アサルトリリィ
6_rth
DONE3/27の惹き合う運命で頒布したたつみそコピー本の全文です。徹夜くらい楽勝でしょ 辰姫がよく話す子だと、そういうイメージが固まったのはいつの頃だろう。
「ねぇ聞いて弥宙。先週、釣りに行ったんだけど、もう本当に久しぶりだったの! 早く暖かくならないかなってずっと準備して待っていたから、やっと行けて、それでね……」
マシンガンみたいに途切れることがない辰姫の話。趣味の渓流釣りにやっと行けた嬉しさ、だけじゃない。辰姫はだいたいこんな感じだ。
お昼休みのラウンジは、常に誰かの話し声で満ちている。喧騒の中で一人、ベンチに掛けて雑誌を読んでいたら辰姫がふらりとやって来て、知らない間に話が始まっていた。
「ねぇ弥宙ってば」
「なによ。忙しいの、見たら分かるでしょ?」
「辰姫がいるのに?」
「うん」
7226「ねぇ聞いて弥宙。先週、釣りに行ったんだけど、もう本当に久しぶりだったの! 早く暖かくならないかなってずっと準備して待っていたから、やっと行けて、それでね……」
マシンガンみたいに途切れることがない辰姫の話。趣味の渓流釣りにやっと行けた嬉しさ、だけじゃない。辰姫はだいたいこんな感じだ。
お昼休みのラウンジは、常に誰かの話し声で満ちている。喧騒の中で一人、ベンチに掛けて雑誌を読んでいたら辰姫がふらりとやって来て、知らない間に話が始まっていた。
「ねぇ弥宙ってば」
「なによ。忙しいの、見たら分かるでしょ?」
「辰姫がいるのに?」
「うん」
6_rth
DONEしぇゆ未満。自覚がないしぇん、察したヌーベル。添える程度にしか出てこないゆ。
星火燎原 星が閉じ込められていた。
よろしければどうぞと差し出したのは、同じレギオンに所属している楓さんだった。これはどうしましたのと聞いてみれば、実家から送られて参りましてと、にこりと笑う。
ラウンジの隅のテーブルに二人でいた。講義がそろそろ終わる時刻になる。周囲には人の気配が少なく、少し離れたところに数人座っているのが見えるだけだ。彼女たちが辛うじて上級生だと分かるくらいには、距離があった。
「たまの甘味も必要でしょうと。走り続けるにはエネルギーが要りますもの」
欧米の血が半分流れているその顔つきは、やはり彫りが深い。しかし、それでいて近寄り難いとは感じさせない。輪郭の柔らかさだろうか。
「そうですわね。わたくしたちが最大限に力を発揮するには、わたくしたちだけではいけませんから」
8696よろしければどうぞと差し出したのは、同じレギオンに所属している楓さんだった。これはどうしましたのと聞いてみれば、実家から送られて参りましてと、にこりと笑う。
ラウンジの隅のテーブルに二人でいた。講義がそろそろ終わる時刻になる。周囲には人の気配が少なく、少し離れたところに数人座っているのが見えるだけだ。彼女たちが辛うじて上級生だと分かるくらいには、距離があった。
「たまの甘味も必要でしょうと。走り続けるにはエネルギーが要りますもの」
欧米の血が半分流れているその顔つきは、やはり彫りが深い。しかし、それでいて近寄り難いとは感じさせない。輪郭の柔らかさだろうか。
「そうですわね。わたくしたちが最大限に力を発揮するには、わたくしたちだけではいけませんから」
雪風(ゆきかぜ)。
DONEパロディ。元ネタは「二川二水@アサルトリリィ原作公式(@assault_lily)」と言うアカウントが呟いていた「因さんはみんなにいじられてる時はだいたいこういう顔をしてます^^」
と言うツイート。
(https://twitter.com/assault_lily/status/1269287995305103361)
せつなでもそういうシーンが見たい。
鍋底のおこげ
DONE中等部で3人髪型お揃いにしてたらいいなぁ…さくみさんが亡くなって……
約束を交わした治様はそのままツインテ…
梓さんはポニテに……いやなんで2人だけで約束したんや…梓さんも混ぜてあげて…ここの幼馴染詳しくもっとやって…
6_rth
DONEたつみそ安定のみそ→たつ
こういうのがね、好きなんですよね…
毒を仰ぐ「プレゼント?」
思わず聞き返した言葉に、樟美は無言で頷いた。控え室にたった二人でいるのは珍しかった。普段であれば他の幼馴染や先輩であったり、彼女のシュッツエンゲルがいるのだけれど、各々の予定の都合で先に控え室に来たのはわたしたちだけだった。
「ソラ姉様と、いっちゃんに……」
「日頃のお礼ってこと?」
目を伏せて小さく頷くその姿は、噂に違わず妖精みたい。それにしても突然の試みだ。大人しい性格だけど、樟美は意外と突拍子もない言動をすることがある。今回もその類なのかもしれない。
「何をあげようか、考えたんだけど……あんまり思いつかなくて……」
「それでわたしに相談ね」
相談する相手としてはあかねぇか依奈様かわたし辺りに絞られそうだし、その中だったら一番話しやすいわたしになるわね、と納得する。
5246思わず聞き返した言葉に、樟美は無言で頷いた。控え室にたった二人でいるのは珍しかった。普段であれば他の幼馴染や先輩であったり、彼女のシュッツエンゲルがいるのだけれど、各々の予定の都合で先に控え室に来たのはわたしたちだけだった。
「ソラ姉様と、いっちゃんに……」
「日頃のお礼ってこと?」
目を伏せて小さく頷くその姿は、噂に違わず妖精みたい。それにしても突然の試みだ。大人しい性格だけど、樟美は意外と突拍子もない言動をすることがある。今回もその類なのかもしれない。
「何をあげようか、考えたんだけど……あんまり思いつかなくて……」
「それでわたしに相談ね」
相談する相手としてはあかねぇか依奈様かわたし辺りに絞られそうだし、その中だったら一番話しやすいわたしになるわね、と納得する。
6_rth
DONE喜怒愛楽「明日には年が変わってるんだね」
教導官に見つからないよう、灯りを落とした部屋。カーテンの向こうからそっと差し込む外の闇の方が明るい。
私の言葉に、隣の神琳がそっと身じろぎをした。布が擦れる音。動きに合わせてベッドの中に篭った熱が少しだけ外へ出て行った。
「あと、一時間半程度でしょうか」
その声音はどこか億劫そうで、普段彼女の方が就寝時間が早いことを思い出した。私も、二人でくっついている温かさに意識が遠のいていきそう。
「今年は、いろいろなことがあったな……」
「えぇ、わたくしもです」
百合ヶ丘に来て、レギオンを組んで、ギガント級を討ち取った。他にも大小、数えきれないことがあったけれど、そのすべてに神琳がいる。
864教導官に見つからないよう、灯りを落とした部屋。カーテンの向こうからそっと差し込む外の闇の方が明るい。
私の言葉に、隣の神琳がそっと身じろぎをした。布が擦れる音。動きに合わせてベッドの中に篭った熱が少しだけ外へ出て行った。
「あと、一時間半程度でしょうか」
その声音はどこか億劫そうで、普段彼女の方が就寝時間が早いことを思い出した。私も、二人でくっついている温かさに意識が遠のいていきそう。
「今年は、いろいろなことがあったな……」
「えぇ、わたくしもです」
百合ヶ丘に来て、レギオンを組んで、ギガント級を討ち取った。他にも大小、数えきれないことがあったけれど、そのすべてに神琳がいる。
6_rth
DONEループアウトループ周りに誰もいないことを確認してから、植え込みの角を曲がる。それから噴水や寮を横切って、さらに進む。もう少し。
大きな木の下が私の目的地。そこには予想通り、先客がいた。
「今日もいるんだ」
声をかけたつもりはなかったけれど、私の存在に気がついたのかゆっくりと尻尾が揺れた。薄い茶色の毛並みは穏やかな日に照らされて、きっと触れれば心地いいのだろう。
木陰に腰を下ろす。日差しが心地よいのか、動く気配はない。ただ、尻尾がゆるゆると動いているだけ。
私も何をするわけでもなく、それを視界に捉える。風の音しか聞こえない。日常を送るガーデンにいることを忘れてしまいそう。
いつだったか、梅様と鶴紗さんに連れて来られたのがここだった。よく猫がいる場所があると言われて、手を引かれて連れて来られた場所。確かにいつ行っても一匹は猫がいて、私が道順を思い出さずとも行けるようになるまでそれほど時間はかからなかった。
1447大きな木の下が私の目的地。そこには予想通り、先客がいた。
「今日もいるんだ」
声をかけたつもりはなかったけれど、私の存在に気がついたのかゆっくりと尻尾が揺れた。薄い茶色の毛並みは穏やかな日に照らされて、きっと触れれば心地いいのだろう。
木陰に腰を下ろす。日差しが心地よいのか、動く気配はない。ただ、尻尾がゆるゆると動いているだけ。
私も何をするわけでもなく、それを視界に捉える。風の音しか聞こえない。日常を送るガーデンにいることを忘れてしまいそう。
いつだったか、梅様と鶴紗さんに連れて来られたのがここだった。よく猫がいる場所があると言われて、手を引かれて連れて来られた場所。確かにいつ行っても一匹は猫がいて、私が道順を思い出さずとも行けるようになるまでそれほど時間はかからなかった。
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DONE目測を見誤る渋にあげた時の書き下ろし、モブ注意。
「お二人とも、今日も仲がよろしいのね」
そう言ったのは、通りがかりの椿組のリリィだった。次いでごきげんようと挨拶する彼女は、神琳のクラスメイト。名前は……以前に一度、遠くから呼ばれているのを聞いただけだからすぐに思い出せない。
私と神琳は顔を見合わせる。視線が一瞬だけ交わって、先に彼女へ向き直ったのは神琳だった。
「雨嘉さんとはルームメイトですもの」
「一番仲のよろしいルームメイトは、お二人ではありませんか? よく話題にあがっていますよ」
「あら……そうなんですの? お褒めに預かり、光栄ですわ」
淀みなく話を進めていく神琳の隣で、私は曖昧な微笑みを浮かべた。顔しか知らない人に応対ができるほど、人付き合いは上手じゃない。悲しいけれど。
1830そう言ったのは、通りがかりの椿組のリリィだった。次いでごきげんようと挨拶する彼女は、神琳のクラスメイト。名前は……以前に一度、遠くから呼ばれているのを聞いただけだからすぐに思い出せない。
私と神琳は顔を見合わせる。視線が一瞬だけ交わって、先に彼女へ向き直ったのは神琳だった。
「雨嘉さんとはルームメイトですもの」
「一番仲のよろしいルームメイトは、お二人ではありませんか? よく話題にあがっていますよ」
「あら……そうなんですの? お褒めに預かり、光栄ですわ」
淀みなく話を進めていく神琳の隣で、私は曖昧な微笑みを浮かべた。顔しか知らない人に応対ができるほど、人付き合いは上手じゃない。悲しいけれど。
6_rth
DONEノンカフェインふわりと部屋に広がったカモミールの香りに、思わず目を細めた。カップを満たす薄い茶色の液体は、飲む前からその香りで心を解してくれるようだった。
「神琳」
お盆に乗せて、テーブルへ向かう。名前を呼べば神琳は読んでいた教本を閉じて私へ向き直った。
「お茶、入ったよ」
「えぇ、ありがとうございます」
教本を棚に戻した神琳がまた椅子に腰掛けたから、カップを置いてその正面に座る。
ゆったりとカップを傾ける所作の優雅さを視界に入れながら、私も一口含む。鼻へ抜けるその香りの良さに、ほぅと息を漏らした。
この間、購買で見かけて買ったカモミールティーは、消灯時間前に二人で飲む用として普段は戸棚の奥の方に置いている。別に隠すわけでもないけれど、二人だけの秘密ができたようで、何となくそれに心地よさを感じていた。
1684「神琳」
お盆に乗せて、テーブルへ向かう。名前を呼べば神琳は読んでいた教本を閉じて私へ向き直った。
「お茶、入ったよ」
「えぇ、ありがとうございます」
教本を棚に戻した神琳がまた椅子に腰掛けたから、カップを置いてその正面に座る。
ゆったりとカップを傾ける所作の優雅さを視界に入れながら、私も一口含む。鼻へ抜けるその香りの良さに、ほぅと息を漏らした。
この間、購買で見かけて買ったカモミールティーは、消灯時間前に二人で飲む用として普段は戸棚の奥の方に置いている。別に隠すわけでもないけれど、二人だけの秘密ができたようで、何となくそれに心地よさを感じていた。
6_rth
DONE累何となく、何となくでしかないけど、私を見つめるその目が、いつもと違う気がした。
日曜日の午後。模擬戦や訓練を午前中にして、特に予定もないゆったりとした時間。
窓の外は綺麗に晴れて青空。遠くに聞こえるのは、午後から訓練を始めたのであろう生徒の声。絵に描いたような穏やかな日だ。
一柳隊で揃ってランチを取ってから解散になり、自室に戻ってきたのが多分2時間くらい前のこと。
ルームメイトの神琳は図書館へ行って不在。私一人だと部屋ががらんとしているように思えるのは、いつも隣にいる神琳が華やかな人だからかな。手入れの行き届いた柔らかそうな亜麻色の髪に、目が覚めるようなオッドアイ。彩のある彼女がいないと、部屋は無機質に見える。
1865日曜日の午後。模擬戦や訓練を午前中にして、特に予定もないゆったりとした時間。
窓の外は綺麗に晴れて青空。遠くに聞こえるのは、午後から訓練を始めたのであろう生徒の声。絵に描いたような穏やかな日だ。
一柳隊で揃ってランチを取ってから解散になり、自室に戻ってきたのが多分2時間くらい前のこと。
ルームメイトの神琳は図書館へ行って不在。私一人だと部屋ががらんとしているように思えるのは、いつも隣にいる神琳が華やかな人だからかな。手入れの行き届いた柔らかそうな亜麻色の髪に、目が覚めるようなオッドアイ。彩のある彼女がいないと、部屋は無機質に見える。
6_rth
DONEしぇんゆ熱源いつもの部屋。いつもの寝巻き。
そしていつもの通り、隣には神琳。
きっと他の人から見れば、私たちはずっと変わらず、良きルームメイトなのだろう。実際、よく言われる。仲がいいねって。
「雨嘉さん?」
「神琳……」
名前を呼ばれて、声の方向へ顔を向けると、神琳がこちらを見つめている。
「ぼんやりしていらしたから。体調でも悪いのですか?」
「ううん。そうじゃないの……ちょっと、考えてただけ」
気遣わしげな表情に微笑んで応える。嘘ではないのが伝わったのか、その表情は幾分か和らいだ。
「ならよろしいのですが……」
「大丈夫。ありがとう…神琳」
ベッドに腰掛けたままの私を見つめて立っている彼女は、黙ってその綺麗な目をほんの少しだけ揺らす。
1301そしていつもの通り、隣には神琳。
きっと他の人から見れば、私たちはずっと変わらず、良きルームメイトなのだろう。実際、よく言われる。仲がいいねって。
「雨嘉さん?」
「神琳……」
名前を呼ばれて、声の方向へ顔を向けると、神琳がこちらを見つめている。
「ぼんやりしていらしたから。体調でも悪いのですか?」
「ううん。そうじゃないの……ちょっと、考えてただけ」
気遣わしげな表情に微笑んで応える。嘘ではないのが伝わったのか、その表情は幾分か和らいだ。
「ならよろしいのですが……」
「大丈夫。ありがとう…神琳」
ベッドに腰掛けたままの私を見つめて立っている彼女は、黙ってその綺麗な目をほんの少しだけ揺らす。