マッチングアプリで出会った男が学部の先輩だった【マッチングアプリで出会った男が学部の先輩だった①】
「は……?」
おかしい。どう考えてもおかしい。
『◯◯駅北出口の噴水前、黒のハイネックにロングコートを着ています』
送られたメッセージ通りの場所、服装の人間を探した。誰がどう見ても目の前のこの男しかいない。
今なら間に合う、引き返そう。そう思い振り返ろうとしたのも束の間…
「…え、狗丸?」
………一歩遅かった。
「っあ…えっと……」
「…ライダースに黒のスキニーパンツ」
目の前の男は驚いたように目を見開き、手元のスマホに記されているであろうメッセージの内容と照らし合わせ、何度も俺の顔を確認する。
「あーー…っと…ヒ、ヒーローさん?」
「……わんころさん」
…………。
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