Side:F
近頃何だかディノの様子がおかしい。キースやジュニアが話し掛けてもいつもと変わらないのに俺が話し掛けると明らかに態度が変わるのだ。
「ねぇ、ディノ」
「ふぁい!? ど、ど、どどうしたんだフェイス!」
「いや、どうしたんだって。どうかしてるのはディノの方でしょ?」
こんな風に俺が声を掛けるとちょっと大袈裟なんじゃない? ってぐらい肩を跳ね上がらせ、視線はあちこち宙を彷徨うし、声も上擦っている。まあ理由は言わずもがな先日の俺のディノへの告白の一件だろう。俺がディノに好意を抱いてから色々なアピールをしてみたものの、誰が見ても自分への好意については鈍感だと言われているディノは全く俺の好意にも気付かなかった。だから気は乗らなかったものの、ディノのことなら何でも分かっているだろうキースに相談してディノへ俺らしくもない告白をしたのだ。結果は……、イエスでもノーでもなく“少し考えさせて”だった。だけれど、その言葉を返したディノの表情は今まで見た事も無い感じで、相手に俺の事を“可愛いメンティー”以上の相手、と言う感情を持たせる事が前回の目標だった為、かなり良い結果を出せたのではないかと思う。ディノには申し訳ないけれども彼のファーストキスを奪えた事もかなりの収穫だったし。だから、あの日以降もっと積極的に“好き”アピールをして俺の事が気になって仕方ないぐらいにしようと思っていたのに……。
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