短く息を吐いて手を離す。
　目を閉じて、今度は深呼吸を一つ。その間に足音が近付いてくる。真横に気配を感じて目を向けるとアルバートが腰を屈めて覗き込んでいた。
「お疲れ様です」
　すぐ目の前にある顔がいつものように微笑んでいたから。
「……お疲れ様」
　いつものように、頬にキスをした。
―……あれ―
　丸まっていく空色の瞳を見ながら首を傾げる。
―いつもと反応が違……―
　そこではたと気付く。
　自分は今何から手を離した？
　恐る恐る視線を戻せば、当然そこにはさっきまで握っていたミレニアムの操縦桿がある。
　つまりここは自分の部屋でもアルバートの部屋でも二人きりのシュミレータールームでもなく……任務完了直後のブリッジだ。

DX3セッションログGMとPLPC紹介
GM：今回GM＆シナリオを書いてくださった方。とても感謝！！
PL①/片桐 ゆあん：TRPG歴１年未満の初心者さん。
PL②/萬 紅：ベテランTRPGプレイヤー。普段はオフなので、テキセはほぼ初めて。
PL③/狼人：TRPGは動画からの歴は浅めプレイヤー。普段はボイセなので、テキセはほぼ初めて。
PL④/有原 颯斗：ことの。頑張りました。
※狼人支部長の下に片桐ゆあん＆萬紅がおり、その支部に派遣されてきたのが有原颯斗という流れです。颯斗はある意味傍観者枠。



GM：―オープニングフェイズ―



【雑談】
片桐ゆあん：出たな！ディアちゃんぽい人！
萬　紅：テキチャに慣れてなくて、めっちゃ喋ってしまいそうだ…！ww

彗星とグミキャンディ　年季が入った天井に並ぶＬＥＤが眩しい。
　公共放送、番組制作部第二センター付近の廊下。慌しく人が行きかうことが多い場所であるが、何故か奇妙なほど人影が無い。
　こうしてみると異世界に迷い込んだみたいだな、と月並みな感想を抱きながら進み、曲がり角でふと立ち止まる。
　なんだろう。この先に進むと面倒なことに巻き込まれそうな予感がする。
　けれどこの先に進まなければ「急ぎではないが番組制作部の課長に渡してくれ」と預かった紙袋を半日以上はもてあます羽目になる。それは避けたい。
　仕方がないか、と足を進め、そして僕はこの選択を若干後悔した。
　少し先に見えたのはピンと伸びた背中。きれいに結い上げた艶のある黒髪、上品なパンツスーツ。アナウンス部の女性だ。