マイネームイズ きれいな子を見つけた。
おそらく、同じくらいの年齢だと思う。
けれど、そのどんな子よりも聡明そうで、堂々として、ひたむきで。
なにより、他に知るどんな子どもたちよりも意志の強い眼差しが印象的で。
いつしか、彼を遠くから見ることが日々の楽しみとなっていた。
この城にいるということは貴族の子女なのだろうか。
陽光に輝く髪も、きらきらとした眸も。伸びやかな四肢も。
あの子を見つけてから、それは密かな宝物。
あの子と話をしてみたい。
名前は何というのだろう?
本は読むかな。小説? 絵本? それとも図鑑?
虫を採ったりはするのだろうか?
中庭の木々には大きな[[rb:蜻蜓 > ヤンマ]]が来ることを彼は知っているだろうか?
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