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    まい

    再走(サイソウ)

    DONETL膝膝企画、三回目の開催おめでとうございます&ありがとうございます!
    前作(https://poipiku.com/4918557/11429448.html)の続き、「懸想している」と自覚した別本丸出身の二振り目と、彼の片思い相手に思い当る世話役の一振り目の話。
    終わらせるつもりだったのが続いてしまいました…。
    ※二振り目が薄緑と呼ばれています
    傾ぎ流れる 空調の風が規則的に首筋を撫でては遠のいていく。温湿度が管理された書庫で、薄緑は今日も何冊かの書物を紐解いていた。
     書庫のすみに設えられた机の上に、まるで塔のように積みあがっているのは、いずれも恋愛に関する本である。医学的なものから風俗的なものまで、とにかく恋愛について触れたものなら見境なく本棚から抜きだして、ただひたすらに読みふけった。すべてはあの日、「まるで相手に懸想しているようだ」と膝丸に言われた一言がきっかけだった。
     ――しかし、果てしない……。
     非番のたびにこうして書庫を訪れるようになって二週間ほど経つ。これまでに読んだ本の数は……端から数えてなどいなかったので不明だが、その感情の底知れなさを証明するように、いくら知識として身に着けても自分事として咀嚼できるかはまた別問題だった。
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    みやこ

    MOURNING書きかけでずっと放置してるので供養
    死の描写だけで満足してしまってすけべがどうでもよくなってしまいましたの札
    ベビド女体化その後 命を落とす時というのは、どんな感覚になるものか。
     もし、ただ一瞬で永遠に覚めない眠りに就くだけだと思っているのなら、それは幸せな事だ。実際はそんな安らかなものじゃない。例えるなら、冷たく底のない深い深い泥にじわじわと吸い込まれていくような。体が末端から順に冷たくなり、動かなくなり、言う事を聞かなくなり、抗いたくても叶わない。段々と暗闇に飲み込まれ自我が失われてゆくのを、ただ成す術も無く感じている。ついさっきまで確かに自分自身を構成していたはずのものが、暗闇に溶けて散逸していくのだ。傍からは既に目を閉じ心の臓が止まり死んでいるように見えても、暫くはそうやって内側で藻掻き苦しんでいる。それは決して愉快な感覚ではない。何度も経験していれば、ああ自分は死ぬのだな、というのが嫌でも理解できてしまう。勿論蘇生してくれる仲間が側にいることはわかっている。しかし死を恐れる本能はそんな事では覆い隠せない。もしも蘇生してもらえなかったら。失敗されたら。自分はどこへ行ってしまうのか。この意識はどうなってしまうのか。もう二度と光を見ることは叶わないのか。そんな何か途方もない恐ろしさに全てが塗り潰され、そしてそのまま意識が薄れていくのだ。
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