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    かがり

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    かがり

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    れめさめ。大正風・妖怪ミステリ風味パロ。大正時代に似た雰囲気の架空都市・帝都で妖怪関連のいざこざを解決する軍組織・特務課に所属する憲兵れめと軍医さめさんの物語。続き。クインテット初登場編。

    #ジャンケットバン腐
    junketVanRot
    #れめさめ
    chinkInOnesArmor

    特殊設定れめさめ。クインテット初登場編。(朝、探偵事務所にて)朝の大通りは、人で賑わっている。どの店も開き、カフェは、論戦を交わす客が足を運び、商店街は客引きが商品を手に大声で接客している。村雨と叶はそんな大通りを少し歩くと一本外れ、静かな裏通りを通った。そこにある、二階建ての木造の建物。一階は『かんばやし』と暖簾が出ている甘味処で、朝の今は餡を炊くふわりと優しい香りが漂う。村雨はそこで饅頭を一箱買うとそれを手に外についている二階への階段を登った。二階には『捜し人、失せ物見つかります』の看板。何の建物だろうと叶が思っていると。コンコン。扉をノックして村雨が二階の扉を開けた。
    がちゃ。
    「あ! 村雨さー……あれ、叶さんもいる」
    村雨が扉を開けると、ソファからちょうど立ち上がった洋装の男性が、二人の名を名指しして、首を傾げた。なんでこの二人がいるのが分からない。そんな顔だ。
    「叶。……知り合いだったのか? 真経津君と」
    「あれ。晨君じゃん。礼二君知り合いだったのか?」
    三人がどうして? という顔をする。まとめるように話し出したのは村雨だった。
    「真経津君。知っているらしいが一応紹介する。今日から私の専任護衛役になった叶だ。叶。知っていると思うがこっちは真経津君。探偵事務所の所長だ」
    「あ、叶さんそうだったんだ」
    「真経津君。どうして叶のことを知っていた?」
    「んー? 叶さんにはよく恋文届けてっていう人からの依頼が舞い込んだからね。何度もお届けに行ったんだよ、それだけだけど?」
    「そういうこと。礼二君、どうして晨君と知り合いなんだ? それにさっき出かける前、妖関連の場所って……」
    「ああ。ここの事務所は妖関係の依頼も数多く扱うからな、依頼を出したり情報を得る時には便利だ。……真経津君自体も鏡の半妖だし」
    「あ、そうか前から何だろうとは思ったけど、鏡か。なんか納得」
    「なんだ、知らなかったのか?」
    「いや、人間じゃねーな、くらいには思ったけど……人間の為に働いてる妖まで、無作為に斬ったりしないぞ。いくらなんでも」
    「そうか。私のもう一人の知り合いはその人間の為に妖を働かせていたら妖の耳を斬られかけたといって青い顔をしていたが……」
    「ん? んー……それどっかで聞いた話だな……」
    その時。ガチャ。入り口のドアがまた開いて、一人の洋装の男性が入ってくる。金髪碧眼の美男子。
    「……ああ、来たか」
    村雨は背後を振り返って説明がてら挨拶する。
    「……叶。こっちがその、使役していたオサキギツネを斬られかけた男だ、名前は獅子神敬一」
    「? よお、村雨に……げ」
    「あ、敬一君じゃん」
    獅子神と紹介された男は叶を見て、あきらかに引いていた。怯えているようにも見える。どうしたというのだろう? 叶が名前を知っていることといい。村雨が首を傾げていると、叶が改めて村雨に紹介する。
    「礼二君、紹介するな。こっちがその、政財界のパーティーで管狐を使って情報収集をこっそりさせているのをオレに発見されて、「あんまり派手にやってると、オレに斬られちゃうよ?」って言われてその管狐の耳をかじられた財界人・獅子神敬一君」
    「……なるほど、で、その耳を治療したのが私だ」
    「……なんで村雨がそこの憲兵と一緒なんだよ」
    「まだ説明してなかったな。こっちは今日付で私の専任護衛役になった、」
    「叶黎明だ。あの時は名乗らなくて悪かったな!」
    「いや名乗られていたらもっと怖えーわ!! 村雨……正気か? こいつ、本気で危険だぞ? 必要ならお前も斬るかもしれん」
    「護衛する礼二君にそんなことするわけないだろう!?」
    「……あはは、ボクが説明するまでもなかったね」
    完全に出遅れた真経津がまさかの繋がりのある四人に頬をかいて困ったように言った。
    「じゃあもしかして村雨さん、……天堂さんのことも知ってるかな? これから来るんだけど」
    真経津がそう言うと、ガチャ。タイムリーにドアが開き、長い髪に右目に眼帯をした神父服の男が入ってきた。
    「あ。誰かと思ったら、ユミピコじゃん」
    「……真経津。用は……っと。なんで黎明がここにいる?」
    口を開いた神父服姿の男は叶を見て意外そうな顔をした。叶がそのまま紹介する。
    「礼二君紹介するな。こっちが教会と孤児院の院長で、裏でオレとたまに咎人粛清をしている神父・ユミピコこと天堂弓彦」
    「……おや、村雨も一緒だったか。獅子神君もいるし今日は賑やかだな」
    「……叶。紹介する。その、天堂の孤児院の子供たちに定期的に往診や健康診断、検査に行っているのは私だ。天堂。人が子供たちを診ている時に何をしているんだあなたは」
    「季節の変わり目が特にだが、その子供たちを野生の咎人が狙っているのでな。護るだけではなく時には攻めに転じなくては」
    「転じんでいい、そんなもの」
    「はぁ……世間って狭えよなぁ。まさか全員知り合いとは……」
    呆れたように獅子神が言った。
    「獅子神。天堂とも知り合いなのか?」
    「あ……ああ。教会と孤児院に毎月寄付してんだよ。気持ち程度だがな」
    「獅子神君の寄進は助かっている。子供たちに春用の上着を買ってやれた」
    「おー、それなら良かった」
    「……確かに狭いな。天堂。こっちは今日付で私の専任護衛役になった叶だ。これで全員挨拶したか?」
    全員が顔を見合わせてうんうんと頷く。
    「……で、今日皆に集まってもらったのはね……」
    真経津が全員を応接室に案内して座る。叶は立場上立っていようとしたが、「知り合いなら構わないだろう、座るといい」と村雨に了解をとって村雨の隣に座っている。村雨の反対側には獅子神。
    向かいには真経津と天堂が座っている。
    「花街に出てくる、【人魚事件】のことなんだ」
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