ナポリ
吾六吉
ArtSummary2022ナポリの男たち年末ヒットソングメドレー2021
2021のネオアームストロングボジョレーヒットソングヌーボーサイクロンジェットアームストロング砲完成度たけえなオイ????
つらい時に聴くと秒で元気になれるし、心身にガッツリ効いてる……これが介護疲れに効く男たちの歌……!
年々歌唱力表現力が右肩上がりのうなぎ登りでそのうちヒットソングメドレーアルバムリリースされるのでは???買います
CreamcheeseXxx
MOURNING蘭たん誕生絵の文字無し&一部トリミング画像です。ナポリの誕生絵は必ず他メンバーも入れる、という自分ルールに則って描いてきましたので三人もちっちゃくいます。
あと背面上部のブーケの左右にコーヒーの花を入れました。
今回はあんまりガッツリ加工とかしてないけど一応小ネタ入れてありますよということで。 3
kidatoshiwo
DONE3日まではハロウィン!という事でハロウィンコス見てみたいという個人的野望を自家製産。蘭たんはカボチャ頭だといつもと一緒じゃんという事であえての悪魔。そして吸血鬼hacchiの違和感の無さよ…tsk_002
SPOILER⚠️ネタバレ・捏造(過去、七浦の容姿など)⚠️下山できなくてらくがきしていた中から八木山先生と七浦関連まとめ。
好き勝手描いてるのでなんでも許せる方向けです。
12枚目タルチョの絵は七浦が撮影してたらいいなあという妄想と願望。 19
@looksick
SPOILER抗う者達⑪の続き。お読みくださり、ありがとうございました!
抗う者達⑫「そういえば結局あれって誰だったんだろうねー」
おもむろにえべたんが言う。
「シウミの場所を指差していたっていう影か?」
コージーが問うた。
「そうそう。それがあったから、ウチ等も懸垂下降の準備してたわけだし」
それが功を奏して八木山の危機を救い、速やかに洞へと入ることができたのだ。
「ヤギヤマの親友ではなかったんだろう?」
「うん。写真も見せてもらったけど違った。第一次登山隊でもなかった」
「俺も他に思い当たる節はないしなぁ」
首をかしげる八木山。
「っていうか、そもそもあの七浦の夢な、罠だったんじゃないかと思ってるんだ」
とたんにべたんが批難する。
「え、なんでー! 七浦サン可哀想じゃん!」
「いや、考えてもみろ、狂気山脈だぞ? あれは志海を餌にして俺をおびき寄せようとしてたんじゃないかと思うんだ」
3083おもむろにえべたんが言う。
「シウミの場所を指差していたっていう影か?」
コージーが問うた。
「そうそう。それがあったから、ウチ等も懸垂下降の準備してたわけだし」
それが功を奏して八木山の危機を救い、速やかに洞へと入ることができたのだ。
「ヤギヤマの親友ではなかったんだろう?」
「うん。写真も見せてもらったけど違った。第一次登山隊でもなかった」
「俺も他に思い当たる節はないしなぁ」
首をかしげる八木山。
「っていうか、そもそもあの七浦の夢な、罠だったんじゃないかと思ってるんだ」
とたんにべたんが批難する。
「え、なんでー! 七浦サン可哀想じゃん!」
「いや、考えてもみろ、狂気山脈だぞ? あれは志海を餌にして俺をおびき寄せようとしてたんじゃないかと思うんだ」
@looksick
SPOILER抗う者達⑩の続き。抗う者達⑪ ──現在地、日本百名山の一つに名を連ねる某山山頂。
天候は快晴無風だ。格好のトレッキング日和だった。
山からの景色はとてものどかで、少し冷えた空気も山登りで温まった体に心地好い。
とても平和な登山だった。ハンデがあるにしても、志海にはとてもぬるい登山であった。
「梓ちゃんとK2さんも来れば良かったのになぁ」
えべたんがぼやく。もう何度目だろうか。いい加減諦めればいいのに、うるさいなぁ。
「仕方ないだろうが。穂高は仕事だし、K2は同じ時期に他の山登る予定だったって言ってただろう」
コージーがわずらわしそうに返す。……コージー。志海はやっとこの金髪の青年の名前を覚えた。
「今頃エベレストかぁ。療養から復帰して、もうエベレストとか凄いよねぇ」
6832天候は快晴無風だ。格好のトレッキング日和だった。
山からの景色はとてものどかで、少し冷えた空気も山登りで温まった体に心地好い。
とても平和な登山だった。ハンデがあるにしても、志海にはとてもぬるい登山であった。
「梓ちゃんとK2さんも来れば良かったのになぁ」
えべたんがぼやく。もう何度目だろうか。いい加減諦めればいいのに、うるさいなぁ。
「仕方ないだろうが。穂高は仕事だし、K2は同じ時期に他の山登る予定だったって言ってただろう」
コージーがわずらわしそうに返す。……コージー。志海はやっとこの金髪の青年の名前を覚えた。
「今頃エベレストかぁ。療養から復帰して、もうエベレストとか凄いよねぇ」
@looksick
SPOILER抗う者達⑨の続き。抗う者達⑩ 目を覚ますと、ライトグリーンのぼやけた天井が志海の視界に映し出された。
天井だ。眼鏡がないのではっきりとは見えないが、間違いなく天井である。
灰色の空でも、
黒い洞窟でもなく、
屋内の、天井。
「っ……」
ここは、と呟こうとして声が出なかった。まるで喉の壁面がくっついてしまったかのようだ。
周りを見回そうとして、首が満足に動かせないことにも気付く。それどころか、体自体が動かない。錆び付いてしまった機械のように軋む。力が入らない。
目は? 目は動く。まばたきもする。
呼吸もできる。
首。あ、なんとか動きますね。ゆっくりと、少しずつ。
狭い部屋だった。ベッド一つと、椅子と、小さな棚。まるで病院の個室だ。もしかして本当に病院だろうか?
2902天井だ。眼鏡がないのではっきりとは見えないが、間違いなく天井である。
灰色の空でも、
黒い洞窟でもなく、
屋内の、天井。
「っ……」
ここは、と呟こうとして声が出なかった。まるで喉の壁面がくっついてしまったかのようだ。
周りを見回そうとして、首が満足に動かせないことにも気付く。それどころか、体自体が動かない。錆び付いてしまった機械のように軋む。力が入らない。
目は? 目は動く。まばたきもする。
呼吸もできる。
首。あ、なんとか動きますね。ゆっくりと、少しずつ。
狭い部屋だった。ベッド一つと、椅子と、小さな棚。まるで病院の個室だ。もしかして本当に病院だろうか?
@looksick
SPOILER抗う者達⑧の続き。抗う者達⑨ テケリ・リ
テケリ・リ
テケリ・リ テケリ・リ
テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ
テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ
テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ
テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ
4282テケリ・リ
テケリ・リ テケリ・リ
テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ
テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ
テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ
テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ・リ テケリ
@looksick
SPOILER抗う者達⑦の続き。抗う者達⑧ 眠れない時間は、誰もがロクでもないことを考えるものだ。
──もし志海が見つからなくても本当に大丈夫なのか。
口では大丈夫だと答えはしたが……正直なところ、八木山自身にも分からなかった。
だが三人の命を危険にさらし続けるのも不本意で、もし何かあれば睡眠どころの話ではなくなるのは火を見るより明らか。自分のせいで死なせてしまうなんてことになったら、その後悔は間違いなく己を殺すだろう。
そんな八木山にとって、えべたんの提案は渡りに船であった。
同時に、そう考えた自分に対して怒りが湧く。
えべたんの果敢な意欲は自発的なもの、ということになるからだ。何かあった時に、自分は止めたがえべたんが望んだ、なんて話では、責任逃れも甚だしいではないか。
5914──もし志海が見つからなくても本当に大丈夫なのか。
口では大丈夫だと答えはしたが……正直なところ、八木山自身にも分からなかった。
だが三人の命を危険にさらし続けるのも不本意で、もし何かあれば睡眠どころの話ではなくなるのは火を見るより明らか。自分のせいで死なせてしまうなんてことになったら、その後悔は間違いなく己を殺すだろう。
そんな八木山にとって、えべたんの提案は渡りに船であった。
同時に、そう考えた自分に対して怒りが湧く。
えべたんの果敢な意欲は自発的なもの、ということになるからだ。何かあった時に、自分は止めたがえべたんが望んだ、なんて話では、責任逃れも甚だしいではないか。
@looksick
SPOILER抗う者達⑥の続き。抗う者達⑦ ──だというのに。
何かが、何かがそびえ立っている。
「……うげぇ……」
呆然と、えべたんが呟いた。
突風に見舞われ、避けるために入った洞窟の中で、四人はそれを見つけた。
奇妙な生物の化石だった。
身の丈は2.5メートルほどか。
胴体は表面が畝のようになっている樽と表現すればいいか、細い腕が放射状に突き出ており、胴体の頂と底にはコブもしくか球根に見えなくもないものが生えている。
「古代の海底生物みたいな姿だな」
杉山が言う。
「あー、なんかそんな感じに見える。古代生物って大体変なフォルムしてるよね」
納得してうなずくえべたん。
「……本当にそう思うか?」
八木山の言葉に杉山はため息をついた。
「お前はまたそう不安がらせるようなとを言う」
6737何かが、何かがそびえ立っている。
「……うげぇ……」
呆然と、えべたんが呟いた。
突風に見舞われ、避けるために入った洞窟の中で、四人はそれを見つけた。
奇妙な生物の化石だった。
身の丈は2.5メートルほどか。
胴体は表面が畝のようになっている樽と表現すればいいか、細い腕が放射状に突き出ており、胴体の頂と底にはコブもしくか球根に見えなくもないものが生えている。
「古代の海底生物みたいな姿だな」
杉山が言う。
「あー、なんかそんな感じに見える。古代生物って大体変なフォルムしてるよね」
納得してうなずくえべたん。
「……本当にそう思うか?」
八木山の言葉に杉山はため息をついた。
「お前はまたそう不安がらせるようなとを言う」
@looksick
SPOILER抗う者達⑤の続き。抗う者達⑥「あ、そうだ、忘れる前に」
狭い個人用テント内に詰めて腰を下ろした杉山は思い出して言った。
「八木山、すまん」
そして頭を下げる。八木山は首をかしげた。
「何がだ?」
「咄嗟のこととはいえ、お前のことを『ヤギ』と呼んでしまった」
「? それがどうかしたか? 以前からたびたびそう呼んでいただろう」
「いや、まぁ、そうなんだが……しかしあの呼び方は」
七浦が使っていた。杉山はそれを気にして遠慮していたのだ。
苦笑いを浮かべる八木山。
「別に構わない。好きに呼んでくれ」
「だが」
「いいんだ。他でもない俺とお前の仲だろう。今さらだ」
それに、と続ける。
「お陰で自失から立ち直れた。むしろ感謝している。ありがとう」
今度は八木山が頭を下げる。杉山は後ろ頭をかいた。
4304狭い個人用テント内に詰めて腰を下ろした杉山は思い出して言った。
「八木山、すまん」
そして頭を下げる。八木山は首をかしげた。
「何がだ?」
「咄嗟のこととはいえ、お前のことを『ヤギ』と呼んでしまった」
「? それがどうかしたか? 以前からたびたびそう呼んでいただろう」
「いや、まぁ、そうなんだが……しかしあの呼び方は」
七浦が使っていた。杉山はそれを気にして遠慮していたのだ。
苦笑いを浮かべる八木山。
「別に構わない。好きに呼んでくれ」
「だが」
「いいんだ。他でもない俺とお前の仲だろう。今さらだ」
それに、と続ける。
「お陰で自失から立ち直れた。むしろ感謝している。ありがとう」
今度は八木山が頭を下げる。杉山は後ろ頭をかいた。
@looksick
SPOILER抗う者達④の続き。抗う者達⑤ 響き渡る杉山の声。
「ッ!!!」
急激に頭が回り始めた。
支点は? ビレイは? 上手く効いてくれるか?
ビレイが成功すれば腰周りを中心に体に衝撃が来る。
刹那の間にそれらを考え、そして祈った。祈るしかなかった。
えべたん、頼むぞ!
「南無三!!」
舌を噛まないように歯を喰いしばり、来るであろう衝撃に備る。
直後。
「グッ!」
ぐん、と勢いよく腰周りが浮くような衝撃を受け、それに引っ張られるようにして上体と足にしなるような力がかかった。中間支点から振り子のように振られて壁面に右半身が叩きつけられたが、ビレイの衝撃に比べたら些事だ。
そのまま氷の表面に擦られながら、ロープの伸縮性によってバウンドする。そうして何度か弾んだのち、八木山の体は空中で停止した。
5472「ッ!!!」
急激に頭が回り始めた。
支点は? ビレイは? 上手く効いてくれるか?
ビレイが成功すれば腰周りを中心に体に衝撃が来る。
刹那の間にそれらを考え、そして祈った。祈るしかなかった。
えべたん、頼むぞ!
「南無三!!」
舌を噛まないように歯を喰いしばり、来るであろう衝撃に備る。
直後。
「グッ!」
ぐん、と勢いよく腰周りが浮くような衝撃を受け、それに引っ張られるようにして上体と足にしなるような力がかかった。中間支点から振り子のように振られて壁面に右半身が叩きつけられたが、ビレイの衝撃に比べたら些事だ。
そのまま氷の表面に擦られながら、ロープの伸縮性によってバウンドする。そうして何度か弾んだのち、八木山の体は空中で停止した。
@looksick
SPOILER抗う者達③の続き。抗う者達④ 狂気山脈五千メートル──ショゴス乗越。
雪混じりの爆風が一行の歩みを遮らんばかりに吹き荒れる。
今にも滑落を招きそうな勢いに抗いながら、足下を警戒して前に進むのはなかなかに至難だ。たった一歩を押し出すだけでも大変な労力を要するというのに、霧散していきそうな集中力をかき集めて身の安全を確保しなければならない。余計に体力が削がれ、疲弊していく。
ショゴス乗越が狂気山脈第一の難所と言われていたのはそのためだった。
加えて四人は同時に志海を捜さなければならない。なおさら過酷な状況にさらされていた。
「……」
そんな中、穂高がふいに足を止め、息を呑む。
「梓ちゃん、どうかしたー!?」
えべたんが後ろから風にかき消されないよう大声で話しかけながら、前方を覗き込もうとした。穂高はそれを、腕を水平にして遮る。
5279雪混じりの爆風が一行の歩みを遮らんばかりに吹き荒れる。
今にも滑落を招きそうな勢いに抗いながら、足下を警戒して前に進むのはなかなかに至難だ。たった一歩を押し出すだけでも大変な労力を要するというのに、霧散していきそうな集中力をかき集めて身の安全を確保しなければならない。余計に体力が削がれ、疲弊していく。
ショゴス乗越が狂気山脈第一の難所と言われていたのはそのためだった。
加えて四人は同時に志海を捜さなければならない。なおさら過酷な状況にさらされていた。
「……」
そんな中、穂高がふいに足を止め、息を呑む。
「梓ちゃん、どうかしたー!?」
えべたんが後ろから風にかき消されないよう大声で話しかけながら、前方を覗き込もうとした。穂高はそれを、腕を水平にして遮る。
@looksick
SPOILER抗う者達②の続き。抗う者達③ 徹心の言う通り、このタイミングで倒れたのは不幸中の幸いと言えよう。
八木山は自分が思っている以上に焦っているのだと自覚した。このままさらに標高を上げていたら、強制下山の憂き目に遭っていた可能性が大きい。
だから、序盤で気付けたのは幸いなのだ。
「薬効いてきた?」
八木山が双眼鏡で見える範囲を捜索していると、穂高が声をかけてきた。手には温かいコーヒーが入ったカップを持っており、それを差し出される。
「あぁ、頭痛はだいぶ治まってきたよ。ありがとう」
カップを受け取り、少量をすする。熱と蜂蜜の甘さが冷えた体に染み渡り、八木山はほっと息をついた。
「ちゃんと呼吸してる? 捜索に夢中になって浅くなってない?」
4698八木山は自分が思っている以上に焦っているのだと自覚した。このままさらに標高を上げていたら、強制下山の憂き目に遭っていた可能性が大きい。
だから、序盤で気付けたのは幸いなのだ。
「薬効いてきた?」
八木山が双眼鏡で見える範囲を捜索していると、穂高が声をかけてきた。手には温かいコーヒーが入ったカップを持っており、それを差し出される。
「あぁ、頭痛はだいぶ治まってきたよ。ありがとう」
カップを受け取り、少量をすする。熱と蜂蜜の甘さが冷えた体に染み渡り、八木山はほっと息をついた。
「ちゃんと呼吸してる? 捜索に夢中になって浅くなってない?」
@looksick
SPOILER抗う者達①の続き。抗う者達② 闇の中、志海が八木山を振り返った。
「あー、やっぱり戻ってきちゃいましたか……八木山さん」
「志海……」
八木山は痛むように顔を歪ませた。これは夢だ。奴は本物ではない。それを理解して気が重くなった。
いったい“何を企んでいる”のか……まったく、タチが悪い。
一方、志海は八木山の気持ちを知った上で無視をして、愉快そうに笑う。
「あはは、待ってたんですよ」
八木山は目を細めた。
「何?」
「八木山先生のこと、待ってたんです」
「お前が俺を待つ、だと?」
いくら夢の産物とはいえ、志海の口から絶対に出てこないであろうセリフに、背筋が粟立つ。
「おかしいですか? はは、おかしいですよね。僕もそう思います。……でもね」
5724「あー、やっぱり戻ってきちゃいましたか……八木山さん」
「志海……」
八木山は痛むように顔を歪ませた。これは夢だ。奴は本物ではない。それを理解して気が重くなった。
いったい“何を企んでいる”のか……まったく、タチが悪い。
一方、志海は八木山の気持ちを知った上で無視をして、愉快そうに笑う。
「あはは、待ってたんですよ」
八木山は目を細めた。
「何?」
「八木山先生のこと、待ってたんです」
「お前が俺を待つ、だと?」
いくら夢の産物とはいえ、志海の口から絶対に出てこないであろうセリフに、背筋が粟立つ。
「おかしいですか? はは、おかしいですよね。僕もそう思います。……でもね」
@looksick
SPOILERナポリ山脈の二次創作です。コンセプトは野暮と蛇足です。
続くよ。長いよ。
抗う者達①※ちょこっとだけ「カエラズノケン~狂気山脈第三次登山隊の顛末~」のネタバレを含みます。
※設定の捏造を多分に含みます。
※展開や描写についての注意書きはしません。なんでも許せる方のみお願いします。
※登山のとの字も知りません。付け焼き刃もできませんでした。
※リアリティを追求したら物語そのものが成り立たなくなると思うので、ファンタジーってことで一つよろしくお願いします。
志海を捜しにいくお話です。
+++
気温マイナス30度。風はさほどではなく、高所登山に慣れた八木山にとって身を縮ませるほどの外気ではない。
しかし彼の心に吹き込む冷気はそれを大きく下回っていた。遥か前方を見上げれば、天を突かんばかりのいくつものピークが視界を鋭利に侵す。
5107※設定の捏造を多分に含みます。
※展開や描写についての注意書きはしません。なんでも許せる方のみお願いします。
※登山のとの字も知りません。付け焼き刃もできませんでした。
※リアリティを追求したら物語そのものが成り立たなくなると思うので、ファンタジーってことで一つよろしくお願いします。
志海を捜しにいくお話です。
+++
気温マイナス30度。風はさほどではなく、高所登山に慣れた八木山にとって身を縮ませるほどの外気ではない。
しかし彼の心に吹き込む冷気はそれを大きく下回っていた。遥か前方を見上げれば、天を突かんばかりのいくつものピークが視界を鋭利に侵す。