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    bin_tumetume

    @bin_tumetume

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    bin_tumetume

    DONE
    6日目『With Envy』「飲み物を取ってくるから、楽にしていてくれ」
     そう言い残して、冬弥は自室にオレを置き去りにしていってしまった。冬弥の両親が不在のときにだけやってくるモデルルームみたいなこの部屋は、家具があまりにも少なくてどこに自分の居場所を定めるべきか、数回訪れていても未だに悩む。
    「つってもな……」
     やけに高級そうなデザインの椅子とベッドを見比べて、消去法でベッドに腰を下ろす。今日は振り付けが参考にできそうな動画を何本か冬弥に見せると約束していたから、横並びに座れる方がいいと思っただけで、決して邪な意味はない。……、ちょっとは期待してないと言ったら嘘になるけど。
    「ん?」
     ベッドサイドに荷物を下ろしていると、見慣れないものがベッドの上に転がっているのがみえる。何かと思えば、そこそこのサイズのオオカミのぬいぐるみだ。ティディベアみたいな体型のソイツが寝転んでいるのを手にとってみると、もちもちとした感触が手を跳ね返す。手触りもよくて、なんだかクセになりそうだ。にしても、こんなところに置いてあるってことはもしかして一緒に寝たりしてるんだろうか。コイツを抱えて眠る冬弥の姿を想像して、微笑ましくなる。
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