こっち向けよ!!エルフの襲撃から少し経った頃の王都。
シルヴァ家の次男ソリドは何やらイライラした面持ちで部屋のベッドに胡坐をかいている。
「どうしたの、気に入らないことでもあった?」
部屋に入ってきた姉であるネブラが、訳を聞くが、話したくないのかソリドは
「いや…別に……」
と小さな声で返すと、部屋から出ていく。
胸中に抱えていることは余りにもくだらなくて、話せば笑われてしまい、恥をかくから。
まだ復興途中の区画を大股で歩いていると、何か柔らかいものを蹴飛ばした気がして足元を見れば、膝下くらいまでの大きさのキノコが転がっていた。
「この魔法……」
苛立ちが更に込み上げてきてキノコを踏みつければ、胞子になって消えた。
『ああー!!同胞が!!』
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