2022.02.06
空を飛ぶ夢を見た。ずっと高い場所にいるのにちっとも寒くないし、息だって白まない。最後の記憶はベッドで途切れていた。だから、夢だ、これは。スカイダイビングとやらを知ったばかりだから、想像が延長して空間を作り上げたんだろう。航空機の扉がうまく想像できなかったものだから、きっと空に撫でられる場面で気が付いたんだ。
どうせならば楽しんでやろうと、どこかを目指して進むたび、強風が僅かに開いた隙間をこじ開ける。あともう少し、自由に動けたなら、望む場所へたどり着けるのに。
視線を上げた。遠く、遠くの、あたたかな雲のなか。四方を包まれたあの場所ならば、誰に見られているとおそるおそるにならなくて済む。自分が自分でなくなるのじゃないかと怯えずにいられる。夢でくらい、誰にも邪魔されず自由でいたい。なるべく早くそこへゆきたくて、羽ばたこうともがいたところで、ようやく気づいた。落ちている。きっと、ずっと、最初から。
982