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    chichi_u_chi

    @chichi_u_chi

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    chichi_u_chi

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    Twitterにて画像投稿している
    虎トウ🐯🐶大学生パロ
    マッチングアプリで出会った男が学部の先輩だった
    をまとめています。

    🐯🐶
    메시지 감사합니다!
    매우 기쁩니다.
    번역하고, 읽어 보세요!

    #虎トウ

    マッチングアプリで出会った男が学部の先輩だった【マッチングアプリで出会った男が学部の先輩だった①】

    「は……?」 

     おかしい。どう考えてもおかしい。

    『◯◯駅北出口の噴水前、黒のハイネックにロングコートを着ています』

     送られたメッセージ通りの場所、服装の人間を探した。誰がどう見ても目の前のこの男しかいない。
     今なら間に合う、引き返そう。そう思い振り返ろうとしたのも束の間…

    「…え、狗丸?」

    ………一歩遅かった。

    「っあ…えっと……」
    「…ライダースに黒のスキニーパンツ」

     目の前の男は驚いたように目を見開き、手元のスマホに記されているであろうメッセージの内容と照らし合わせ、何度も俺の顔を確認する。

    「あーー…っと…ヒ、ヒーローさん?」
    「……わんころさん」

    …………。

    「「っえーーーー……」」

     マッチングアプリで出会った男が学部の先輩だった。


    ◇◇◇


     自分は普通の「男の子」とは違うのかもしれない。そう自覚したのは中3の夏。友人宅で数人で囲んで見たアダルトビデオ。女の人の裸体を見て興奮しないわけではない、ただ女性を壊れもののように優しく丁寧に、汗を滴らせながら抱く男の身体にひどく興奮した。その日帰宅し同じサイトに辿り着いた俺はその男を観ながら抜いた。

     疑いが確信に変わったのは高一の頃。2つ上の部活の先輩に恋をした。スポーツ万能、成績優秀、誰にでも分け隔てなく親切で人望も厚い彼に簡単に心を奪われた。先輩の部活引退後、進路が名門大学だと知り俺は決意した。ここで終わらせたくない、そう思い必死で勉強をした。その後AO入試でなんとか同じ大学に合格した俺は晴れて先輩の元へ____……などと簡単にはいかない。2年早く若者の自由の城でキャンパスライフを送っていた先輩にはたくさんの女がいた。表向きは天文学サークルと言いつつ、実は他大学からの部員もわんさかいる噂のヤリサー幹部に成り果てていたと知って絶望した。
     
     恋は盲目とはよく言ったものだ。血の滲むような努力の果てに待っていたのは、どうしようもない現実。冷静に考えればそりゃあそうだ。多様性の社会、ジェンダーレスを受け入れる社会を…などと謳っているもののまだまだ受け入れ難いセクシャルマイノリティ。少女漫画の世界でもない限り、白馬の王子様なんて現れない。己の手で探すしかない…。感傷もそこそこ、その日のうちにゲイ専用マッチングアプリを登録した。

     世紀の大失恋から1年。学年は上がり、可もなく不可もないキャンパスライフを送っている。そもそも自分の実力以上の大学を棚ぼた合格してしまった身だ。ぼさっとしてると簡単に単位は落としそうになるし、かと言ってバイトをしないことには自由に遊ぶこともできない…。1年前に登録したマッチングアプリはというと…それなりに続けている。

     ただ一つ気がついたことがある。運命の相手を探すために始めたつもりだったが圧倒的にヤリ目、いわゆるセックス目的のために利用している人が多いのだ。メッセージのやり取りを経て初めて会った男は、開口一番「ホテル行くよね?」だったし、2度目に会った男にはしこたま酒を飲まされた流れでホテルへ。目が覚めた時には布一枚纏っておらず、記憶が1ミリも残らないままバージン喪失。
     
     この日を境に開き直った俺は、勉強の合間に「ストレス解消」と言い聞かせながら数人の男に自ら抱かれに行くようになった。生産性のない男同士のセックス。愛もロマンの欠片もないただひたすらに欲をぶつけ合うだけの時間は忙しい日々を忘れさせてくれると同時に、何者にも形容し難い虚しさに襲われる。


    「185㎝、80kg…筋肉質、タチ専…え、最高なんですけど」

     今日も今日とて運命の相手(仮)探し。表示された男どもの良し悪しを左右に分ける指の動きにも慣れたものだ。仲の良い友人たちは講義中。俺は空きコマを使い中庭のベンチに腰掛け1人でスマホと向き合う。

    「21歳学生で…まずはお話だけでも、仲良くなれたら飲みに行きましょう…へぇ」

     好条件。登録されている情報が本当なのであればめちゃくちゃどタイプだ。だけどプロフィールの時点で酒を仄めかす人はお察しかな…。えっと、名前は…ヒーローさん…へぇ。ここ最近誰とも遊べてなかったからサクっと手っ取り早くこの人とでも…

    「…ぬまる、狗丸!」
    「っひぁ!?えっ、あっ!!」 

     頭上からの突然の声に思わずビクリと体が跳ね大声が出る。

    「っあ、み、御堂センパイ…」
    「はは、悪いな驚かせて」

     声の主は、同じ学部の三年の御堂センパイ。特にこれと言って深い交流があるわけでもない顔見知り程度の人物の登場に驚く。

    「これ、3階の講義室に忘れてたから」

     そう言い差し出されたのは、俺の名前が書かれた参考書。3階の講義室…1限目にいた場所だ。おそらく2限に彼らが利用した際に見つけたのだろう。

    「あっ俺の…!気付かなかった、すんませんわざわざ…」

     参考書を受け取りお礼を伝える。

    「いや、構わん。じゃあまた」

     そう振り返り向かう先には…

    「御堂くーん、はやく〜!」
    「なに?誰だったの〜?」

     数名の女の子たち…。御堂虎於、3年の先輩。すっげえ金持ちの所のおぼっちゃん。いつも両サイドに女の子を引き連れて歩いている顔よし体よし家柄よしの生粋のモテ男。友人が彼と同じ高校の出身だったため、なんとなくの流れでお互い紹介されたがこれと言って特に繋がりは薄く…そんな人物だ。

     だけれど、人間とは愚かなものだ。タイプ、好みはどうやっても変えられないらしい。両手に女、人望も熱い…この男に性懲りも無く、恋をしてしまっている。二度も似たような男に惚れてしまうなんて馬鹿なやつだ。今回に至ってはどう見ても女好きと分かった上で恋をしてしまっているのだ。どうせ、俺に勝ち目なんて……

    「はぁ〜〜〜……」

     どデカいため息を一つ。握っていたスマホのロックを解除し、再び画面に視線を戻す。

    「…ヒーローさん、ねぇ」

     スッ、と。右スワイプ。画面にご機嫌なハートがたくさん表示される。

    「あっ、マッチした」




    【マッチングアプリで出会った男が学部の先輩だった②】

    「あっ、マッチした」

     高身長、体格も良い…顔写真は一枚もないけれどおそらく他撮りであろうロングコートを着た後ろ姿、雰囲気だけ見れば良い感じ。なんかこう、男の欲しいもの全て兼ね備え、それでいて上品さのある…まさかサクラ?それならそれでメッセージのやり取りをする内に気がつくだろう。ものは試しだ、とりあえず一言挨拶を…そう思いトーク画面に移動、送り慣れた定型文を打ち込み送信。
     
     想定できるこの後のよくある流れとしては、2、3日メッセージのやり取りを経て実際に顔を合わせる算段を取る。その中でホテルに行くだ行かないだ、今回はお話だけだやら段取りを決めたりもする。まあ8割方、直行でホテル。今回はどんなパターンに…

    ♪〜

    「お、返信…初めまして、マッチできて嬉しいです。初めてアプリを使うので分からないことだらけです……は?初めて!?」

     丁寧な返信を読み進める。どうやらアプリを使ってのメッセージのやり取り自体も初めてらしい。半信半疑ではあるが飛んだビギナーを引き当てたのでは…?と口角が上がる。

    「ほ〜…なんか良い人そう。てかこの写真の後ろ姿…」

     どこか、御堂先輩に似て…いや、似てないな!そんなわけないよな!ごめんなさい御堂先輩、こんなヤリ目共の巣窟に紛れているだなんて一瞬でも考えて…心の中で謝罪をする。
     それにしても数分前の偶然、参考書を届けてくれた御堂先輩と話すことができてラッキーだった。あまりにもいきなりだったから少しそっけない態度取っちまったかな…と少し反省。
     
     接点なんて同じ学部であることしかない上に学年も違う、そもそも俺がなぜ御堂先輩に恋心を抱いているのかという話だが…いわゆる一目惚れだ。それ以上でも以下でもない。

     1年生の秋、初めて御堂先輩に出会った。大学内を友人と歩いていると、向かい側から3人の女の子とこちらへ向かってくる高身長の男。見たことない人だな、そう思ったのも束の間、隣の友人が声を上げる。

    「あー!御堂さんじゃないですか!!」

     御堂さん、そう呼ばれる男がこちらへ顔を向ける。どうやら友人とこの男は知り合いのようだ。話を聞けば高校の生徒会で一緒だったらしい。彼が2年に進級すると同時に留学、半年間海外へ滞在した後、最近日本に帰ってきたという。

    「相変わらずモテモテですね…あ、こいつ友達のトウマです!めっちゃ良い奴っす」
    「あっ…初めまして、狗丸トウマです」

     友人からの突然の紹介に、小さく会釈をし少し高い位置にある男の顔を見上げる…。え?この人、よく見ると…

    「め、めちゃくちゃカッコイイっすね?」

     思わず口から本音がこぼれる。友人と男の側にくっついている女の子たちがケラケラと笑う。

    「お前もイイ男じゃないか狗丸。よろしくな」

     柔らかい笑顔で肩をポンと叩かれた。じゃあまた、そう言いこの場を後にした俺たち。御堂先輩…春から留学していたのか。だから初めて見る顔だったんだな。それにしても絵に描いたような綺麗な顔立ちにあの恵まれた体格…女の子いっぱい引き連れてたな…話を聞けば高校の頃は生徒会長だったみたいで…

    「なあ、御堂センパイって人、下の名前なに?」
    「え?確か、虎於」

     トラオ…名前までかっけぇのか?『お前もイイ男じゃないか』そう言い触れられた肩が何だかジンジンと熱い気がする…。え、何だこれ、何だ……?

    「おいトウマー!?お前顔真っ赤だぜ!?」
    「…っな!?あっ赤くねぇし!!暑いな今日…!!あ〜〜っあちぃ!!」

     暑さなど微塵も感じさせない、涼しい秋風の吹く10月の出来事。
     この日御堂先輩と初めて出会い、恋をした。笑ってしまいそうになる少女漫画みたいな一目惚れだ。
     

    ◇◇◇


     「へ〜、ヒーローさんあの映画観に行ったんだ」

     あれから数日、彼とのやり取りは続いている。話を進めていく中で意外にも共通点が多いことが分かった。年が近いこと、お互いに学生だということ。割と近くに住んでいること、映画が好きで作品の好みが似ているということ。

     マッチングアプリを使うのも、誰かとやり取りをするのも初めてだという言葉は半信半疑だったが、あながち嘘ではないのかもしれない。手慣れている男とのやり取りだと趣味や職業を知ったところでどうする?というような雰囲気が文面だけでビシビシと伝わる。それに比べて彼は随分とウブで可愛らしいやり取りをするものだ。まさに、マッチングアプリビギナー時代の俺が思い描いていたようなそれ…。正直言えばヒーローさんのスペックを見た時は好みだしタチ専だし…都合よくサクッとヤレればいいな、なんて考えている自分がいた。

    『俺もその作品気になってました。1作目からずっと観てます!』

     お互いの趣味である映画鑑賞。数日前に公開されたばかりのシリーズもの、派手なスタントで有名なヒーローアクションだ。既に映画館に足を運んだらしい彼。あ、ヒーローもの好きだから『ヒーローさん』って名前なのかな?今度聞いてみよう。

    ♪〜

    『俺も1作目から追っかけてて…今回のも本当に良かったです。時間見つけて是非観に行ってください。ネタバレですが、今回は少し泣けます(笑)』

     目ん玉が飛び出るかと思った。この手の話題の大抵の男たちの返信と言えば『じゃあ明日あたり一緒に観に行こうよ!その後は飲みとかどう?』だ。

    「はぁ…誠実な人なんだろうな」

     都合のいい相手にしようとしていた数日前の俺を殴ってやりたい。
     
     その後も取り止めのないやり取りを続ける。ただ1つ気になることが…

    『ヒーローさんはなんで俺に「いいね」したんですか?』

     身長や体重、年齢は公開しているが顔写真は1枚も載せていいない。 

    ♪〜

    『雰囲気写真が気になってる子に少し似てて。あと身長もそのくらいです(笑)』

     なるほど、プロフィールの2枚目に載せているあの写真のことを言っているのだろう。そうか、この人も俺と同じなんだ。気になる人と重ねて…。あ〜、御堂先輩のこと思い出しちまった。

    ♪〜

    「ん?…え、なに」 

    『久しぶり、今日の夜会える?』

     メッセージの送り主は彼ではない。数ヶ月間にアプリで知り合い酒を飲みホテルに行った男だ。すっかり忘れていたがまた会おうね、などと適当なことを言って別れたことをぼんやりと思い出した。
     もう1つ大事なことを思い出した。そもそも俺がこのマッチングアプリを続けているのは性欲解消のためだったじゃないか。

     身体だけの関係。誠実な男。好きな人。


    「何やってんだ、俺」




    【マッチングアプリで出会った男が学部の先輩だった③】

    『じゃあ22時ごろに◯◯駅前のコンビニで』

     結局、昼間に連絡をよこしてきた男と会うべく思い腰を上げ着替えを済ませ家を出た。指定された駅前のコンビニ付近で待機するもなかなか現れない。お前が連絡してきたんだろ、もう22時すぎてるし…こちらから催促をするのは負けた気がするので大人しく黙って待つ。

    「…来ねえじゃん、なんなんだよ」

     イラつきを隠せず小さく貧乏ゆすりをしてしまう。スマホ画面をつけたり消したり、数10秒ごとに通知を確認していると背後から人の気配が…

    「狗丸?」
    「っひあ!?っ、えっ、御堂センパイ…っ!?」
    「あぁやっぱり…ふっ、このやりとり前にもあったよな、毎回驚きすぎ。何してるんだ?」

     驚きすぎ、じゃないですよ!突然現れたのはここにいるはずのない御堂先輩の姿。

    「ど、どうしたんですかセンパイ…」
    「あぁこの近くでさっきまで人と会っててな。解散したから車取りに行こうと思って」

     駅の裏のコインパーキングを指差す。

    「そうなんっすね…!お、おれも用事済ませたから帰ろうかな〜って思って、て…」
    「そうか。送っていこうか?」
    「っ?!」

     用事を済ませたと言ってしまった手前、やっぱり今から人と会う予定がありますだなんて言えない。況してや相手が友達でもなんでもない男だなんて…。そして先輩の好意を無碍にするわけにもいかない、なにより彼と同じ時間を過ごす絶好のチャンスなのでは…?

    「御堂センパイが嫌じゃなかったら、いいっす、か…?」
    「もちろん。パーキングすぐそこだから、車回すからそこで待っててくれ」

     振り返り駅裏へ歩く御堂先輩の背中を見送る。誘っておきながら集合時間も守れないあの男に詫びを入れておこう、そう思いポケットからスマホを出すとタイミングよく着信が…

    『あ〜、わりぃ少し遅れるかも!』
    「そっか、来なくていいぜ!」
    『は?えっなんで』
    「今日ムリになった!ごめん、またな」

     半ば無理やり電話を切る。ごめんな、お前と同じようにおれも最低だ。またな、なんて言ったけど二度とあってたまるか。男のアイコンを長押し、ブロックボタンを押して一息つく。そこから2分も待たないうちに、重いエンジン音が背後から聞こえ始める。路肩に止まるその車は案の定御堂先輩の車で、窓を下げ手を上げる彼の元へ小走りで駆けていく。

    「家はどのあたりだ?」
    「えっと、◯◯のあたりです。ここからだと20分くらいかかるけど…いいっすか?」
    「あぁ、もちろん」

     お金持ち、と言われるだけある立派な左ハンドルのスポーツカーは暗い夜の街を進み始める。街灯と店先の明かりが気まぐれに御堂先輩の横顔を照らす。運転姿もサマになるなんて…カッコ良すぎる。

    「車、よく乗るんすか?」
    「ん?そうだな、でもバイクの方が多いかな」
    「バイク好きですか?俺もつい最近大型の免許取ったんすよ…!」
    「はは、そうか!俺も1年の冬に免許取った。やっぱり男なら憧れるよな」

     偶然にも共通の話題を振れたようだ。自らの好きなことを話す年相応の無邪気な笑顔にキュンとする。これじゃあますます好きになっちまうな……

    ♫〜〜♫〜〜
     話の腰を折るように携帯の着信が鳴る。俺のポケットが震えているわけではない、と言うことは彼のものだろう。シフトノブ付近のドリンクホルダーに入れられていた先輩のスマホはヴー、と大きな音を立て画面を照らしている。即座に拒否のボタンを押し、何事もなかったかのように話を続ける…。連絡、無視してよかったのかな?口を開こうとすると追いでラビチャの通知も送られる。ポコポコ、と明らかに先程の着信主でありそうな女の子のアイコンが存在を知らせようと画面を照らした。

    「あ…いいっすよ、その辺停まって返事してください!」
    「ん…?いや大丈夫」

     なんでもないようにクルリと画面を裏返しにする。送り主のアイコンはあっという間に見えなくなってしまった。

    「今はお前と話しかしたいから…な?」

     ちらり、とこちらを向いて笑いかけられる。先輩の言葉の真意はわからないが、この人の時間を今だけは独占できているのが素直に嬉しい。

    「…わぁ、モテ男発言だぁ」
    「まぁ俺はモテるからな」
    「知ってるっすそんなこと!」

     こんなにゆっくりと会話をしたのは初めてだ。コンビニの前で出会ったときからずっとドキドキとしていた心臓もやっと落ち着いてきた。
    ……それにしても、ココは何処だ?伝えた自宅への道のりとは少しズレた場所にいるような…

    「御堂センパイ、もしかして道、違うかも…」
    「あー…悪い、わざとだ」

     わざと?訳がわからず眉を顰め怪訝な表情を向けると、視線に気がついた先輩がこちらを向いて小さく微笑んだ。

    「狗丸と話すの楽しくて、少しだけ遠回りしてる…嫌か?」
    「……っ!」

     なんだよそれ、やばすぎる…!こう言う時ってなんで返すのが正解なんだ⁉︎すごいなこの人、俺相手、て言うか男相手にもこんなこと平気で言えちゃう人なのか。そりゃ女の子はみんな彼のことが好きになってしまうはずだ。本当に勘違いしそうになる、やめていただきたい。

    「い、いやじゃない…俺も楽しいっす」
    「ん、よかった」

     あぁ俺今日幸せすぎ、死んじゃうかも。

    「…御堂センパイ、俺からもお願いが」
    「どうした?」
    「ラビチャ、交換しませんか。連絡先知らないから…」
    「はは!お願いって言うから何かと思えば。もちろんだ、俺からもお願いするよ」

     今が夜で本当に良かった。絶対俺の顔真っ赤だ…こんな顔あなたのことが好きです、って言ってるようなものだ。窓の外を見てるふりをして顔を逸らし、熱い頬に触れた。


    ◇◇◇


    『送ってもらってありがとうございます!先輩は家着きましたか?』
    『さっき家着いた。突然声かけて悪かったな、また学校で』

     ベッドの上で静かに両腕を掲げる。

    「…ッッシャー!よし!ヨシ!」

     あんなに話ができるなんて、車にも乗せてもらえて、連絡先も交換できて…!勇気出して本当に良かった…!

    「はぁ…カッコよかった……」

     生娘の如く、手のひらで熱い顔を覆い夜のドライブを思い出しては何度も新鮮に照れる。恋とは恐ろしいものだ…
     ホテルの約束をしていた男には申し訳なかったが、ものには優先順位がある、許せ。そうだ、このままアプリなんて消してしまおう。もう1度、高校生の時のように目の前の恋に一生懸命になってみよう…何もかも中途半端でどうする。再びスマホを手に取り、マッチングアプリを削除しようと長押しをした瞬間…

    ♪〜

    「…っ…ヒーローさん」

     昼間、楽しくメッセージのやり取りをしたあの彼だ。思わず手が止まる。この人の恋の行方はどうなってしまうのだろう。御堂先輩に抱く恋心と、この男に抱く誠実さとどこか放って置けない雰囲気は、真反対なようで限りなく近いようにも感じる。

    (……まぁ、消さなくてもいいか)

     ちょうどいい、誰にも相談できない恋バナを彼に聞いてもらうとしよう。話し相手だと思えばちょうどいいじゃないか。削除ボタンは押せなかった。

    つづく(^.^)♡
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