願いはひとつ 薄く開いた目に映ったのは、石組みの天井。見覚えはあるのに、頭が回らなくて、その答えにたどり着けない。
「目、覚めたか? よかった」
声のした方へ向こうとしたら、身体がまるで鉛のように重かった。視線だけを巡らせると、そこには安堵したような表情のラハの姿。
「ラハ……ここ……」
「ナップルームだ。ラグナロクで帰還して皆の出迎えを受けたあと、バルデシオン分館に着くなり気を失って倒れたんだよ、あんた。覚えてないか?」
そっと頬を撫でるラハの指先が温かくて心地いい。
相変わらず頭はうまく回らず、断片的な記憶が浮かんでは消えていく。ラグナロク……帰還……。そうだ、終末を退けて、ゼノスと戦って、そして気がついたらラグナロクのブリッジにいた。そのままオールド・シャーレアンに帰還して、皆の歓声に迎えられて。
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