小峠さんと久我くんがご飯を食べに行く話②フロント企業での業務を終えて帰宅しようと階段を降りると、どういうわけかそこに、久我虎徹の姿があった。
俺は小峠華太。本日はサラリーマンのごとく一日中パソコンとにらめっこしていたせいで、目も肩も腰もバキバキになった武闘派()極道である。
思ってもみない来訪者に、俺は思わず身構える。
「テメェ…何しにここに…」
ドスを効かせた声で相手を威嚇…しかけたところで、なんと久我の目がじわりと水気を帯び始めた。まるでチワワが乗り移ったかのような艶々潤々とした瞳を向けられ、俺は思わずたじろぐ。えっ、何、俺、そんなに怖かった…?
訳が分からずこちらがアタフタしている間に、久我はグイ、と、袖口で目元を拭った。そして、今にも嗚咽が零れそうなのを必死で堪えているのか、押し殺したような声で、
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