任務というのはなんだって面倒なものだけれど、ダントツで嫌なのはというと、やっぱり張り込みだろう。
ただひたすら、大抵は車の中で、何気ない顔をして待っている。言葉にすれば簡単なようだが、一度やってみればそれがある種拷問時見ていることが理解できるだろう。
二人で出向けば、話し相手になるし多少はマシだというヤツもいる。だけど、それも長引けばあまり意味をなさない。会話で消費できるのは二、三時間が関の山だ。
ただ、一つ利点をあげるとするのならば。
長時間、誰にも会話を聞かれない環境でこそ、切り出せる話もある。
「あのさぁ、クリスとヴィジャイって付き合ってんの?」
「ぶっ!?」
フィンの唐突な言葉に、クリスはちょうど口にしていたカフェラテを吹き出した。ゲホゴホと派手に咳き込むのもそこそこに、クリスは悲鳴のような声を上げた。
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