「うおっ、……ただいま、類さん。今日は自分で起きれたんだな」
「うん…………ちょっとさむくて」
「あー、そろそろ毛布出さねーとな」
「そうだねえ。……ところで、なに作ってるんだい?」後ろから抱きついたまま肩口から彰人が動かしている手元のフライパンを覗く類
「スパニッシュオムレツ。食います?」
「んー……少しもらおうかな」肩に頭ぐりぐり
「おう。んじゃ顔洗って着替えて来いよ」
「やだ、もうちょっと」抱き締める腕に力が込められる
「……やりにくいんすけど」それまで支障なく動かしていた手をわざわざ止める彰人
「……彰人くんがいじわるだ」くぐもった声で呟く
「コーヒー煎れてやるから。……くっつくのは食った後でな」類の頭を軽く撫でる
「…………はあい」