王たる者 5・
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生きた心地がしない二週間が過ぎ、彼は僕の元へ戻ってきてくれた。……まだ夢のようだけれど、注射ではないちゃんとした食事を、美味しそうに頬張る司くんを見て、ようやく自分も生きているということを思い出したかのように、つられて腹の虫も鳴った。
「ロゼ! これおいしいな!」
……その笑顔が、また見れるとは。
空になった二人分の食器をメイドに下げてもらい、司くんをベッドへ座らせた。高く昇った朝日が寒かった空気を少しずつ温かくして、腹が膨れた彼はまた微睡みに誘われたのか、まぶたが今にも閉じてしまいそうだ。
「眠くなったら、寝て大丈夫ですよ」
「うむ……」
体が冷えないように布団を腰まで掛けてあげようと持ち上げたところ、彼は小さな手を僕の手袋に乗せてきた。
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