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    あもり

    @34182000

    二次創作小説置き場です。
    現在格納済み:fgo、遙か3、バディミ、スタオケ、水星の魔女、マギなど色々

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    あもり

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    スケブss第二弾、「春日望美のあんまり楽しくない、苦しい、悲しいやつ」お題で書かせて頂いたものです。
    おっ得意分野だ任せて!となったんですが、思った以上に長くなってしまった…。そういう事もありますね。
    ありがとうございました!

    #遙か3
    haruka3

    消えた傷、消せない記憶 それは白龍の逆鱗を手にしてから時空を遡り、京へと拠点を移した数日後の事だった。怨霊を鎮める為にムキになって前に出過ぎた為か、放たれた術を避け切ることができず左腕に直撃した。ひりつく痛みで体勢が崩れかけたが、同じく手にしていた右手の剣を咄嗟に杖の代わりに地面に刺して踏み止まり、その時は凌いだ。が、案の定、無事戦闘が終わってから全員に程度はあれど、怒られが発生したのは言うまでもない。
    「望美、あまり無茶はしないでね」
     しかし1番効いたのはこの、朔のやんわりと優しく嗜められる事だった。
    「でも、私にしか出来ないことだし……頑張りたいなって」
    「……そうね。そうね、だけれど」
     
    「白龍の神子にしか出来ないことがあるのは事実よ。でも、それまでの事は私や皆も助けとなることが出来るわ。だから、頼ってくれていいのよ」
     静かに続ける朔の言葉は、凪のようにやわらかく、望美に響いた。
    「うん……そうだね。ありがとう、朔」
    「勝手がわからないのは、同じだもの。一緒に頑張りましょうね。さて、望美?ほかに怪我したところがないか、見てもいいかしら」
    「うーん、多分ここだけだと思うけど……」
    「反対側の腕も念のため、見せてちょうだい。もし気づかない内に怪我していたら、大変だもの」
     そう言って差し出すように言われると、望美も素直に袖を捲って見せる。けれど思わず声を上げたのは朔ではなく、望美自身だった。
    「あれ、」
     前の時空で、同じく京で怨霊を封印した日に負った傷が右腕についていた。それが綺麗にー消えていた。
     傷がない、という事はその時空の出来事はもう肉体的には"存在しない"ことと同じで、
     なかったことになる。私だけしかもう知らない、記憶。燃える京、それから。気づいた途端に涙がひとつぶ、ふたつぶと瞳から転がり落ちてきた。
    「望美?!どうしたの、急に痛みが出てきたの?待っていて弁慶殿を、「さく」
     朔が弁慶さんを呼びに行くのを必死で止めた。多分、弁慶さんが今の私を見たら何か気づいてしまうかもしれない。それに、私も気が抜けて何か話してしまうかもしれない。仮に打ち明ける事があったとしても、少なくとも今ではないことは確かだった。
    「朔、違うの。ほっとして力が抜けたら安心して……、涙、出てきただけだから」
    「そうよね、私ったら……ごめんなさい。慣れない戦闘で驚いたわよね」
     柔らかく抱きしめられるその体温に、この時まだ朔は生きているのだと思い、ますます涙が溢れそうになった。けれど、唇を噛み締めて堪える。これ以上、朔に心配をかけたくなかった。
    「気分転換をしましょう、兄上にも内緒にしていたとっておきのあたたかい飲み物を持ってくるから。待っていて」
     黙ってその腕の中で頷くと、朔はもう一度抱きしめてから飲み物を取りに望美から離れた。
     ひとり部屋に残った望美は涙を拭いて、膝の上で手を強く握りしめる。
     前の時空で負った傷は、全て次の時空跳躍の際に引き継がれず、消える。なら、これからもたくさんの見えない傷が増えていくのかもしれない。でも、その消えた傷を覚えておこうと望美は思った。それは自分が確かにその時空で生きた証であり、戦った証であり、ー助けられなかった戒めでもあるのだから。
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    あもり

    DOODLE突然始まって突然終わる、シンドバットとユナンの幕間、ユナン視点。時間軸的には本編開始前のつもりです。シンドリアにふらっと遊びに来てはシンドバットのそばに居たいけどいられないことを痛感して離れる、みたいなめんどくさい猫ちゃんムーヴ的行動を何度かしてそうだなぁ〜と思いながら書きました。この2人もなかなか複雑でいいよね。
    不変「言った本人は覚えていない軽くて適当な言葉ほど、うっかり他人を救ってたり殺してたりするものさ」
     開放された窓から南国特有の生ぬるい風が流れてきて、適当に括った髪がそよぐ。僕に向き合うシンドバットの顔は無愛想のままだった。何もとって食いやしないのにと思っていると、
    「そっくりそのままお前に返してやる、ユナン」
    「……ふふふ、根に持つなぁ」
    「俺はお前と違って忘れっぽくないからな」
     わかりやすく捻くれて拗ねた事を言うものだから、思わず笑ってしまう。こんな分かりやすく、変なー警戒心と好奇心があいまぜになった顔。人間の表情筋ってこんな複雑に動くものなんだと感心する。
     それに、こんな人間的で複合的な表情はきっと自分以外にシンドバットは見せないだろう。八人将たちには甘えているからここまで警戒の色は混ざらないし、対外的には七海の覇王としての役どころと面の良さを存分に活かしている。かつて興行として舞台に立った経験も織り込んでいるはずだ。
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    あもり

    PAST24年3月17日春コミで出した、無配ペーパーの小話再録です。そのに。
    2のこちらは、ムーとティトスです。新刊準拠の話ですが読んでなくても「本編最終章終了後、ジュダルが行方不明になったので単独で白龍がレームへ訪問しにきた後の二人の会話劇」とさえわかってれば問題ないです。
    私の割と癖が強く出た話となりました。こっちはしっとり目です。ノットカップリング。
    受け継がれるもの 練白龍が去った後、次の面談先へと元気よく歩くティトス様とは裏腹に、色々と考えあぐねてしまう自分がいた。練白龍は割合、裏表がない青年だ。今回の訪問もどちらかと言えば公人としての彼ではなく、私人としての立場に近いのだろう。だからこそ、あそこまでさらけ出したともいえる。しかし、自身が腹の内を掻っ捌いたようなものだからと言って、それを、同じだけのことを相手に求めさせるのはあまりにもリスクが高すぎる。落ち着いたと思ったが全くそんなことはない。やはり練家の男だと、かつての紅炎を思い出す。
    「ムー」
     くるりとティトス様が振り返った。丸い瞳をこちらに向けてじっと見、そして俺の顔に手を伸ばそうとしていたためすぐに屈む。なんでしょう、と言えば少しだけ笑って口を開いた。
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    あもり

    PAST24年3月17日春コミで出した、無配ペーパーの小話再録です。そのいち。
    アラジンと白龍、2人のデリカシーゼロな話です。
    カップリング要素は白龍とジュダルですが、この話にジュダルは直接出てきません。あとアラジンと白龍はカップリングではありません。2人は飲み友マックスハート!って感じです。そうかな?
    めちゃくちゃ楽しく、カラッとかけました。
    デリカシープラスマイナス お酒というものは、人が普段理性で押さえている様々な箍を外してしまいやすい。アラジンは滅法それに強かったが、対面に陣取る白龍はめちゃくちゃに弱かった。お酒の席はある程度まではご愛嬌。その中で繰り広げられる、馬鹿らしさも面倒くささも、味ではあるのだが。

    「白龍くん飲み過ぎだよ」
    「今日は全然飲んでませんよ」
    「後ろの空の酒樽みてから言ってくれる?」
    「大体こんなに飲みたくなるのはあいつが悪いんです」
    「ジュダルくん?」
    「そうです」
     また勢いよく杯を空ける。あーあーと思いながらも、アラジンは黙って眺めていた。ここまで勢いに乗った白龍の、お酒を止める方が面倒だと経験則でわかっているからだ。
    「俺はずっとアイツがいつ遠征から帰ってきてもいいように色々と準備をしていたんですよ、こっちは!それなのにアイツときたら勝手に色々と初めておいて、」
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    k_ikemori

    PAST過去作_遙か3/現代ED後景望求める心はいつも

     
    聞こえるのは時計の秒針が時を刻む音、ノートの上を走るペンの音、そして自分の溜息…
    「……はあ」
    望美は本日何回目になるか分からない深い溜息と共にノートに走らせていたペンを止めた。
    そして机の上に置いたままの携帯へと視線を落とした。
    先ほどから何度携帯を開いてみても代わり映えしない待ち受け画面で望美はまた溜息をひとつ零した。

    『今が大事な時期なんだからね?』

    そう、残酷な言葉で制した人物を思い浮かべ望美は知らぬ間に眉間に皺を寄せた。
    望美も今が受験前で大事な時期だと重々承知している。…解っているのだがそれでもその言葉を聞いたときの落胆は隠すことが出来なかった。
    「…今日ぐらいいいじゃない。景時さんのいじわる」
    望美は携帯を閉じて不貞腐れたように頬を膨らませ、ペンを置くと机に突っ伏した。

    世の中はクリスマス一色に彩られ受験生の望美もささやかながら何かしたいと思っていた所で景時に釘を刺されたのだ。
    恋人が居ないならまだしも、何が悲しくてクリスマスに一人部屋で淋しく受験勉強をしなければいけないのか。不意に目の奥がツンと痛み視界が滲みそうになって慌てて首を振って紛ら 2070

    k_ikemori

    PAST過去作_遙か3/景望・オリキャラ(娘)がいます。氷原聞いて『景時を幸せにしてやんぜー!』という、勢いに任せて書いた。と、当時のあとがきに書いてあった…花かんむり


    こんな幸せがあるなんて思いもしなかった。


    風が優しく頬を撫で、包み込むように降り注ぐ太陽の光を浴びながら景時は緑の匂いのする空気を胸一杯に吸い込んだ。
    景時はぼんやりと開け、葉の隙間から差し込んでくる太陽の光の眩しさを遮るように手をかざした。
    そしてふと近くにあるはずの気配がない事に気づき、ゆっくりと首を巡らせば少し先に身を屈めて何かをしていて、その姿を捉えた事に安堵して再び目を閉じ、光を遮っていた手を下した。
    彼女と――望美と出逢う前は思い描く事もしなかった幸せが今この掌の中にある。その幸せは全て望美が運んできてくれたものだ。
    望美がいなければ願う事も、手に入れる事も、立ち向かう事すらしなかった。情けない所も沢山見せた男の隣に居てくれる。それすらも受け入れてくれた上、桜色の唇が「好き」と結んだ時は眩暈がしそうなほど幸せだと感じた。
    平家との戦が終わり、幾度もの季節が流れた。
    望美と初めて出会い、色々な花々が咲き誇る春。
    先ほどから微かに鼻腔をくすぐる花の匂いを感じて頬を緩めた。


    その時慌ただしく近づいてくる小さな足音に不思議に思い目を開けたのと、小さな影が眼前 3172

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