炎陽 その熱視線は、真夏の太陽の如く容赦無く流川の肌を焼いた。
全てを日の下へ晒せと言い募るかのようなプレッシャーは、視線の主に似合わずひどく冷静で、まるで狙いを定めた獲物と対峙する捕食者のそれを錯覚させる。不躾な程真っ直ぐで、汗で張り付くウェアよりも余程鬱陶しい。流川がコートに立つ度に追いかけて、一挙手一投足を逃すまいと食い入るように見つめてくるのだ。
桜木に切っ掛けを与えたのは師の教えだったが、その経緯を流川は知る由もない。しかし、顔を合わせれば喧嘩の売り買いをするしかなかった相手の変化を感じ取るのは容易かった。それほど桜木が、熱を込めた眼差しを注いでくるから。
違和感なら、疾うにあったのだ。
3488