隣に住むシリアルキラー兄弟に愛されすぎているアズール君 夏の暑さは情緒を壊し、本性も顔を出す
アズールは基本的に夏という物が嫌いだった。
「――あー……」
情けない格好だとかそういう事はどうでも良い。とにかく死なない、これが一番大事だ。
「まさかエアコンが壊れるとは思いませんでしたねぇ」
「災難だったねぇ」
アパートの屋上に置かれた小さなプールで、両手足を伸ばしてアズールはぐったりと水、というよりはお湯になりつつある物に身体をひたして呻いていた。もはや普段であればある程度は気にする見た目すらもかなぐり捨てたその姿にジェイドとフロイドはなんと痛ましいと大げさに目元を拭った。
明らかに面白がっているのだが、それすら今のアズールはどうこう言う気力が無かった。暑さは全ての気力を捨て去る物なのだ。
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