Episode「……ーー神獣様のご加護があらんことを」
朝はミサがあり、信徒達と祈りを捧げ、厳かな空気の中で1日がはじまる。
きゃいきゃいとはしゃぐ人々に囲まれながら信徒の声に耳を傾け、時に頷き、時に助言を施す。
告解の希望があれば施し、おおよそそう過ごしていれば午前の仕事は終わっていた。
「今ねー好きな人がいるんだけどー。あ、リンゼっていうんだけどね?俺のこと放り投げるの。冗談じゃなく本当に」
「へー、ここは恋愛相談室ではないのでお帰りください。国に」
………ここ最近、淫魔に取り憑かれるまでは。
よほど暇なのか、他にすることがないのか朝から晩まで追い回してくる淫魔、もといレイシーを掴んでは投げ、つまみ出しては戻ってくるのを数日繰り返している。
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