僕と上司と拾い猫 人生に楽しい事は自分の目に見える範囲、手の届く物だけであればいい。
ジェイド・リーチにとって、例えばそれは他人との付き合いや、仕事で認められる……という事には興味などは無かった。それこそお金というのものは程々あれば良く、しゃかりきになってまで集めたりする必要など不要という発想だった。
程々に、目立たず、普通に。
ガツガツと上昇志向剥き出しで、有能さをアピールし、キリキリ働く、そんな……目の前の彼女のような事をしたいとはとても思えなかった。
「ジェイド、こちらの案件どうなっていますか?」
刃物のような鋭い声がジェイドの耳に届き、彼はいつものよそ行きの笑みを浮かべて
「はい、そちらの件でしたら、先日先方へご連絡して、直接お話をして納得頂いております」
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