まほやく
nayutanl
DONE愛弟子の世話を焼きたい衝動にかられた双子と、巻き込まれた愛弟子の話平たく言うと、手料理振る舞いたい双子と付き合わされる愛弟子 かも
あたりまえのように昔四人で暮らしてた設定が採用されています。
時が流れていろんなことがあって、もうあの頃と同じではないけど、あの味は(作り方は)忘れてないっていう。今回も文末に妄言が書いてあります。
愛の原型 料理なら、ちょっとくらいはできる。不自由せず、作りたいと思ったものを概ね想像したとおりに作れる程度の腕はあると自負している。
その気になれば魔法でなんとでもできることのひとつではあるのだが、時間を持て余したり気が向いたりしたときには暇潰しにふたりしてあれこれ作っていた。多少手間はかかるが、それはそれでいいのだ。調理や皿洗いをしていると、集中力が高まる。魔法は消費だが、自分の手でやることによって癒しになりうる。
スノウもホワイトも、自分達の手でなにか作る時間とそれを食べる時間を日常としてそれなりに大切にしていた。ふたりきりの食卓に、ひとり、もうひとりと増えても。増えたことでより大切に、そして楽しんでいた節もある。
4883その気になれば魔法でなんとでもできることのひとつではあるのだが、時間を持て余したり気が向いたりしたときには暇潰しにふたりしてあれこれ作っていた。多少手間はかかるが、それはそれでいいのだ。調理や皿洗いをしていると、集中力が高まる。魔法は消費だが、自分の手でやることによって癒しになりうる。
スノウもホワイトも、自分達の手でなにか作る時間とそれを食べる時間を日常としてそれなりに大切にしていた。ふたりきりの食卓に、ひとり、もうひとりと増えても。増えたことでより大切に、そして楽しんでいた節もある。
nayutanl
DONE【十五夜の魔法使い】企画に提出したものです担当は北、スノウとホワイトでした。ふたりがフローレス兄弟を出会い頭に誘ってお茶会をする話です。
とっておきのお茶、自慢の手作りお菓子、特別な時間。おおよそそんな感じ。
ムーンナイトティーパーティー 談話室から戻る道すがら、ルチルとミチルは廊下でスノウとホワイトに出くわした。
夕食後から少し経ち、そろそろ自室に戻って自分の時間を過ごして寝支度をという時間だったが、スノウとホワイトは絵の中ではなく昼間と変わらない姿でいる。抜け出る気になれば出てこられるとは言っていたので、それ自体は不思議なことではないのだが、意外な時間に意外な場所で出会ったものだから、兄弟はふたりして少なからず驚いたのだった。
「スノウ様、ホワイト様。こんばんは」
「こんばんは! こんな時間に、どうしたんですか? お腹空いちゃったんですか?」
ルチルとミチルが挨拶をしてから尋ねると、双子はにっこり笑ってそれぞれふたりの腕を抱くようにして捕まえた。その様子は、一見すると幼い子どもが年上の相手に甘えているように見えるが、スノウとホワイトがただ甘えるような仕草をしているだけではないことにルチルは何となく気づいていた。ふたりは、なにか明確に用事があってこうしているのだと。
3140夕食後から少し経ち、そろそろ自室に戻って自分の時間を過ごして寝支度をという時間だったが、スノウとホワイトは絵の中ではなく昼間と変わらない姿でいる。抜け出る気になれば出てこられるとは言っていたので、それ自体は不思議なことではないのだが、意外な時間に意外な場所で出会ったものだから、兄弟はふたりして少なからず驚いたのだった。
「スノウ様、ホワイト様。こんばんは」
「こんばんは! こんな時間に、どうしたんですか? お腹空いちゃったんですか?」
ルチルとミチルが挨拶をしてから尋ねると、双子はにっこり笑ってそれぞれふたりの腕を抱くようにして捕まえた。その様子は、一見すると幼い子どもが年上の相手に甘えているように見えるが、スノウとホワイトがただ甘えるような仕草をしているだけではないことにルチルは何となく気づいていた。ふたりは、なにか明確に用事があってこうしているのだと。
nayutanl
DONE物理的にめちゃ近距離感のオズとホワイトの話精神的にはオズが一方的に少し遠さを感じているような。
これ(https://poipiku.com/3138344/6044179.html)の続きというか分岐という感じです。先に読んでおかないとちょっとわからないところがあるかも。
キスをするけど親愛のそれです。でも、見るひとの感覚によってはわからないです。
雪解けのキス 秘密はいつでも夜にあって、守られていた。朝になればそっとしまいこんで、スノウとフィガロの前では知らん顔をしてみせる。それでも同じ場所で暮らしていて気づかないわけがないから、見え透いた茶番のようだっただろう。
しかし、それも昔のことだ。あのころよりもずっと大きく広い『家』のようなこの魔法舎で、多くの魔法使いと暮らし始めてからはあのころのようなことはなかった。互いに厄災の傷を負っている身であったし、それ以前に必要がなかったのだ。一人寝のできない子どもではないし、眠れなければその場でやり過ごせるだけの娯楽的要素が自室にはある。それゆえに、必要だけでなく機会も失われていた。
けれども、何事も不意に起こり突然動き出す。オズは、膝のうえに乗ってきたホワイトを見やり、思った。遠すぎる過去を振り返ってみたが、やはりあのころのホワイトはこんなことはしなかった。彼もスノウも年長者の顔をして保護者気分で接してきていながらも、確かに君臨していた。たまに何ともいえない若作りしたようなことを口走ることはあっても、こんな幼子のような真似などしなかった。少なくとも、自分の記憶のなかには同じ光景はない。そんな気がした。忘れているだけであるという可能性も残っているので、断定するにはもう一手欠けるといったところなのである。
3436しかし、それも昔のことだ。あのころよりもずっと大きく広い『家』のようなこの魔法舎で、多くの魔法使いと暮らし始めてからはあのころのようなことはなかった。互いに厄災の傷を負っている身であったし、それ以前に必要がなかったのだ。一人寝のできない子どもではないし、眠れなければその場でやり過ごせるだけの娯楽的要素が自室にはある。それゆえに、必要だけでなく機会も失われていた。
けれども、何事も不意に起こり突然動き出す。オズは、膝のうえに乗ってきたホワイトを見やり、思った。遠すぎる過去を振り返ってみたが、やはりあのころのホワイトはこんなことはしなかった。彼もスノウも年長者の顔をして保護者気分で接してきていながらも、確かに君臨していた。たまに何ともいえない若作りしたようなことを口走ることはあっても、こんな幼子のような真似などしなかった。少なくとも、自分の記憶のなかには同じ光景はない。そんな気がした。忘れているだけであるという可能性も残っているので、断定するにはもう一手欠けるといったところなのである。
nayutanl
DONEクロエの二年目お誕生日記念に書いたものです。176cm組です。プレゼントを用意するヒースとルチル、いろんなことをぎゅっと噛み締めるクロエ
一年目のはこちら→https://poipiku.com/3138344/4783621.html
ルーチェ #2 季節は晩秋を過ぎた、初冬のある夜。ヒースクリフとルチルは、日付が変わって今日迎えるクロエの誕生日のための作業に追い込みをかけていた。
夜も更けて、起きていることなど滅多にないような時間になってきたが、朝が来ればもう作業を進める時間はない。本来ならいまごろは確認まで終えていなければならないのだが、ままならないのが人生(とムルには言われた)。余裕をもって考え始めたつもりでも、考えていることと実際にできることは違っていて、再考を繰り返しているうちに作業ができる時間を削ってしまったのだった。
ふたりがクロエに贈ろうと決めたのは、道具箱である。クロエの自室には度々入らせてもらうことがある二人だが、入る度に布や服飾資材が増えているのを見て、なにか彼の助けになるものがいいだろうと話し合って決めた。
1669夜も更けて、起きていることなど滅多にないような時間になってきたが、朝が来ればもう作業を進める時間はない。本来ならいまごろは確認まで終えていなければならないのだが、ままならないのが人生(とムルには言われた)。余裕をもって考え始めたつもりでも、考えていることと実際にできることは違っていて、再考を繰り返しているうちに作業ができる時間を削ってしまったのだった。
ふたりがクロエに贈ろうと決めたのは、道具箱である。クロエの自室には度々入らせてもらうことがある二人だが、入る度に布や服飾資材が増えているのを見て、なにか彼の助けになるものがいいだろうと話し合って決めた。
ryokucha913
DONE【猫たちのティータイム】展示2:過去作品まとめ猫たちのティータイム開催おめでとうございます!
過去のオールキャラ作品だけを集めてまとめました。
PASSは会場のお品書きをご確認ください。→解除済み 7
skhktnk_nzm
SPOILERまほやく2部を読んだオタクの悲鳴書きなぐり鮮度が大事だから(?)特に推敲したりまとめたりしてないよ
1枚目だけ1部と2部の感想だよ
最後は時間置いて冷静になってから書いているよ 5
chiocioya18
DONE月花妖異譚時空 本編より少し前の話すべては妄想の産物です
薬種問屋組+ムル編 私はムル好きです(自己弁護)
月花前日譚 三薬種問屋の店内は昼でも薄暗い。薬の中には日光に当てると変質してしまう物も多いからだ。
店番のヒースクリフは輝く美貌を憂いに沈めていた。今は無人の店内は数分前まではひどく混雑していた。それが薬を求めて来た客なら商いとしては喜べたのだが、大半はヒースクリフを一目見たいがために集まってしまった、有り体に言えば冷やかしの客たちばかりだった。街の瓦版に、幸福をもたらす微笑みなどと妙な記事が掲載された時期から、そんなお客が一気に増えてしまったのだ。はじめはヒースクリフも応対していたが、しつこいお客にまごついている内に収集がつかなくなったため、本来用心棒のはずのシノやカインが店先で客の出入りを抑えている始末。
店の跡取りとしてあまりに不甲斐ない現状に、深い溜息をついてしまう。
1917店番のヒースクリフは輝く美貌を憂いに沈めていた。今は無人の店内は数分前まではひどく混雑していた。それが薬を求めて来た客なら商いとしては喜べたのだが、大半はヒースクリフを一目見たいがために集まってしまった、有り体に言えば冷やかしの客たちばかりだった。街の瓦版に、幸福をもたらす微笑みなどと妙な記事が掲載された時期から、そんなお客が一気に増えてしまったのだ。はじめはヒースクリフも応対していたが、しつこいお客にまごついている内に収集がつかなくなったため、本来用心棒のはずのシノやカインが店先で客の出入りを抑えている始末。
店の跡取りとしてあまりに不甲斐ない現状に、深い溜息をついてしまう。
chiocioya18
DONE月花妖異譚時空 本編の少し前の話すべて妄想の産物です
レノックス+ファウスト編
月花前日譚 二木漏れ日の朝の地面は万華鏡のように光が揺れる。茂る枝葉をたまに頭に引っ掛けながら、レノックスは迷いない足取りで進む。目的の小さな庵に着くと、丁度中から庵の主が出てきたところだった。
「ファウスト様。お久しぶりです」
「レノックス。また歩いてきたのか。一本下駄で山道なんて正気じゃないと言ったのに」
「鍛錬に丁度いいので」
「いや飛びなよ。きみも天狗だろう」
呆れた溜息を零すファウストの顔色は白い。隈取りで分かりにくいが、目の下にも疲労が見える。
「あまり眠れていないのですか? 体調が優れないのでしたら、出直しますが」
「たまたま夜更かししただけだ。きみが来るのは前々からの予定だ。調整できなかった僕が悪い」
言いながらファウストはレノックスに藤籠を手渡した。中身はファウストが煎じた薬だと聞いている。桜雲街の薬種問屋へ卸すのだ。
1119「ファウスト様。お久しぶりです」
「レノックス。また歩いてきたのか。一本下駄で山道なんて正気じゃないと言ったのに」
「鍛錬に丁度いいので」
「いや飛びなよ。きみも天狗だろう」
呆れた溜息を零すファウストの顔色は白い。隈取りで分かりにくいが、目の下にも疲労が見える。
「あまり眠れていないのですか? 体調が優れないのでしたら、出直しますが」
「たまたま夜更かししただけだ。きみが来るのは前々からの予定だ。調整できなかった僕が悪い」
言いながらファウストはレノックスに藤籠を手渡した。中身はファウストが煎じた薬だと聞いている。桜雲街の薬種問屋へ卸すのだ。
chiocioya18
DONE月花妖異譚時空 本編の少し前の話すべて妄想の産物です
ファウスト+ブラッドリー編
月花前日譚 一月が明るい夜だ。はらり、はらり、仄紅い花弁がファウストの足元に落ちた。
桜雲街の大桜は月の光を好むが、大抵の妖怪も同様だ。ファウストだって例に漏れない。
ファウストはぼんやりと夜空を見上げていたが、不意に月に影が差した。雲ではなく、人影だ─それも、多数の。
連なる影の形から見て有翼種。同族かとファウストは顔を顰める。空を飛べる種族はいくつかいるが、こんな夜に月の光を遮るなんてどんな妖怪でも行儀が悪いと非難される行為だ。かといって、わざわざ注意しに行くほどファウストもお節介ではない。呆れた溜息をひとつ吐くだけで、自分も住処へ戻ろうとした、その時。
ガササッ!!
すぐ近くの叢から音がした。野生動物にしては何の気配もしない。不思議に思って音のした辺りを掻き分けてみると、ぽつんと黒っぽい物が転がっている。
2369桜雲街の大桜は月の光を好むが、大抵の妖怪も同様だ。ファウストだって例に漏れない。
ファウストはぼんやりと夜空を見上げていたが、不意に月に影が差した。雲ではなく、人影だ─それも、多数の。
連なる影の形から見て有翼種。同族かとファウストは顔を顰める。空を飛べる種族はいくつかいるが、こんな夜に月の光を遮るなんてどんな妖怪でも行儀が悪いと非難される行為だ。かといって、わざわざ注意しに行くほどファウストもお節介ではない。呆れた溜息をひとつ吐くだけで、自分も住処へ戻ろうとした、その時。
ガササッ!!
すぐ近くの叢から音がした。野生動物にしては何の気配もしない。不思議に思って音のした辺りを掻き分けてみると、ぽつんと黒っぽい物が転がっている。