交錯君が好きだよ。
初めて会ったその日から。
私が魔法騎士になったのは二十歳の時だった。
幼い弟妹の事が心配でずっと試験を受けるのを躊躇っていたけれど、上の子達が「大丈夫だから」と背中を押してくれたからやっと受けることが出来た。
大分遅く入ったから上手くやっていけるかどうか心配だったけど、家族の為に働きたい私の意思を、団長が組んでくれたお陰で、討伐系の任務を多くやらせて貰えた。
だから、平民としては中々のスピードで昇進出来て…いるのかな?
入団してから二度目の昇進、それに伴って表彰されることになった時、会場で初めて彼と出会った。
余りにも綺麗で、女性かと思ってしまう。
凛としていてそれでいて柔らかさも持つ声音は何時までも聞いていたくなった。
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