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    海老🦐

    しんじゃのSSまとめです。

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    海老🦐

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    院生シン様×学部生ジャーファル 1
    現パロ大学生シンジャです。続きますがたぶんあんまり長くないです。
    できてないシンジャがつきあうまでのうだうだです。めっちゃ軽いやつです。

    ■ご注意ください
    ・しばらくは全年齢ですが最終的にがっつりR18になります。
    ・シン様が女の子とっかえひっかえしてるしチャラいです。
    ・うちのジャーファルなのにあんまり塩じゃないです。(これ注意書きなのでしょうか…)

    ##現パロ大学生シンジャ

    ----------------



    いつもつまんなそうな顔しているやつ。

     それが第一印象だった。
     積み上がった資料の砦に埋もれながらゼミ室の隅っこでパソコン画面を睨んでいる姿、図書館の閲覧室で閉館ぎりぎりまで分厚い論文集をめくってる姿、あとは、あとはもうない。記憶にない。
     担当教授が同じというだけの共通点。世話になっている先生の受け持っているゼミの生徒で、助手を頼まれてゼミに参加したときと、研究室に顔を出したときにちょっとすれ違ったくらい。俺は院生だったし向こうは学部生で授業がかぶることもない。ほとんど接点はない。
     授業ではいつも最前列に座って真面目にノートをとっていて、飲み会にはほとんど顔を出さない、珍しく参加しても端の方で親しいごく二、三人とだけ内輪で話し込んでいる。そんなイメージ。
     同級生は揃って「真面目だよな」と評価した。
     そうなんだろう、実際。だけど正直、顔すらろくに思い出せないくらい。それだけの存在だった。

     だから初めてまともに喋ったとき、こんな顔で笑うんだということに驚いた。

     夏休みの真っ最中だった。朝からうだるように暑い日で、明け方まで飲んでた俺はベッドの上で死んでいた。カーテン越しに突き刺してくる朝日がまた厳しくて、ひどい二日酔いで深く眠りにつけず、もう二度と酒なんか飲むものかと後悔しながらうっすらとした意識の底を漂っていた。
     さっきからずっと、スマートフォンが中途半端に耳につく電子音を鳴らしている。枕元に手を伸ばしても空のペットボトルが指先に触れるだけ。さらにぺちぺちと辺りを探れば、隣で寝ていた女の子の柔らかい肌にぺたりと触れた。記憶になくて一瞬ぎょっとする。誰だっけ、この子。そういえばセックスをした、かもしれない。けれどどこの誰なのか、名前すら思い出せない。スマホを部屋のどこに投げたかも思い出せない。仕方なく重い体を起こして、ようやくテレビ台の上にそれを見つける。液晶画面には教授の名前が表示されていた。そこで目が覚めた。
    「もしもし?」
     こんな早くから何の用件だろう。それも夏休みに。そもそも先生が個人的に電話をしてくることなんてほとんどない。
    「もしかしてまだ寝ていましたか? 夏休み中にすまないね」
     先生の穏やかな声が背後の喧騒のせいで聞き取りづらい。どこか外にいるのだろうと思った。
    「いえ、大丈夫です。どうしました?」
     口の中がからからに乾いていて粘つく。声が掠れた。
    「申し訳ないんだけど、ちょっと頼まれごとをしてほしいんだ」
     いつもお世話になっている先生の頼みならもちろん聞かないわけにはいかない。ああそれにしても頭が痛い。水が飲みたい。空のペットボトルをゴミ箱に向かって放り投げる。それはゴミ箱に到達する前にテレビ台の角に当たってぺこんと乾いた音を立てた。

     教授の頼みは大したことではなかった。夏休み中にアルバイトで資料の整理やデータ入力を頼んでいる学生が、今朝もいつもどおり研究室に出勤しているはずなのだが連絡がとれないので伝言を頼みたい、簡単に言えばそれだけだった。先生は急用で(たぶんご家族に何かあったみたいだった)急遽学校へ行くことができなくなってしまったため、部屋の鍵を開けることができない。よって今日は休みにして欲しい。埋め合わせは後日必ず。恐らく研究室の前で待ちぼうけをくらっているその学生にそう伝えて欲しい、そう頼まれた。子どものお使いみたいなもんだ。
     なぜ俺のところに連絡が来たかといえばそれは単に、部屋から学校まで徒歩三分のところに住んでいることを先生が知っていたからだ。サンダルを引っ掛けて近所のコンビニに行くような感覚で気軽に学校に行くことができる。
     面倒だけど仕方ない。俺は脱ぎ捨てたまんまの昨日着ていた服をかき集めると頭からシャツをかぶった。眠っていたはずの女の子がいつの間にか寝返ってこちらを向いていた。「どこ行くの?」と気だるそうに聞く。
    「ちょっと、コンビニ」
     この間買ってもらったばかりのビルケンシュトックに足を入れて、あくびをしながら玄関の扉を開く。ガチャリと重たい金属音が響いて、むっとした空気が全身を包んだ。

     予測通り、十五号館十一階の研究室前には学生が一人、壁にもたれて本を読んでいた。それも文庫本なんかじゃなく、装丁の重そうな分厚いやつ。休み中の校舎は空調こそ効いていたけれど他には誰もいない。だからひと目でそれとわかった。
    「ねえ、きみ」
     声を掛ける。振り返ったその顔を見て、ああ、この子か。と思った。
    「おはようございます」
     向こうは俺のことを知っているようだった。まあ、当たり前といえば当たり前かもしれない。ゼミではちょっと有名な存在だったから。明るくてやさしくて面倒見がいい先輩。たまに飲み会に参加して場を盛り上げてくれる。何しろ顔がいい。特に女の子には人気があった。自分で言うのもなんだけど。
     ただしゼミ生には絶対手を出さないというルールを俺は徹底していた。面倒なことは避けたいし、何より教授に迷惑をかけたくなかったから。

    「伝言を頼まれたんだけど、先生今日、来れないって。急用みたい。なんか連絡つかないって言ってたけど、充電切れてるもしかして?」
     はっと目を見開いて、その学部生は慌てて鞄の中をまさぐった。
    「スマホ、昨日から調子が悪くて、そのせいかもしれません」
     取り出したスマホ画面を必死にタップしている。なるほどそれは仕方ない。
    「充電はちゃんとしたんですけど」
    「そっか、じゃあそういうわけで今日はお休みね。埋め合わせは今度するからって、先生も律儀だよね。そんなことまで伝えてくれって言うんだから」
    「え、あの、それをわざわざ言いに来てくれたんですか?」
    「え? あ、ああ、そうだけど」
     さっと青ざめる。学部生は困ったように眉を下げ、こちらを見上げて早口で言った。
    「それは、そんな、わざわざすみません」
    「いや、別に平気」
     ちょっとだるいけど、いやかなり具合は悪いけど。この子のためというよりは、先生のためなわけであってそれは別に謝ってもらうことでもない、ような気もする。
    「せっかく学校まで来たのに残念だったね、おつかれさま」
     なんでそこでいつもの営業スマイルをつくってみせたのか自分でもよくわからなかったけど、とりあえず人懐こそうににっこり笑いかけてみた。得意なやつ。大抵の女の子はこれでいける。高感度メーターがぎゅんと上がる音が聞こえてきそうなほど。残念ながら目の前にいるのは女の子ではなかったけれど。
    「ありがとうございました」
     そう言ってふわっと柔らかく笑ったその顔をどこかで見たことがあったような、なかったような。思わずじっと見つめてしまった。こんなふうに笑うんだと、それがなんだかとても意外だった。今ちょっと会話をしただけでもその表情はくるくると変わった。いつも仏頂面をしているのかと思っていたのに。
    「いいえ、どういたしまして」
     とりあえず役目は終えたのだからと、それじゃと言いかけてはたと気づく。そういえば名前すら知らない。いや、知る必要なんてあるのだろうか。そもそもなんで名前が必要なんだろうか。逡巡している頭とは正反対に口が勝手に動いていた。
    「名前、なんていうんだっけ」
     突然聞かれて面食らったような顔をしている。名前も覚えていなかったのかと呆れたのだろうか。それとも、名前を教えることに抵抗があったのだろうか。
     なぜか恥ずかしそうにはにかんで、案外あっさりと教えてくれた。
    「ジャーファルです」
    「ジャー、ファル?」
    「はい、ジャーファルといいます」
     そうか、そんな名前だったんだなあと、もしまたこんど研究室で顔を合わせたときに挨拶できるようにしっかり覚えておこうと思った。
    「俺は」
    「知ってます」
     ジャーファルはすっと目を細める。
    「シンドバッドさんですよね」
    「よく知ってるね」
    「有名ですから」
     あ、そう。確かに俺は有名だ。本当のところゼミだけでなく、学内でもけっこう有名だ。それはそうだろう、ゼミ生なら知ってるに決まってる。でもなんかそういう理由ではくて、どうしてかちょっと嬉しい気持ちになった。ごめんな、名前もろくに知らなくて。今度からはちゃんと名前を呼ぶことにするよ。

    「あの、よかったらコーヒーでもいかがですか。お礼にご馳走させてください」
     今度はこちらが面食らった。教授から伝言をあずかってきただけでお礼とは。ずいぶん律儀だなあと感心する。
    「ありがたいんだけど、ごめんな。この後ちょっと用があって。気持ちだけもらっておくよ」
     俺はもっともらしいことを言って丁寧に断った。この後の用事なんて特にないけれど、今コーヒーなんて口にしたら確実にリバースしそうだ。それに眠くて頭が朦朧としている。早いところ家に帰ってベッドでゆっくり眠りたい。
    「そうですか、それではまたの機会に」
     嫌な顔一つせず、ジャーファルは礼儀正しく答えてそれからまたにこっと笑った。
     かわいいなと思った。
     思ってから、何考えてるんだろうと我に返る。眠すぎてだいぶ思考回路がひん曲がっているに違いない。ああ、とにかく今は自分のベッドが恋しい。
    「ああ、ぜひ。それじゃ」
     しかも男相手に何で涼しい顔をつくってかっこつけているのかもわからない。まあでもかわいい後輩だ。このくらいはサービスのうち。軽く片手を振ってペタペタとサンダルを引き摺りながらエスカレーターに乗った。ちらっと振り返るとジャーファルは姿勢よく真っ直ぐに立ってまだこちらを見ていた。

     帰り道にコンビニに寄るのを忘れないようにしなくては。大通りの向こうに渡るのは面倒だけど仕方ない。信号待ちをしながら、容赦ない太陽とすがすがしいまでに青い空を見上げて、それからふと思い出す。
     白かったな。髪も肌も、全体的に色素の薄い、しろっぽいイメージだった。瞳だけが真っ黒で艷やかでまんまるだった。鼻の上に浮いたそばかすのせいで妙に幼く見えた。それとも目が大きいせいか。いつも眼鏡をかけているから気づかなかった。それを隠したくてかけているのだろうか。今度聞いてみよう。いや、そんなこと聞いてどうする。ああでもきっとまた出会っても、今度はすぐにわかるだろう。顔も名前も。

     気づけばコンビニでアイスコーヒーを買っていた。絶対に飲んだら吐く。胃がむかむかして死にそうなのに、どうして買ってしまったのか自分でもわからない。帰り道、だらだらと歩きながらストローに口をつけてちょっとだけ吸い上げてみる。舌の上にコーヒーの苦味が広がる。それだけでぐっと腹の底から何かがこみ上げてきた。きつい。本当に何でコーヒーなんて買ってしまったんだろう。意味がわからない。

     ああ、早く部屋に戻りたい。早足で歩きながら、青信号が点滅しているのを他人ごとのように見守る。わざわざ走るのも今はつらい。帰ったらすぐに眠ってしまいたいけど、そういえば部屋に残してきた女の子のことをふと思い出す。あの子はまだいるだろうか。それともさっさと帰ってしまっただろうか。帰ってくれてるといいのだけれど。もしもまだ部屋を出たときと同じようにベッドの半分を占領して寝ていたら、その横で眠らなくてはならないのか。さすがに床の上で寝るのは嫌だ。一緒にベッドに寝て、そうしたらまたセックスをしないといけないだろうか。何もかもが面倒くさく思えてくる。今はそういう気分ではない。何しろ疲れているのだから。それに気持ちが悪い。そこでなぜか脳裏に浮かんだ。ベッドの上で寝ているのがジャーファルだったら。どうなんだろう。あの白っぽいイメージがふっと湧いて、その瞬間どうしてかほんの少しだけ気分が楽になった。考えて、そして我に返る。
    「なんでジャーファル?」
     思わず声に出していた。白昼の交差点で、信号を待ちながら汗をかいてびっしょり濡れたアイスコーヒーを片手に通り過ぎる車に向かって。慌てて見回す。幸い周囲の喧騒にちょうどよく紛れたのか、誰も聞いてなかったようだ。危なかった。ああそれにしても胃がむかむかする。はああと熱を押し出すようにして静かに息を吐いた。
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    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 10-2
    これで最後です。
    おつきあいくださりありがとうございました!
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     ちょうど改札を出てくるところだった。手を振る前にこちらに気づいて、へらっと笑った顔がかわいかった。シンの、そういうちょっとした仕草が愛おしくてたまらない。
    「二次会、ジャーファルも来ればよかったのに。三年も結構来てるやついたぞ」
     駅構内にはまだ人がたくさんいるのに、シンは構わずに抱き寄せてくる。人前だろうがなんだろうが隠れたりしない。
    「いやですよ、だって絶対シンが酔ってべたべたしてくるもん」
    「なんでだよ、別にいいだろ。俺、みんなの前でおまえとつきあってるって言ってもいいよ。むしろ言いたい」
    「ぜったいにダメです」
     むーーっと口を尖らせて寄せてくる顔をブロックして体を引き剥がす。シンは抵抗ないのかもしれないけど、わたしはさすがにちょっと人前は。
    「ええ、何それひどくない? 俺とつきあってるって知られるのやなの?」
    「嫌ですよ、ゼミの中だけでもあなたのこと好きな女子が何人いると思ってるんですか? あなたは卒業したら関係ないかもしれないですけど、わたしはまだあと一年あるんですよ? いたたまれないですよ、そんなの」
    「へえ、ジャーファルってそう 4653

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    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 2
    現パロ大学生シンジャです。続きです。

    ほんとシン様が女の子にだらしないので、苦手な方は避けてくださいー
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     研究室の冷房はいつも効きすぎていて、長時間籠もっていると外がどんなに猛暑でも手足が冷える。俺は特に、素足にサンダルだし。
    「はい、どうぞ」
     紙袋から取り出したホットコーヒーの紙コップをキーボードの横にちょこんと置くと、ジャーファルが顔を上げた。眼鏡の奥からこっちを見上げる目が真ん丸だ。
    「え? あの」
     明らかに戸惑っている。
    「この間のお詫び。せっかく誘ってくれたのに断ってごめんな」
    「そんな、お詫びだなんて。こっちがお礼をしたかったのに」
    「いいの、いいの。この部屋寒いだろ? ホットの方がいいかなと思って」
     ためらいがちに手を伸ばして紙コップを手に取る。ジャーファルがふわっと笑った。またあの笑顔だ。なんでかそれを見て安心した。
    「ありがとうございます、嬉しいです」
     ジャーファルはおずおずと両手で持ってふーふーしながら口をつけた。女子かよ! 喉まで出かかった突っ込みをごくりと飲み込む。蓋に小さくくり抜かれた飲み口からいくら息を吹き込んだところで無駄だろう。
    「ところで教授は? もしかしてお昼行っちゃった?」
    「いえ、出かけてます。戻りは 3879

    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 3
    現パロ大学生シンジャです。続きです。

    前回から間があいてしまってすみませーん!
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     俺は本当にばかなんだと思う。もう二度と酒なんか飲むべきではない。何やってんだ。
    「なら俺とつきあってみる?」
     じゃない。つきあってみるわけがない。いくら酔ってたからって、何であんなことを言ってしまったんだろう。ジャーファルだってジャーファルだ。そんなの、何ふざけてんですかーとか、適当に笑い飛ばしてくれればよかったのに。大体つきあうって何だ。何をするんだ。あいつと俺で。自分で言っておきながら何もわからない。想像しかけて途中でつらくなる。それはあり得ない。俺は女の子が好きだ。かわいくてやわらかくて華奢で抱きしめたらいい匂いがするような女の子が好きなんだ。
     ああ、ジャーファルも同じように酔っ払ってて、都合よく全部忘れてくれてればいいのに。今はその可能性にかけたい。

     そっと研究室の扉を開けた。おそるおそる覗き込むとパソコンモニタの向こう側のジャーファルと目が合った。俺に気づいたジャーファルは恥ずかしそうにためらいがちにちょっとだけ微笑んで、それからさっと視線を手元の資料に戻してしまう。耳たぶが赤い、ような気がするたぶん。
     俺は心のなかで二十回 7218

    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 7
    現パロ大学生シンジャです。続きです。

    おそいうけ~~
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    「ちょっ、ちょっとシン!?」
     わめくジャーファルを引っぱってエレベーターに押し込む。閉じるボタンを連打すれば、ゆっくりと扉が閉まってエレベーターは静かに上昇し始めた。もう逃げ場はない。それでも俺は手を放さない。
    「痛い、はなしてください」
    「はなさない」
     狭い箱の中で向き合う。俺は口を真一文字に結んで押し黙ったままでいる。明らかにジャーファルは戸惑っているけど、そんなことはどうでもいい。スマートフォンが鳴る。俺のじゃない、ジャーファルのだ。掴まれていない方の手でバックパックのポケットから引っ張り出したスマホを、俺はすかさずジャーファルの手から取り上げた。
    「あ、待って」
     鈍く光っている画面を見る。知らない名前だ。たぶん準ミスだろう。
    「返してください」
    「だめ」
    「さっきの彼女からです」
     だからだめなんだろうが。俺が答えないでいると、諦めたのかジャーファルはため息を一つ吐いた。
    「一体どうしたんですか、いきなりこんな」
    「おまえ、あの子とつきあってんの? 俺と別れて」
    「はあ?」
     ジャーファルは思いきり眉根を寄せた。
    「俺の代わりにあの 5976