ひらひら、ひらひら、ひらひら。
薄紅色の広がる景色に、立香は自身の双眼を何度も瞬いた。
まさかレイシフト先で、見事な満開の桜を眺めれることになるとは思いもよらず、故郷にいた頃にも何度か見た眺めに、ついついとして同行するサーヴァント、アーサーの腕を引いた。
アーサーも桜については知識はあるようで、少年に引かれがちに歩きながらも「綺麗だね」と笑ってくれた。
「よし、お花見しよう!団子食べよう!!」
「こらこら、先に通信」
立香がはしゃぐ隣で、アーサーは苦笑を浮かべながらも宥めにかかる。
一応としてはレイシフト。短期で終了目的としているから、同行しているサーヴァントもアーサーのみだ。定時連絡は怠るわけにはいかなかった。
騎士に促されそうだった、と立香は腕に装着していた通信機器で急いでカルデアとの通信を試みた。
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