寮にあるバッティング練習設備に行くと、予想した通りに桃吾がいた。見つけやすい場所にいてよかったと思いながら、さっそく探してたいた理由を話す。
「桃吾、試合の動画、また届いてた。金煌の練習試合もあるけど、見る?」
「……おー、後で見る」
桃吾は少しだけ動きを止めて、それからまたボールに向かおうとした。
桃吾は配球の研究で届いた試合の動画は全部見てるけど、金煌はいつも一番最後にしている。今まではそれでもよかった。
けれど。
「後でいいの? 先発円だけど」
「は!?」
バットを落とすなんて面白いなぁと思っていると、矢継ぎ早に質問が飛んでくる。
「円先発ぅ? 何回まで? 何球投げとる?」
「知らないよ。俺先発円なの見て、すぐ動画止めて桃吾探してたから」
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