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    鶴丸、恋をする。

    美しい男「恋をした。そうしたらこのザマさ。自分でも驚いた」

     恋をした刀剣男士には錆が生えるのだという。そんな噂話を聞いたことがある。噂話が本当だとわかったのは鶴丸の身体に錆が浮かんでからだった。
     移るから触らないほうがいいぞと忠告され、伸ばした手を止めた。
     誰に、と問う。
     それは内緒さ、と返される。その笑みを浮かべる顔にも錆が生え、引き攣れ、ひどく笑いにくそうであった。
     錆が全身を回れば折れてしまうそうだ。それでも鶴丸は錆をどうにかしようとは考えていないようだった。錆を落としたほうがいいのではないかという進言も聞き入れない。錆を落とすということはその恋心を捨てろということでもある。鶴丸はそれを望まないようであった。
     落としたところで、また生まれてしまうよ。きみにはまだわからないさ。なってみなければな。
     まるで子供を見るかのように目を細めて笑う。
     なあ、きみ。俺のことを醜いと思うかい。
     正直に答えた。
     錆は醜いが、恋をする姿は美しい。悔しいことに。
     鶴丸はその答えに今度こそ声をあげて笑った。
     きみがそんなだから、俺は。
     鶴丸はその先を言わなかった。喉まで生えた錆が、彼の声を奪ったのだと気付いたのはしばらくしてからのことだった。
     それでも変わらず、恋する鶴丸は美しい。
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    silver02cat

    DONEくりつる6日間チャレンジ2日目だよ〜〜〜〜〜!!
    ポイピク小説対応したの知らんかった〜〜〜〜〜!!
    切望傍らに膝をついた大倶利伽羅の指先が、鶴丸の髪の一房に触れた。

    「…………つる、」

    ほんの少し甘さを滲ませながら、呼ばれる名前。
    はつり、と瞬きをひとつ。 

    「…………ん、」

    静かに頷いた鶴丸を見て、大倶利伽羅は満足そうに薄く笑うと、背を向けて行ってしまった。じんわりと耳の縁が熱を持って、それから、きゅう、と、膝の上に置いたままの両手を握り締める。ああ、それならば、明日の午前の当番は誰かに代わってもらわなくては、と。鶴丸も立ち上がって、その場を後にする。

    髪を一房。それから、つる、と呼ぶ一声。
    それが、大倶利伽羅からの誘いの合図だった。

    あんまりにも直接的に、抱きたい、などとのたまう男に、もう少し風情がある誘い方はないのか、と、照れ隠し半分に反抗したのが最初のきっかけだった気がする。その日の夜、布団の上で向き合った大倶利伽羅が、髪の一房をとって、そこに口付けて、つる、と、随分とまあ切ない声で呼ぶものだから、完敗したのだ。まだまだ青さの滲むところは多くとも、その吸収率には目を見張るものがある。少なくとも、鶴丸は大倶利伽羅に対して、そんな印象を抱いていた。いやまさか、恋愛ごとに関してまで、そうだとは思ってもみなかったのだけれど。かわいいかわいい年下の男は、その日はもう本当に好き勝手にさせてやったものだから、味を占めたらしく。それから彼が誘いをかけてくるときは、必ずその合図を。まるで、儀式でもあるかのようにするようになった。
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