何かしたか?嫌いになった?」
「えっと…ごめん。別に何かしたとか嫌いになった訳じゃないから」
「じゃあ、なんで避けるんだ?俺と一緒に居たくない理由は?気に入らないことがあったら言ってくれ、なおす。」
「いや、これはkiじゃなくて俺の問題だから、ね?」
kiは不満そうな顔をする。41の答えに納得はしていないようだった。
「そ、それに、ほら。kiもさ、俺にばっかり構ってないで他の人ともー…」
「それか俺じゃなくて、俺の周りが問題か」
kiが41の言葉を遮る。41が思わず固まれば「そうなんだな」と彼は髪をかきあげる仕草をした。
「ち、ちがー…」
「違わないだろ」
kiはため息をついた。
「嫌な思いをさせた。彼奴らにも注意しとくし、余計なことはさせない」
だからー…俺を無視しないでくれ。最後kiは消えるような声で言った。縋るような切なげな色を見せる瞳に41は胸が痛くなる。
「ごめん。あのね、でも他の人とも仲良くして欲しいのは本当なんだ。俺ばっかり一緒にいるの申し訳ないしさ」
「別に、他はどうでも良いだろ。俺の時間は俺の自由に使う、俺は41と一緒にいたいんだから」
まるで告白のような口振りに頬が熱くなる。彼はそんなつもりはないだろうに。赤くなる顔を見られたくなくて、41は咄嗟に俯いた。
「でもー…」
「はあ、分かった」
尚も言い募ろうとする41にkiはお手上げだとばかりに声を上げる。
「分かった41の言う通りにする。他の奴らとの時間も作ろう。それでお前が守れるなら。その代わり41は俺を避けるな、休みの日は絶対俺と過ごすことを約束してくれ」
これが妥協点だ。そう話すkiに41は戸惑いつつその提案に頷いたのだった。それから嫌がらせは嘘のように収まって、kiも大学では41に必要以上に構うこともしなくなった。取り巻きと談笑するkiを鉢合わせても、kiは「41、おはよう」と挨拶を交わすだけ。それを見たkiの身体に身を密着させる美女は満足そうに笑っていた。
大学では距離を置く一方で、プライベートであうkiは離れた距離を取り戻すかのように、やたらと41とスキンシップを取るようになった。
「41手を繋ごう」と歩く時は勿論、映画を見る時でさえ手を繋ぎたがるものだがら、全然映画にも集中できない。少しでも接触を嫌がれば「大学では41の言う通りに我慢してるだろ」と言われれば拒否できなかった。日々近くなる距離に、友人だと思っていた関係は変容していく。明らかに熱が篭もり始めた瞳に41は戸惑っていた。
その日、41はkiの家を訪れていて、二人で並んで映画を見ていると急に始まったラブシーンに気まずさに目を伏せる。二人だけの空間に濡場の音が響いて、モジモジと太腿を擦り合わせれば「41」とkiが名を呼んだ。
「ぁ…」顔を上げれば、欲情の色を乗せた彼がすぐ目の前にいて、同じく熱に浮かされていた41は迫る美しい造形の唇を受け入れてしまった。
「ンっ…」
すぐ離れると思った唇は、酸素を求め僅かに開いた口にkiが強引に舌をねじ込んだことで、深い口付けに変わる。
「んんっ…」
クチッと耳の奥まで響く水音と絡まる舌に、トロトロに思考を溶かされていく。気持ちいい…だけど怖い。初めてのキスが濃厚な口付けであまりに刺激が強すぎる。怖気付いた41が唇を離そうとしたが、kiが逃がさないとばかりに41の後頭部を抑えたつけた。
「んっ〜〜プハッ」
暫く41との口付けを思う存分堪能したkiは満足したように唇を離した後、いとも簡単に41をソファへと押し倒す。息継ぎが出来なくて息切れを起こす41とは反対にkiは慣れているようだったが、41に覆い被さるようにして顔を近づけてきたkiは興奮で息を荒くしているようだった。
「41、抱きたい」
「ひぅっ…」
耳元で零される吐息に背中にゾクゾクとした甘い痺れが走る。男女の友情は存在しない。そう言ったのは一体誰だったか。
すっかりkiの欲情に当てられた41は彼の手が肌を這うのを拒否なんてできなくて、愛撫を受け入れてしまう。
何もかも初めての快楽に身体を震わさればkiは「可愛い41、もっと気持ち良くなろうな」と囁く。「41、41可愛いなあ、好きだ」
「そろそろ良いか、ひとつになろうなあ」
我慢せずとkiは早く41の中に入りたいとズボンの前を寛げる。そうして押し当てられた熱を見て、41はふとした恐怖心が込み上げてきた。
「ぁっ…だめ、だめ。こわい、やだあ」
「っ41?」
怖い、怖い。そんなつもりはまったくなかったのに、急に降りかかる快楽、色事に41はパンク寸前だったのだ。
「ゔ〜〜〜っ!ご、ごめっ…やっぱり怖い〜〜っ!そんな大きいの入らない!」
わんわんと子供のように泣き始めた41にkiは慌てて、泣くなとばかりに41の身体を抱きしめる。
「41、すまない。ビックリしたな、今日はやめよう。」「お前が可愛くて先を急ぎすぎた、ほら泣きやめ。お前の好きな甘いものも買ってきてあるから」
そう言ってkiは瞳を真っ赤にして涙を零す41に安心させるように軽くキスを送る。すっかり彼の瞳からは情欲の色は消えていたが、熱は未だに瞳に渦巻いているのを見て、41は確実に彼との関係が変わってしまったと気づく。ただ、41はもとより相手に合わせる性質があって、これ気に41はkiに流されていくようになった。
休日に一緒に過ごすのは勿論、41は夜も彼と過ごすようになる。kiからのうっとりするような口付けと愛撫に身を任せるようにと、だが未だに身体を重ねる本番だけは41は怖いと拒否していた。「ゆっくり慣らしていけばいい」と優しく微笑むkiが行為後トイレに一人で籠る様子に罪悪感が募る。それと同時に俺たちの関係ってなんだろうという疑問も湧く。🇩🇪では🇯🇵と違い告白の文化はないと聞くが、付き合っている認識で良いのだろうか。だってそうじゃないとこうして肌を触れ合う行為をする意味が分からないから。kiと恋人、その事実を考えるだけで頬が熱くなった。元々好ましいと思っていた男性、🇩🇪で唯一仲良くしてくれる人に熱を向けられれば、41もその熱に犯されつつあったのだ。そうしてついに、kiが41に切り出した。
「41、俺はもうすぐで誕生日を迎える」
「そうなんだ、なにか欲しい物とかある?」
聞けばkiは「ああ」と答える。どこか緊張した面持ちの彼を不思議そうに41が見返せば、ゆっくりと口を開いた。
「欲しいものは41、41が欲しいんだ」
誕生日にkiは41が欲しいのだと告げる。それはつまり身体を繋げたいという合図で、41は少し悩みつつも小さく頷いた。
「41!」
「わ!」
kiが心底嬉しいとばかりに抱きついてくる。
「素晴らしい夜にしよう」
ニコニコ笑うkiに、熱に浮かされた41は「うん」と微笑み返した。
誕生日まで数日、kiには別のプレゼントも用意しつつ、41もその日が来るのが待ち遠しく感じていた。
幸せだった、しかし浮かされた熱は急激に醒される。ある会話を耳にしたことによって。それは本当に偶然通りがかった講義室でkiが取り巻き達とたむろってるのを目にした。
そしてその一人がkiに投げかけたのだ、「🇯🇵人とはもうヤレたのか?」と。俺の事だ、そう思った。聞いてはいけないと思いつつ耳は会話を拾いあげる。
「おいその話題は出してやるなよ」「なに?もしかしてまだ?流石に天下のki様でもガードが硬い🇯🇵人落とすのは難しいか〜!」
「押し倒すまでいったけど、拒否られたんだろ?まあ、でもあと少しだな」
「なあ、🇯🇵人の喘ぎ声ってどんな感じ?具合良かったら俺たちにも貸してくださいよ」
下品な会話と笑い声が飛び交う。kiはそれを否定する訳でもなく顔を顰めて「クソうるさい」と一言発するだけ。それに対しkiの腕にひっつく美女が「ねぇ〜、そんな興味本位のヤラセてくれない女なんて置いて、私にしなよ〜!いっぱい奉仕するから!」と甘える。
「だまれ、お前は前に抱いてやった時にゴムに穴開けてただろ。孕まれたらクソ面倒だ」
「えげつねぇ〜!まあkiに本命のご令嬢のフィアンセがいるもんな〜」
「代わりに俺が抱いてやるよ」
「はあ?あんたなんかお断りだから!」
気づけば、41は聞くに絶えない会話にその場を走り出していた。
付き合っている、そう勘違いしていた自分が馬鹿みたいだった。寮に帰って枕に顔を押し付ける。一晩泣いてないて涙枯れきった頃、41はある決心した。
迎えた誕生日当日、41はkiに約束通り抱かれた。kiは興奮しきっていて朝まで41を離してくれ無かったし、彼は何故かゴムをしてくれなかった。
「ま、待ってゴムして!生じゃだめ、赤ちゃんできちゃうっ!」
「41、大丈夫だ、優しくしてやる。」
そう言って無理にゴム無しで行為に及ばれた。何が大丈夫なのか、だって孕んだらクソ面倒なんじゃないの?41の心の叫びを知らないkiは恍惚とした顔で腰を振っていて「41、41かわい、可愛い。好きだ、愛してる」「中にだしてやろうな」と無責任にも41の中に子種を撒いたのだ。うそ、うそつき。ようやく落ちた女にkiもきっと満足だろう。今度こそ1回きりの関係、身体の関係をもった今、41は彼に捨てられる。だったら綺麗な思い出だけ拾って自国に帰ろうと思った。kiには伝えていなかったが、留学の終了期間はすぐそこまで迫っていたのだ。良い機会だと思った。彼に抱かれて数日後41は何食わぬ顔で空港に立つ。日本行きの便に乗る前、ピコンとスマホが音をたてた。
「41、明日の夜は絶対空けといてくれ、迎えに行くから。伝えたいことがあるんだ」kiからの通知に41はろくにメッセージを読まず連絡先を削除した。これで良いのだと41は搭乗口へと向かう。知らず知らずの内に涙が頬を伝っていたが、決して振り向くことはせず41は日本へと帰った。なにもかもを置いて。
一方で置いてかれたとは知らない男はとある有名なジュエリーショップにいた。
「彼女さんにですか?」
「ああ、俺のフィアンセに。この婚約指輪の宝石みたいに綺麗な青色の瞳をしているんだ。」
男は購入した指輪をまるで彼女に触れるかのように撫でる。これを渡した時41はどんな顔をするだろうか。明日の夜を空けておくように彼女に連絡をいれた。最高の場所最高の品物、最高のシチュエーションを用意して、kiは41に結婚を申し込もうと思っていた。41を俺の妻に迎える。
それを想像するだけで胸が膨らむ。
愛らしい彼女を思い出し、kiは幸せそうに目を細めていた。
41からの返事はまだ来ない。