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    holic_comic

    @holic_comic

    くりんばとにゃんちょぎ文章を書きます。
    ヘッダーのクマ帽子はまうさん(@Yamauba53)。
    編み伽羅さんはすずさん(@55setouti55)。
    アイコンはうさぎ帝国。
    くりんばが好き。特にDKが好き。
    にゃんちょぎとみつくりとおてたぬとくにちょぎも好きです。
    雑食。成人済腐

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    holic_comic

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    三か月ぶりくらいに書いたよお!オチはない。書けたことがうれしい。パンケーキの話もまた書きたいな。なんしか、イチャイチャしてほしいの。
    文章は手癖がすごいけど今はそれがいい。うふふ。

    社会人にゃちょの、日報の話「猫殺しくん」
     改札の向こうに佇む彼と目があったとたん、思っていた以上に弾んだ声が出てしまった気がする。ICカードをカード読み取り部へ押し付けるのももどかしく改札をくぐると、猫殺しくんがちょっとだけ、照れたように笑って、
    「おー」
    と、言った。
     互いの業務の目途が立たず、こうしてゆっくり会えるのはじつに半月ぶりなのだ。たしょう、浮かれてしまっても、仕方がないと、思う。
     今日は南泉のマンションでのんびり映画でも観ようかという話になっている。あとは、まだ南泉には伝えていないけれど行きたいカフェもある。
     おろしたてのニットの襟元を指先でちょいと弄ると、出かける前につけた香水が淡く聞こえた。
     ちょっと、あからさますぎただろうか。いや、鈍感な猫殺しくんにはこのくらいが、ちょうどいいよね。

     ――とは、思ったけれどね!
    「で? きみ、それ、何しているのかな」
    「んにゃっ」
     マンションに到着するなり、南泉はコーヒーを振舞ってくれることもなく、あまつさえ長義に構うことすらなく、スマホを両手で弄りだしたのだ。
    「長義、わりぃ、コーヒー淹れてくれ」
    と、言われたときは二つ返事で引き受けたけれど、豆をセットして振り返ったらスマホにかじりついてるとか、不可を通り越して万死だと思う。
    「俺よりも? スマホが大事だとでも?」
    「ちが、これは、その」
     うにゃうにゃ言う南泉の手からスマホを奪い取る。長義の知らない相手とのメッセージでも繰り広げていたらスマホを叩き割って帰ろう、――
    「なに? これ。日報?」
    「にゃー……」
    「しかも火曜日のぶん? 俺、ちゃんと火曜に送ったよね? 水曜も、木曜も」
    「……」
     運送業に従事する南泉の業務は日々あちこちを飛び回るため、時間単位の日報の提出が必須らしい。溜め込むと面倒になるこういったことはアポイントごとに都度まとめれば済む話なに南泉はそれすら面倒なのだそうだ。
     だから長義が時間と場所をまとめて、その日のうちに南泉にメールをしているはずだ。長義のデータをもとに毎日作成していれば休日に日報を作成することなどないはずなのだけど?
    「今週は、ちょっと、バタバタしてたし……」
    「ふうん?」
    「雨とか降ったし……」
    「確かに、降ったねえ」
    「あーっ、ごめんなさい長義さん。ちゃんと長義は送ってくれてんのに、オレがさぼってました。ごめんなさい。反省してます。もうしません。ちゃんと長義の言うこと聞きますにゃー」
    「えっ、ちょ」
     南泉は一息にそう言うと、長義の手からスマホを取り上げた。そしてそのスマホをカーペットの遠くへ滑らせると、そのまま長義にのしかかってくる。瞬きをする間もなく、視界が反転した。
     ふかふかのラグにやんわりと押し倒されて、固いのにやわらかい南泉の身体を感じる。あ、猫殺しくんの匂いだ、なんて思っていたら、するりと首筋を舌先でなぞられた。
    「ひゃ、」
    「おわびに、長義のスキなこといっぱいするから」
    「それ、ちが」
     何か違う、って思うけれど、半月以上ぶりの南泉に、もとより長義は逆らえるはずもないのだった。


     ニットをまくりあげられて、南泉の心地よい手のひらに追い立てられるまま熱を放ったときはラグの上だった。けれど、次に目を開いたら、南泉のベッドで毛布にくるまれている。そういえば中途半端に弄られて、もうこのままでいいって言うのに、焦らすみたいにベッドに運ばれたっけ。猫殺しくんってああいうところ、ちょっと、いじわるだと思う。
     目線だけを動かしたら、黄緑色の猫目がじっと長義を眺めていた。
    「――身体、平気か」
     さっきはいじわるだったくせに今はそんなふうに呟いて、長義の前髪をくすぐる。ん、と、短く返事をしたけれど、あんまり音になっていなかった。
    「はちみつレモネード淹れるわ。めっちゃ甘いやつ。待ってろ」
    「それは、いい。あとで。それより、に、」
    「日報なら書いたし、出した」
    「……そう」
     だったら、いいか。ようやく南泉とふたりでゆっくりデートができ……、と、いうより、すでにこの状態ってどうなの……? ――あ、そうだ。
     スウェットだけ履いて、きれいな腹筋を惜しげもなくさらしたままの南泉が、レモネードを淹れてくれるつもりなんだろう、ふいと立ち上がった。慌ててスウェットをつかむ。
    「にゃ! ちょ、ずれる、やめろ」
     力を入れたつもりはないけど、ずれたスウェットの腰まわりから南泉の下着が少し覗く。あ、今日、そのパンツなんだ。ていうか、なんで恥じらうんだろ。
    「お前のそういうとこなー」
     わずかに頬を朱くして南泉が口を尖らせた。そういう顔もかわいいね、なんて思ったけれどそれは口に出さない。そのかわり、
    「あのさ、モンブラン食べたい。パンケーキの」
    「へ? モンブランって、あの、栗のクリームがうにゃうにゃってのってるケーキか? つか、パンケーキ? どっちだ?」
     指先をちょいちょいと動かす。ちょっとその、スマホ貸して。
     南泉の手からスマホを奪って、力の入らない指先で検索バーに文字を打ち込む。今日、南泉と行きたいなと思っていたお店。ハワイアンテイストの、今風な感じの。
    「へえ。こんなとこあんだな。うちからだと車で20分くらいかぁ。――今から行くか?」
    「うん」
    「このモンブラン食うの?」
    「あと、ベリーのやつも。どっちも」
     一人で二つは食べれないから、南泉とシェアをするのは当たり前。南泉もそれはわかっているようで、
    「へーへー」
    なんて返事を寄越した。長義はシーツを鼻の下まで引き上げてにんまりと笑う口元を隠す。

     猫殺しくん、言質はとったからね。モンブランと、ベリーのパンケーキを、食べようね。

     直径30センチの皿に乗ったそれぞれのパンケーキを前に
    「でけえ!」
    と、南泉が叫んだのは、また次の話。
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    holic_comic

    MOURNING社会人パロです。長義くんと国広くんはメーカーのシステム部に所属しています。

    長義くん…本社から出向している社員
    国広くん…支社採用の社員
    清麿さん…本社での長義くんの同僚

    長義くんは国広くんより二年先輩やけど、システム部に配属されたのは同時なので「同僚」のような関係で仲良しなのです。

    ここまで書いて、「前もやったな」と、思ったのでお蔵入り。
    国広は長義の何なんだ(南泉談)
    長義の同僚「――えっ。清麿が来てるのか」
    「何。誰」
     もうすぐ終業というタイミングで、長義が自身のスマホを見て珍しく声をあげた。そしてお約束の「寝そべる姿勢」から身を起こして、スマホの画面に向かって親指を動かす。
     誰って? きよまろ? 知り合い?
    「うん。同期なんだけど、出張でこっちに来てるから寄るって、……もう、いつも急なんだから……」
    「へえ……。長義の同期……。なんでわざわざ連絡を?」
    「だから、出張でこっちに来たんだって」
    「飯食いに行くのか?」
    「そうだねえ……。せっかくだし、行けたらいいかな……」
    「なんで? そいつ、長義に何の話があるんだ?」
    「さあ……? 行けばわかるんじゃない?」
    「おかしいだろそんな急にあんたに話があるとか!」
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    holic_comic

    DONEバレンタインのにゃんちょぎを彷彿とさせる伯仲です。

    社会人パロです。

    ・長義くんと国広くんは同僚
    ・南泉くんは定期的に集荷にやってくる宅配業者
    ・国広くんには中距離恋愛中の彼氏がいます
    ・国広くんはちゃんとチョコレートを用意しているのかは謎。してなさそうこの子

    会話しているだけのバレンタインですが、よろしければお付き合いください!
    chocolate? 南泉が集荷に来る曜日と時間帯ははいつも決まっていて、けれど集荷エリアでチェックをしたら、よほどのことがない限りこちらには来ない。たとえすぐそこに、愛しい恋人氏が寝そべるみたいな妙な姿勢でパソコンを睨みつけていても、だ。
     業務中だから当たり前といえば当たり前なんだけど、どうしてここからやんごとない関係に発展できたのかは、国広は謎で仕方がない。
     そんな月曜の午後、珍しく南泉がふらりと国広の座る島までやってきた。――残念ながら長義は経理部との打ち合わせに行って、いない。
    「よお。長義、いねえよな」
    「――ああ」国広は壁の時計をちらりと見上げて答えた。「あと三十分くらいはかかると思うぞ」
    「ふうん」
     南泉はどうでもいいみたいに返事をして、それから、ことりと長義のデスクに缶入りの飲み物を置いた。スリムなタイプの缶は、こげ茶色のフォルムをしている。
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