雨の日の話を一つ。(クロパパ)バーで飲んだ帰り道。フラフラと歩くクロックマスターに肩を貸しミイラ父ちゃんはその部屋まで送り届けようとしていた。
その途中。急にクロックマスターが外の空気が吸いたいのぉと言い出して、二人は中庭に降り立った。
少し冷たい空気を吸って、クロックマスターがボンヤリと薔薇を眺めていると、呼び掛けられた。
──マスターさん。
「……中に入りましょうか」
「どうした?」
ミイラ父ちゃんが無言で歩き出したため、クロックマスターはあとを追った。扉を閉めた途端。外からザーと言う音がして、クロックマスターは唖然とした。
「分かったのか……?」
はて……なんの事ですかなぁ?
ハッハッハと笑って、ミイラ父ちゃんは歩き出してしまう。
クロックマスターは前を揺れる尻尾を不思議そうに見つめた。
352