Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    オーガスト

    なかた

    MOURNINGオーガストとエイプリル君は嘘つきで隠しごとが上手だけど、僕の方がずるいから目の下に隈があることに気づいてからもう三日は見て見ぬふりを続けている。
    「オーガスト。俺の話聞いてたか?」
    「えーっと」
    「どこで誰が聞いてるかわからないんだ。任務に関することを何度も言わせないでくれ」
    「ごめんね。それよりエイプリル、何日もう眠れてないの?」
    大人になるにつれて君はかわいげがなくなっていったけど、ふいをつかれた時に見せる驚いた時の表情なんかはあの頃の面影がある。
    「今度の任務に支障はない」
    「そうかもしれないけど。そうだこれ、よく眠れる薬だから」
    「これ、ただの菓子だろ。それに甘いものは好きじゃない」
    「まあ、そうなんだけど。薬だって思ったら効くかもしれないよ」
    「俺はそんなに単純じゃない」
    「そうだろうね。だから夜になるとゴチャゴチャ余計なことを考えて眠れなくなるんだ。もっと楽しいことを考えようよ。例えば明日の朝ごはんとか」
    「明日はオーガストが食事当番だからこげた料理が出てくるんだろうな」
    「僕としては明日こそ成功させるつもりなんだけど……うん、こんな調子で楽しいことを考えよう。難しいことを考えるのは僕の役目だ」 652