Recent Search

    nayutanl

    @nayutanl

    無断転載及び無断利用禁止

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💪 🌟 ❣ 💮
    POIPOI 50

    nayutanl

    DONE紫陽花見ながら話してるホワイトとフィガロの話
    ホワイトから見たスノウとフィガロのこととか、フィガロから見たホワイトのこととか
    ほんの少し生きた心地がしないけど、気のせいかと思うくらいのあったかさはある つもり
    あと、文末に話に関するちょっとしたことが書いてあります。
    ハイドランジアの幽霊師匠と植物園を散策―などといえば聞こえはいいが、実のところは連れ回しの刑である。フィガロは曇り空のもと美しく物憂げな色彩の花を咲かせるハイドランジアに目をやりながらこっそりとため息をついた。
    ホワイトがやってきて「ハイドランジアの花が見頃だから出掛けよう」と誘われたのだが、あまり良い予感がしなかったので一度は断ったのだ。断ったのだが、今回の誘いはこちらに選択権がないものだったらしい。有無を言わさず連れてこられてこのとおりである。

    「そなたら、また喧嘩したじゃろう」
    「喧嘩とはいえませんよ、あんなの」

    少し先をいっていたホワイトが戻ってきて、ごく自然に手を繋いできた。こんなことをしなくても今さら逃走なんてしないのにと思ったが、これは心配性なのではなくて物理的な束縛だ。都合の悪い話をするつもりなのであろうことは断った後の出方で何となく察していたが、切り出されるとやはり身構えてしまう。いいことでも悪いことでも、心に叩き込むようなやり方はホワイトの得意とするところなので、分かっていてもわずかに寒気がした。
    2892

    nayutanl

    DONE物理的にめちゃ近距離感のオズとホワイトの話
    精神的にはオズが一方的に少し遠さを感じているような。
    これ(https://poipiku.com/3138344/6044179.html)の続きというか分岐という感じです。先に読んでおかないとちょっとわからないところがあるかも。
    キスをするけど親愛のそれです。でも、見るひとの感覚によってはわからないです。
    雪解けのキス 秘密はいつでも夜にあって、守られていた。朝になればそっとしまいこんで、スノウとフィガロの前では知らん顔をしてみせる。それでも同じ場所で暮らしていて気づかないわけがないから、見え透いた茶番のようだっただろう。
     しかし、それも昔のことだ。あのころよりもずっと大きく広い『家』のようなこの魔法舎で、多くの魔法使いと暮らし始めてからはあのころのようなことはなかった。互いに厄災の傷を負っている身であったし、それ以前に必要がなかったのだ。一人寝のできない子どもではないし、眠れなければその場でやり過ごせるだけの娯楽的要素が自室にはある。それゆえに、必要だけでなく機会も失われていた。
     けれども、何事も不意に起こり突然動き出す。オズは、膝のうえに乗ってきたホワイトを見やり、思った。遠すぎる過去を振り返ってみたが、やはりあのころのホワイトはこんなことはしなかった。彼もスノウも年長者の顔をして保護者気分で接してきていながらも、確かに君臨していた。たまに何ともいえない若作りしたようなことを口走ることはあっても、こんな幼子のような真似などしなかった。少なくとも、自分の記憶のなかには同じ光景はない。そんな気がした。忘れているだけであるという可能性も残っているので、断定するにはもう一手欠けるといったところなのである。
    3436

    nayutanl

    DONE昔、北師弟で四人暮らししていたころ(という設定)のなかでのホワイトとオズの話。
    これも昔の話と今の話ですが、結構強い幻覚なので気を付けてください。なお、例の🥄発売以前に書いた話を前提としているので、フィガロの話し方が結果的に捏造かも。

    蛇足がついてるので、「いる」って何だ? と感じたら下まで読んでみてください。
    愛の才能「「ただいま我が家!」」
     少しばかりの留守の後、現在の我が家に帰ってきたスノウとホワイトに弟子たちが駆け寄ってくる―などといったことはありはしなかったが、自分達の姿を確認し彼らがわずかばかり表情を変えたことには少なからず教育の手応えを感じた。教育とはいえ真似事にすぎないのだが、これでも試行錯誤を繰り返してきたし、総合的に見れば上手くいっているとは言い難い有り様なので、少しでも変化があると報われたような気持ちになってしまう。何年生きてきても単純なところは単純らしい。
    「おかえりなさい。ご無事で何よりです」
     フィガロが見本のような言葉で迎えるその傍らで、オズは唇を結んだまま佇んでいるだけだが、姿を見せるということは自分達の動向に少なくとも興味を持っているということなので、スノウとホワイトは外出の疲れも癒されるような思いで破顔した。
    7639

    nayutanl

    DONE『SEE THE WORLD』向け展示だったものです
    直してもらった後のホワイトと、仮眠明けのフィガロのお喋り
    フィガロが自分の科学者としてのルーツ(※捏造)を振り返りながら今やこれからのことを少し考えたり、ホワイトが甘やかしながらも言うことは言ったりしてる
    傷から始まった変化と、求めていたものの話。
    空想科学少年 なぜ科学者を志したのかと、以前はよく訊かれたものだった。インタビューにおける鉄板であるし、配信番組においては話のフックとして丁度いい。それゆえ尋ねられることは明らかだったので、フィガロはそう訊かれたときには決まって家で飼っていたペットロイドの話を出していた。
     しかしそれは大衆向けの答えである。嘘というわけではないが、決め手となった出来事は然るべき年頃に然るべき経験をして、学んでおくべき場面で失敗したことだろうか。そのときの傷がきっかけのひとつだった。もしかすると家庭環境も影響していたかもしれない。でもいまとなってはよく分からないし、そんな些末なことはもうどちらでもよかった。
     大事にしていたペットロイドはもうとっくに壊れてお別れしてしまったし、好きだったあの子に至っては名前も顔も思い出せない。
    4593