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    setsuen98

    @setsuen98

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    setsuen98

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    雪遊びをする🌊🔮。
    2人が何処にいるのかとかはふわっとして読んでください。
    ささみさんからいただいたイラストが可愛くて書いた作品なので、ぜひそのイラストもご覧ください。

    #suuki

     光を受け眩しい程に輝く窓の外の銀世界を眺めながら「雪遊び、したことないんだよね」と独り言のように呟く浮奇の声は迷子の子供のようなどこか頼りない声で、雪の向こうに何かを見るような彼の視線を取り戻そうとその手を引けば、目論見通りこちらを見上げる瞳を覗き込んで得意げに笑ってみせる。
    「じゃあまた私が先生になっちゃおうかな」
    怪訝そうな浮奇にコートとマフラーを手渡してしっかりと防寒対策をさせてから、自分も上着を羽織って観葉植物用の霧吹き片手に彼の手を取り外に飛び出すと、繋いだ手が急な寒暖差にふるりと揺れる。慌てて上着のポケットから愛用の手袋を取り出し差し出すけど、緩く首を横に振ってやんわりと断られてしまった。一部に革を使った手袋だから遠慮させてしまったのだろうかという懸念を先読みしたように「せっかくだから、感触も楽しみたい」と伝えてくれる声音が、先ほどの響きとは異なり僅かに弾んでいるように聞こえることに密かに安堵していた。

    「さて…これから雪だるま…スノーマンを作ります。浮奇くんには、まず雪玉を作ってもらいましょう」
    「あー…OK?」
    「浮奇が作る雪玉が要になるから。綺麗に、固く作ってね?」
    先生っぽさを意識して真剣に話す私の言葉に傾げているのか頷いているのか怪しい角度で首を揺らす浮奇を促せば、辺りを見渡し身を屈め、まだ誰にも踏まれていないふわふわの雪を両掌にこんもりと掬い上げる。そのままぎゅっぎゅっと握ってゆっくり手を解くと予想外に割れて形を崩してしまう雪に困惑する姿を見て、つい可笑しそうに笑ってしまえば眉を歪ませ不快そうに見つめられ、すぐに両手を上げ降参を示す。
    「ごめん、怒らないで。可愛くてつい。さらさらの雪は固まりにくいから、手の熱で溶かしながら固めるか水をかけながらやるといいんだよ」
    「ああ、だから霧吹き持って来てたんだ」
    なるほど、と素直に納得する姿が本当に授業を受ける生徒のように見えて、かわいいなぁ、と和む傍ら近場の雪に水をかけ再チャレンジするよう示しながらさらにその周辺の雪を軽く濡らしていく。私のナイスアシストで先程よりまとまりの良くなった雪を少しぎこちない手つきで丁寧に固めるのを急かすこと無く眺め、出来上がったそれを雪の上に置くよう伝え次の手順を説明しながら冷えた手を取ると両手で包み込みながら息を吹き込み温める。
    「手袋使わなくて平気?濡れてもいいから、気にせずに使っていいんだからね」
    「ん…まだ大丈夫。ありがとう」
    可愛い笑顔で控えめに手を握り返されるだけで私の心臓が全速力で駆け足を始めるのに、すっかり雪遊びに夢中な浮奇はすんなりと手を解いてしまって一人寂しくなるけど、次はどうすればいいのか訊いてくる楽しそうな表情を見ると駄々をこねる事も出来なくて、後で思いっきり構ってもらおうと決めて雪玉を大きくしていくレクチャーをしながら隣で重ねるための雪玉を我ながら綺麗な形で育てていく。そんな中「スハ、どうしよう」とか細く呼ぶ声に其方を振り向くと、ほっそりとした指で指されたそれなりの大きさになった雪玉が歪な形になっているのを見て、きっと一定の方向にのみ転がしてしまったのだろうと察した。
    「形悪くなってるのに気付いて修正しようとしたんだけど、重くなってきたら上手く転がせなくて…どうにかなる…?」
    「そうだねぇ…いい案があるんだけど、ちょっと弄っていい?」
    綺麗な丸が作れなかった事に残念そうに訴える姿を見るうち浮かんだ案を実行する許可を得ると、先程作ったものと合わせて少し小さめの3つの玉を作って並べた上に浮奇作の雪玉を乗せる。日頃抱え上げてる浮奇より軽い筈のそれの方が重く感じるのはなんでだろう?やっぱり愛の差かな?なんてくだらない事を考えながらそれぞれの境目に雪を足したり少し削ったりして形を整えていけば、私の行動を見守っていた浮奇が隣にしゃがみ先程は残念そうに眺めていた雪玉の変身に満面の笑みを浮かべた。
    「Stargazersだ…可愛い!」
    「あ、ちゃんとそう見える?良かった」
    「すごい…ねぇ、スハクア俺が作っていい?」
    「え、作ってくれるの?…なら私はスタゲをもっと可愛く仕上げようかな」
     どちらが上手く作れるか勝負をしようと話し雪だるま作りから雪像作りに変更して家の中から様々な道具を取って来ると、それらを駆使しながら隣同士でそれぞれのファンの姿を作り上げていく。時折お互い様子を見てはそこは違う、此処はこう、などと指示を飛ばし形作った後、最後に顔を掘って仕上げた雪像は予想を上回る可愛さで、二人してどちらも可愛くて甲乙つけられないとはしゃぎながら撮影会を終える頃には気付けば空から大粒の雪が降り注いでいて、どちらからとも無くすっかり冷えきってしまった手を自然に繋ぎ視線を交わす。
    「今日の授業はここまでかな。私の雪遊び講習はどうだった?」
    「すごく楽しかった。ありがとう、先生」
     繋いだ手の甲を親指で摩りながら可愛らしくお礼を言われた事に浮かれていた所為で浮奇がブーツの踵を上げた事に気付く事が出来ず、不意の口付けに大袈裟にびくりと肩が揺れてしまい可笑しそうに笑われてしまった。恥ずかしい。
    「流石に寒くなってきたし、帰ろうか。俺を膝に乗せてコーヒー飲むか、2人でお風呂入るか、ベッドでたっぷり愛し合うか…先生はどれがいい?」
    「浮奇くん?それは先生にする質問じゃないよね?…ちゃんと恋人の私に訊いてよ」
    「じゃあ、ダーリンはどんな風に俺を温めてくれるのか教えて」
     すっかりいつもの調子に戻った浮奇に繋いだ手を引かれながら背を追う最中、ふと目に入った髪の隙間から覗く形の良い耳殼が寒さに赤く染まっている事に気付くと何故か急に愛おしさが溢れ出し、玄関に入るなりブーツのジッパーを下ろそうとする浮奇の耳にちゅ、とキスをした途端、思わぬ速さで反応し繋いだ手を解かれ耳を覆い隠されてしまった。いつもはただただ白く美しいその手すら冷えで薄らと色付いていて、二人の時間がもたらした些細な変化を見つける度腹の底にふつふつと何かが湧き上がり溜まっていく。
     強気で押せ押せな彼が不意打ちに弱いのはもう既に知っている。今だって普段の浮奇からしたら挨拶程度のスキンシップでもこんなに動揺してくれるのだから、きっと更に攻め込めばより一層可愛らしい反応をしてくれるだろう。獲物を前に思わず乾いた唇を舐めて笑みを浮かべると、驚いた猫のように大きな目でじっと見つめてくる浮奇の腰を抱いて「恋人のお望みは叶えなくちゃ」とウィンクをひとつ送った。
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    💘💘💘💘💘💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖☺☺💖💖😭
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    setsuen98

    DONE🌊🔮♀。大学生×社会人。
    過去あげた大学生×社会人のシリーズですが、これだけでも読めます。ですが良ければそちらも読んでみてください。
     先週のデートの際スハがそわそわとしながら手渡してくれた箱の中に収まっていたのは、うっかり指を引っ掛けでもしたら千切れてしまいそうなほど華奢なシルバーチョーカー。
    チャームも何も無いシンプルなデザインながら、フリルのような繊細な動きのあるチェーンはそれだけで上品に存在感を放ち、どんな服装にもマッチするセンスの良い品だが、箱を開けて真っ先に浮かんだ言葉は「誰と選んだの?」だった。ファッションやアクセサリーにそれほど興味がないスハが選ぶとしたら、シンプルなものだとしても何かしらの石やモチーフがついた無難とも言えるネックレスを選ぶはず。彼が一人で選ぶには、デザインが洗練されすぎていた。
     流石にスハのセンスじゃないでしょ、なんてそのまま問うなんてことはせず、オブラートに包んで包んで、それはもう遠回しに訊けば大学の友人達と出かけた際ショップについて来てもらいアドバイスをもらったのだと言うが、「その時に教えてもらったんだけど、チョーカーって“傍にいてほしい”って意味があるんだって」と伏し目がちに照れながら口にしたスハに、そのメンバーの中に女がいたことを確信して問おうとした矢先に続けられた「あと、彼氏がいますって印になるって聞いて……着けてくれる…?」と、私よりも背が高いにも関わらず器用に上目遣いで見つめてくる年下彼氏の可愛さにやられて、もういいか、という気になってしまいイチャイチャタイムに突入した、というのがその時のハイライト。
    3139

    setsuen98

    DONE🌊🔮。芸能人×メイクさんパロ。
    まだ付き合ってない二人です。
     大きな鏡に写る自分の顔を見れば、あまりに不格好な表情に苦笑が溢れる。無意識に眉間に力が入り平素に比べ険しい目元に反して、口元はスタンプを押したようにわずかに口角が上がったまま。デビュー当時から、基本的にいつでも笑顔で、と口酸っぱく言われ続けた教えに忠実に従う自分の表情筋が今は恨めしい。
     デビューしてから駆け抜けてきたこの数年、自分なりに努力を積み重ねてきたおかげか、歌だけではなくテレビ出演や演技など、様々な仕事をもらえるようになった。有難いことに熱心に推してくれるファンもつき、かつて夢見た姿に少しずつではあるが近づけている。それなのにどうにも自分は欲深いようで、同じ事務所の後輩たちがデビューするなり順調すぎるほどのスピードでテレビやステージなど華々しい活躍を見せる度、劣等感と羨望が溢れどうしようもない気持ちに苛まれ、手のひらに爪が食い込むほどに握りしめそうになるのを堪えてすごい!と手を打ち鳴らす。そんな自分の姿が滑稽で醜くて、後輩たちに合わせる顔もなくなって、思考が自己嫌悪で埋め尽くされる。そんな気鬱が続く時がたまにあり、今まさにそんな気持ちを抱えながら雑誌撮影のためにメイクルームに入れば鏡に映るのはこの様。思わず項垂れ、少しでも胸中がすっきりしないかと大きく長く息を吐く。
    3790

    setsuen98

    MOURNING🦁👟みたいな何か。付き合ってません。
     ほぼ満席状態の店内。二人掛けのテーブルにルカと向かい合って座ってから、なんとも言えない無言の時間が過ぎていく。と言っても実際には大した時間は経っていないけど、黙り込んだまま相手が口火を切るのをただ待つ時間は何倍にも長く感じられる。だからと言って、いつもの快活とした姿とは異なり神妙な顔でテーブルを見つめるルカに「話って何?」なんて無遠慮に本題へ切り込むことなんて出来なくて、手持ち無沙汰にカップに口をつけブラックコーヒーをちびちびと啜るしか出来ず、日差しが降り注ぐ外をいい天気だなぁ…なんて現実逃避まがいに眺めていた。
     「シュウに相談したいことがある」と改まって連絡がきた時は、一体何事かと身構えてしまった。まさかルカの身に何か深刻な問題でも起きているのかと心配になり即座に了承の返信を打てば、カフェでお茶でもしながら聞いて欲しいとの思いのほかゆったりとした回答に、勝手な杞憂だったのかと胸を撫で下ろしたのが数日前のこと。ただ実際に顔を合わせてみるとこんな風に一切読めない様子で、大きな問題でないことを願う最中、突然ルカが顔を上げ僕の方を見つめたかと思えば、また直ぐに視線を落とし何度か口をモゴモゴとさせてようやく口を開いた。
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    setsuen98

    DONE🌊🔮。芸能人×メイクさんパロ。
    まだ付き合ってない二人です。
     大きな鏡に写る自分の顔を見れば、あまりに不格好な表情に苦笑が溢れる。無意識に眉間に力が入り平素に比べ険しい目元に反して、口元はスタンプを押したようにわずかに口角が上がったまま。デビュー当時から、基本的にいつでも笑顔で、と口酸っぱく言われ続けた教えに忠実に従う自分の表情筋が今は恨めしい。
     デビューしてから駆け抜けてきたこの数年、自分なりに努力を積み重ねてきたおかげか、歌だけではなくテレビ出演や演技など、様々な仕事をもらえるようになった。有難いことに熱心に推してくれるファンもつき、かつて夢見た姿に少しずつではあるが近づけている。それなのにどうにも自分は欲深いようで、同じ事務所の後輩たちがデビューするなり順調すぎるほどのスピードでテレビやステージなど華々しい活躍を見せる度、劣等感と羨望が溢れどうしようもない気持ちに苛まれ、手のひらに爪が食い込むほどに握りしめそうになるのを堪えてすごい!と手を打ち鳴らす。そんな自分の姿が滑稽で醜くて、後輩たちに合わせる顔もなくなって、思考が自己嫌悪で埋め尽くされる。そんな気鬱が続く時がたまにあり、今まさにそんな気持ちを抱えながら雑誌撮影のためにメイクルームに入れば鏡に映るのはこの様。思わず項垂れ、少しでも胸中がすっきりしないかと大きく長く息を吐く。
    3790

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    DONE🌊🔮♀。大学生×社会人。
    過去あげた大学生×社会人のシリーズですが、これだけでも読めます。ですが良ければそちらも読んでみてください。
     先週のデートの際スハがそわそわとしながら手渡してくれた箱の中に収まっていたのは、うっかり指を引っ掛けでもしたら千切れてしまいそうなほど華奢なシルバーチョーカー。
    チャームも何も無いシンプルなデザインながら、フリルのような繊細な動きのあるチェーンはそれだけで上品に存在感を放ち、どんな服装にもマッチするセンスの良い品だが、箱を開けて真っ先に浮かんだ言葉は「誰と選んだの?」だった。ファッションやアクセサリーにそれほど興味がないスハが選ぶとしたら、シンプルなものだとしても何かしらの石やモチーフがついた無難とも言えるネックレスを選ぶはず。彼が一人で選ぶには、デザインが洗練されすぎていた。
     流石にスハのセンスじゃないでしょ、なんてそのまま問うなんてことはせず、オブラートに包んで包んで、それはもう遠回しに訊けば大学の友人達と出かけた際ショップについて来てもらいアドバイスをもらったのだと言うが、「その時に教えてもらったんだけど、チョーカーって“傍にいてほしい”って意味があるんだって」と伏し目がちに照れながら口にしたスハに、そのメンバーの中に女がいたことを確信して問おうとした矢先に続けられた「あと、彼氏がいますって印になるって聞いて……着けてくれる…?」と、私よりも背が高いにも関わらず器用に上目遣いで見つめてくる年下彼氏の可愛さにやられて、もういいか、という気になってしまいイチャイチャタイムに突入した、というのがその時のハイライト。
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