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    ぱれっと

    shimotukeno

    DONEこの前ワードパレットで書いたプリンスのフーイル(ちょびっと加筆)
    ping pong mum  来客を告げるチャイムに、イルーゾォは面倒そうに顔を上げた。
     イルーゾォと同じく今日はオフのホルマジオは、インターホンを確認してイルーゾォに視線を送る。イルーゾォへの客人だった。誰であるかは言わずともわかる。彼女が大儀そうに腰を上げると、ホルマジオは完全に野次馬気分でついていった。
     玄関ドアを開けると、ギィィと不満げにきしんだ音と共にフーゴが現れた。伏目がちで、瞳の色は前髪と長いまつ毛に阻まれてよく見えない。だがきっといつもみたいにどこか自信なさげな目をしているだろうことは想像に難くない。今回もダメそうだな、とホルマジオは苦笑した。
     あの日――イルーゾォが退院した日――何があったかはよく知らないが、あれ以来フーゴはイルーゾォに何度も交際の申し込みをしに来ていた。だが連戦連敗である。どうもフーゴはイルーゾォとの歳の差を意識して、少しでもスマートに、大人っぽく背伸びしようとしているのだが、逆にそれがイルーゾォのお気に召さないらしく、完全に裏目に出ているのだ。作戦を根本から変えなければいけないのに、それに気付かないフーゴがもっと背伸びしようとするので連敗記録を更新し続けている。フーゴのしょんぼり顔はもうチームでもおなじみである。
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    hhaannoo0011

    PROGRESSワードパレットで募集したやつ
    #鍾蛍
    書きかけでここから🔞になるよてい
    絡み合う指 背伸び 彼好み「ああ、ちょっと。君はまだ飲めない年齢だろう。これはお酒だよ」
    「あ、そうだね......はは、危ない危ない」
    璃月のとある飲食店で飲み物を頼もうとしたらお酒だったらしく、問答無用で頼めなかった。もう覚えてないし、世界を渡るごとに世界の時間の流れもまた違うから、正確な時間も分からないので定かでは無いが蛍はテイワットに来てから五百年程経過している。見た目はうら若き少女だが、テイワットで過ごした(封印されて眠っていた時間有り)時間分蛍の年齢が加算されているとすれば、蛍は最低でも五百歳である。ただ、蛍の身体の成長は普通の人間よりも格段に遅いのかもしれないし、五百歳などという通常の幅を超えた訳の分からない年齢を盾にしてお酒を飲ませろと主張するのも何か違うような気がする。ある程度の年齢を超えたら実年齢よりも若く見てもらいたいと思うが、蛍の見た目年齢はそこまで行っていないし、蛍の見た目年齢くらいの年の子なら、少し大人っぽく見てもらいたいと思う子の方が多い。蛍も例に漏れない。大人っぽく見て貰えた方がどちらかと言うと嬉しい。事実、宝盗団やエルマイト旅団の奴らは蛍を見ると「なんだこのガキ」と言うことが度々ある。その度に蛍は実力で「分からせて」きた。
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    hiromu_mix

    DONEアイスクリームパレット:ラムレーズン(淡い思い出 / 異物 / 背伸びをする)
    あの日、大人になりたかったから部屋に備え付けの戸棚の引き出しを開けると、救急セットや常備薬に混ざって、奥の方。それだけぽつんと異物みたいに、封を切った煙草の箱がコロンと置いてあって、俺は、こんなとこにあったんだなと苦笑した。以前は鞄の奥底に仕舞い込んでいたが、うっかり見つかったらヤバいかも、とさすがに持ち歩かなくなった。それを持っていてもいい年になった今、懐かしい気持ちで俺はそれを見つめ、手に取った。中身はすっかり湿気って、きっともう吸えないだろうけど。
    買ったのは18歳の終わり。勇気を出して封を切ったのは19歳の時。煙草を吸うという行為は、それまでいわゆる悪いことをしようと思ったことのなかった俺に、後ろめたい、という感情を思い知らせた。誰にも見つからないように。部屋のベランダで隠れるように身を潜めて深夜、そっと火をつけた。ファットガムが吸うのを見てると、簡単に付く火がなかなかつかなくて――吸わないと付かないということを知ったのはそれからだいぶ後だった――何度も100円ライターを擦って、やっと煙が緩く経ち上ったときにはホッとした。けど、一気に吸い込んで咽て、俺の煙草デビューは三口吸って終わり。口の中に広がる味が苦くて、胸のあたりがむかむかして、最悪な気分。それに、吸ったらもしかして自分も少しは大人になれんじゃねえかなって期待もむなしく、吸ったところで俺は何も変わらなかった。いくら背伸びしたところでファットガムみたいに、なれるわけもなかった。同じ銘柄の煙草の香りのおかげで、ほんの少し、纏う匂いが彼と同じになっただけで。
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    hiromu_mix

    DONEアイスクリームパレット:ダブル✨
    パイナップル🍍(完全無欠 / とける / 熱帯夜)
    マンゴー(甘い囁き / バカンス / 火照る)
    ウチの彼氏が最高すぎる沖縄までファットガムと二人、チームアップに来て、無事に任務完了。
    ここまで来て、仕事だけして帰るなんて勿体ねえけどまあ仕方ねえかって思いつつ。沖縄にもこんなホテルあんだなって意外に思ったシンプルなビジネスホテルの、そんな窓からでも見えるきらきらと朝日を跳ね返して輝く、コバルトブルーの海を切島は少しばかり恨めしく睨んだ。初めて来たっていうのに一度も海に入ることもなく。体験したのは、想像していた以上の暑さと太陽の近さと、熱帯夜だけで。
    部屋で荷物をまとめてロビーまで降りれば、すっかり脂肪を使い果たしたファットガムがちょうど、隣のエレベーターから出てきたのでそのまま合流。黄色に、真っ赤なハイビスカスが付いたやけに派手なアロハシャツは、多分最初から持ってきたものではないはずで。いつのまに買ったんだろとぼんやり、切島が見上げていれば、ファットガムは手慣れた様子でチェックアウトを済ませていた。終わったでと言いながら切島の分まで荷物を持ち上げたので、慌てて持ちますと言えば、ええねん、とファットガムは笑って。そして、てっきり空港まで直通のリムジンバスを待つのかと思いきや、ホテル前のロータリーを逆方向に向かって歩いて行くので、切島は慌ててその背を追いかけた。
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    human_soil2_oto

    DONEワードパレット:女教皇 直感 海 傷つく
    恋を証明せよ! 私の部屋には箱がある。

     貴方に言えずに呑み込んできたいろんな言葉を綴って折った、小さな紙がたくさん詰まった段ボール箱。
     時が経つほど嵩を増す中身は、ただのゴミでしかないはずなのに、捨てる気にはなれなくて。
     この箱が満ちるまで、貴方が私の心に気づかなければ、私は貴方とさよならするのだ。随分前に、そう決めた。

     貴方はきっと私のことなど大して好きではないのだろう。コイビトであるはずなのに、一番でも、唯一でも、特別でもないのだろう。それもそうだ。家族、友人、仲間たち……貴方の周りには私なんかよりずっと大切な人がいると、私はとっくに知っている。

     コイビトなんて肩書にはなんの意味はない。貴方が私に向ける言葉や仕草にだってなんの価値もない。貴方にとってはなんでもない言葉や仕草に、意味だの価値だのを見出して、宝物みたいに抱き締めて、小さな幸せに縋っているのは、私なのだ。何もかも私の勝手なのだ。期待しても裏切られるだけだと、飽きるほど繰り返したはずなのに、今度こそはと信じてしまうのも、悲しいくらい私なのだ。私を一番傷つけてくるのは貴方なのに、私を一番幸せにしてくれるのも貴方なのだと気づいた日の絶望を、貴方は理解できないだろう。
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