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    しの

    shira_an_ishi

    INFO7月13日 星に願いを ノイマン受けオンリー"日誌を伏せた操舵手"で発行のハイノイ短編集「今日はなんの日?まとめ。」のサンプルです。

    「今日はなんの日?」と「今日はなんの日?そのに。」を再録したものとなります。

    10月27日の無配・ハロウィンのお話、冬至のお話、Xで投稿済み7個の再録と、書き下ろし6個を収録予定です。

    サンプルとして書き下ろしの一つ、5月4日みどりの日のお話を掲載します。
    魅惑のエメラルド次々と口の中に消えていくホットドッグ。見ていて気持ちがいいくらいによく食べる。大口を開け、がぶりと齧るとケチャップとマスタードが溢れ出た。口の端に付くケチャップも厭わず、次の一口へと進むのだ。
    「…よく食べますね」
    「そうか?あんたはそれで足りるのかよ」
    「えぇ、僕はこれで十分です」
    ハインラインはコーヒーを一口すすり、少し足りないくらいがちょうどいいんですと伝えた。ふーん、とさほど興味がないようで、ノイマンは黙々とホットドッグを食べ進める。
    「付いてますよ」
    「ん?」
    「ケチャップ」
    「どこ」
    「そこです」
    指で示すが見当違いの場所を拭いとっている。そこではないと誘導するが上手くいかなかった。まぁいいや、と諦めるのが早いノイマンは口の端のケチャップを気にもとめずにかぶりつく。
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    ✦✦✦

    MEMOまたコピー本になってしまったけど、前回は8ページだったので12ページに増えたのは成長と言えるかもしれない
    脳内整理用のメモ

    ⚫︎綾人の泣き顔が描きたい、でも感情が昂って泣くところを描きたいわけじゃない…と考えると、わたしの浅い引き出しにはもう「玉ねぎ」しか残っていなかった
    ⚫︎綾人に関しては前回と比べるとかなり表現したい印象に近づけた気がする(当主然としていて余裕がある、本心をはかりかねる、けれどトーマに対して真摯でいようとする気持ちはある)
    ⚫︎前回は「綾人に一発かますトーマ」だったので今回は逆パターンを描いてみたかった
    ⚫︎あえて「涙を流した"記憶はない"(≠泣いていない)」という台詞にしたのは綾人にちょっと卑怯な言い回しをさせたかったから(と言いつつも本当に泣いたことはなさそうだけど)
    ⚫︎ネームを切った段階では深く考えてなかったけど、この話の2人はあくまで友人・主従の関係であって恋人同士ではないイメージ
    ⚫︎なのでトーマが綾人を抱きしめた理由としては「愛しい人が泣いているから」というより「焦燥感に駆られたから」
    ⚫︎前回のメモで「『友人・主従の枠内にギリ収まるが、友人・主従にしては距離感がバグっている』くらいのラインがいちばん萌える」と書いたけど、今回もそういうテイストを目指したので自分のトマ人のサビってここなのかも(普通に考えれば目上の成人男性の涙を見て慰める手段が「抱きしめる」になることはそうそうない)
    ⚫︎友人で主従で幼馴染だけど、それだけじゃない、それ以外に確かに2人の間にある「名前をつけることが難しい"何か"」を匂わせるような話が描きたい
    ⚫︎それはそれとしてイチャイチャしてる2人も大好きなので明日には違うこと言ってるかもしれない
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    hyoukaaisu

    DOODLE『イサ三、すまないイサ三、ゆるしてくれ』
    ブレイサ
    イサが出家した数日後くらいに
    夜な夜な
    『イサ三、すまないイサ三、ゆるしてくれ』
    住職からすればイサを拐かす妖の類いの声にしか聞こえず
    朝、起きて見れば巨人の足跡や、手型が地面に残っていたりして
    イサが本当に神隠しのように消える
    一般的に見たらホラーな話を書きました。

    イサもイサでいた痕跡すら残さず消えたら住職が驚くまで想像できてしまった。
    『イサミ、すまないイサミ、ゆるしてくれ』今日、1人の青年が仏道を修行する為に門をくぐった。

    「初めまして、本日からよろしくお願いいたします」
    悲しそうに伏せられる青年の瞼は、どこか色ぽく、
    真っ直ぐにこちらを射ぬくアーモンドの瞳は、この道を唐突に目指す者としては珍しくガラスのように透明で美しく輝いていた。

    「ああ、初めましてアオ・イサミ君。
    私はここの住職だ。
    わからないことがあればなんでも聞いてくれ
    ささ、入ってくれ」
    「はい」
    靴を脱ぎ、静静と長い廊下を歩く姿もまた水彩画のように儚く、ほんの少し目を離してしまえば消えて無くなってしまいそうな程なのに、
    ズボンから見える鍛え上げた二本の脚は何年もそこにある大木のように逞しく、生命力に満ち溢れているようにも見えるのだから不思議だ。
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