狩人達の夜明け双子の狩人
その街は遙か遠く、海を越えた二人の住む国でも噂には聞いていた。曰く、独特で発達した医療によって普通ならば治らない病すらも治すという医療の街。
しかし場所は知らず。
もとより求めていたわけでは無かった二人はその場所へ行くことなど無いと思っていた。
「皮肉なものですね」
扱うには大きすぎる鎚を石畳の上に置き、一汗かいたにしては涼しい顔をしてジェイドとは呟く。辺りには頭部が砕けて潰れた、人間というには奇怪な生き物の死体が転がっている。
「なにがー?」
自分の背と同じくらいの柄の長さを持つ斧を豪快に振り回し、襲ってきたそれを切り裂いて、フロイドが振り返る。
独特の意匠と、近隣でも見かけるタイプの家々と少し変わった形の教会。整備された水道設備すらも見受けられ、文明の匂いがするただ中だというのに、二人の立つ場所は毛に覆われた人間と言って良いのか分からない者達の死体が転がっていた。
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