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    setsuen98

    @setsuen98

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    setsuen98

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    🔗の隣を歩く🔮の胸中。

    #violisko

     サニーの隣を歩く時、ちょっとしたことで「ああ、好きだな」と感じることがある。

     ひとつは、だらりと下されたままの長い腕に俺の指先が触れると、腕と身体の間に俺の手が通るだけの隙間を作って腕を組みやすいようにしてくれること。服にほんの僅かに触れるだけで、何も言わず、視線すらこちらに寄越すこともなく当たり前に受け入れてくれるその仕草が好きで、嬉しさについ腕を組むに止まらずぎゅぅっと腕に抱きついてしまう。まあ、流石に歩く時は片手をサニーの腕に掛けるに留めるけど。べったりと引っ付いて歩いているカップルなんかもたまに見るけど、足が引っかからないように上体を傾けて無理やり身を寄せて歩いているのは正直格好が悪いと思ってしまうから、俺はしない。こんなにいい男の隣を歩くなら、俺自身も美しいと思われる姿でありたいと思うのは当然でしょ。
     体温が高めのサニーはいつも俺より薄着なのに、服越しにしっかりと温かさが伝わってくる。その心地よい温かさと腕の筋肉の感触を堪能しつつ並べば嬉々とした心中がそのまま足取りに反映され、アスファルトを叩くヒールの音もいつもより軽やかに、そして楽しげに聞こえるし、思わず鼻歌だって零れる。
     もうひとつは、信号待ちの時。澱みなく進む足を止めると、チャンスとばかりに一層サニーに近づき両腕でぎゅうぎゅうと抱きつきながら肩に頬を寄せる。そうするとほんの一瞬サニーからも頬を寄せてくれて、時にはこつん、と戯れるように頭を軽くぶつけられることもあり、そんな仕草が可愛くてきゅんとしてしまう。
     この程度のことで浮かれ過ぎだという人もいるかもしれないけれど、そんなのは知ったことじゃない。俺が嬉しくて幸せなんだから、それが全て。


    「サニー」

     少し甘えた声で名前を呼べば、俺の大好きな瞳がこちらを向く。

    「ねぇ、サニー」

     もう一度名前を呼べば、怪訝そうな顔をして首を傾げる。

    「…なんでもない。忘れちゃった」

     どうかしたのかと問う視線に首を振って、へらりと笑ってみせる。無理やり飲み込んだ言葉に味なんてあるはずもないのに、舌の根から喉奥がひどく苦くて、横隔膜がひく、と震え、えずきそうになる。

     こうして必死に彼の腕を捕らえた所で、一番欲しい彼の心はいつでも俺じゃない人に捕われている。そのことが悔しくて、悲しくて、辛くて堪らないのに、俺を選んでと喚く無様で醜い姿なんて見せられないから、溢れそうになる想いを全部無理やり飲み込んで、いつものように美しく口角をあげ笑って見せた。
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    👏👏👏😭👍💯💕💕💕
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    setsuen98

    DONE🌊🔮♀。大学生×社会人。
    過去あげた大学生×社会人のシリーズですが、これだけでも読めます。ですが良ければそちらも読んでみてください。
     先週のデートの際スハがそわそわとしながら手渡してくれた箱の中に収まっていたのは、うっかり指を引っ掛けでもしたら千切れてしまいそうなほど華奢なシルバーチョーカー。
    チャームも何も無いシンプルなデザインながら、フリルのような繊細な動きのあるチェーンはそれだけで上品に存在感を放ち、どんな服装にもマッチするセンスの良い品だが、箱を開けて真っ先に浮かんだ言葉は「誰と選んだの?」だった。ファッションやアクセサリーにそれほど興味がないスハが選ぶとしたら、シンプルなものだとしても何かしらの石やモチーフがついた無難とも言えるネックレスを選ぶはず。彼が一人で選ぶには、デザインが洗練されすぎていた。
     流石にスハのセンスじゃないでしょ、なんてそのまま問うなんてことはせず、オブラートに包んで包んで、それはもう遠回しに訊けば大学の友人達と出かけた際ショップについて来てもらいアドバイスをもらったのだと言うが、「その時に教えてもらったんだけど、チョーカーって“傍にいてほしい”って意味があるんだって」と伏し目がちに照れながら口にしたスハに、そのメンバーの中に女がいたことを確信して問おうとした矢先に続けられた「あと、彼氏がいますって印になるって聞いて……着けてくれる…?」と、私よりも背が高いにも関わらず器用に上目遣いで見つめてくる年下彼氏の可愛さにやられて、もういいか、という気になってしまいイチャイチャタイムに突入した、というのがその時のハイライト。
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    setsuen98

    DONE🌊🔮。芸能人×メイクさんパロ。
    まだ付き合ってない二人です。
     大きな鏡に写る自分の顔を見れば、あまりに不格好な表情に苦笑が溢れる。無意識に眉間に力が入り平素に比べ険しい目元に反して、口元はスタンプを押したようにわずかに口角が上がったまま。デビュー当時から、基本的にいつでも笑顔で、と口酸っぱく言われ続けた教えに忠実に従う自分の表情筋が今は恨めしい。
     デビューしてから駆け抜けてきたこの数年、自分なりに努力を積み重ねてきたおかげか、歌だけではなくテレビ出演や演技など、様々な仕事をもらえるようになった。有難いことに熱心に推してくれるファンもつき、かつて夢見た姿に少しずつではあるが近づけている。それなのにどうにも自分は欲深いようで、同じ事務所の後輩たちがデビューするなり順調すぎるほどのスピードでテレビやステージなど華々しい活躍を見せる度、劣等感と羨望が溢れどうしようもない気持ちに苛まれ、手のひらに爪が食い込むほどに握りしめそうになるのを堪えてすごい!と手を打ち鳴らす。そんな自分の姿が滑稽で醜くて、後輩たちに合わせる顔もなくなって、思考が自己嫌悪で埋め尽くされる。そんな気鬱が続く時がたまにあり、今まさにそんな気持ちを抱えながら雑誌撮影のためにメイクルームに入れば鏡に映るのはこの様。思わず項垂れ、少しでも胸中がすっきりしないかと大きく長く息を吐く。
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    setsuen98

    MOURNING🦁👟みたいな何か。付き合ってません。
     ほぼ満席状態の店内。二人掛けのテーブルにルカと向かい合って座ってから、なんとも言えない無言の時間が過ぎていく。と言っても実際には大した時間は経っていないけど、黙り込んだまま相手が口火を切るのをただ待つ時間は何倍にも長く感じられる。だからと言って、いつもの快活とした姿とは異なり神妙な顔でテーブルを見つめるルカに「話って何?」なんて無遠慮に本題へ切り込むことなんて出来なくて、手持ち無沙汰にカップに口をつけブラックコーヒーをちびちびと啜るしか出来ず、日差しが降り注ぐ外をいい天気だなぁ…なんて現実逃避まがいに眺めていた。
     「シュウに相談したいことがある」と改まって連絡がきた時は、一体何事かと身構えてしまった。まさかルカの身に何か深刻な問題でも起きているのかと心配になり即座に了承の返信を打てば、カフェでお茶でもしながら聞いて欲しいとの思いのほかゆったりとした回答に、勝手な杞憂だったのかと胸を撫で下ろしたのが数日前のこと。ただ実際に顔を合わせてみるとこんな風に一切読めない様子で、大きな問題でないことを願う最中、突然ルカが顔を上げ僕の方を見つめたかと思えば、また直ぐに視線を落とし何度か口をモゴモゴとさせてようやく口を開いた。
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