日本生まれのNさん「日本生まれのNさんって知ってる?」
「なにそれ?」
「学校の怪談とかこっくりさんとか、オカルト関係で良くないことが起こるとやってくるオジサン」
「知らないな」
「人に危害を加える幽霊とか怨霊を鉈と拳で退治してくれるんだって」
「へぇ。だからこうやって肝試ししても大丈夫、と」
「そう!」
「…もしNさんが退治できないくらい相手が強かったら?」
「その時は宗教団体所属のSさんが来てくれるんだって」
「また怪しい人が出てきたね。その人は何ができるの?」
「霊を食べて使役できるんだって」
「…むしろSさんがバケモノでは?」
「しっ!Sさんの悪口言うと執着がすごいSさんにやられるよ」
「こわ」
「大丈夫。診察室のSさんが治療してくれるから」
「Sさんが渋滞してない?」
「そうかな?」
「…ほら、着いたよ。これに懲りたら立ち入り禁止の場所には近寄らないようにね」
「「はーい」」
***
「お疲れ、Nさん」
「…誰がおじさんだ」
「十代から見たらアラサーはオジサンだよ」
「灰原は教育実習生なのに?」
「それも今日で終わりだよ。帰ろう、七海」
「ああ」