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    ペンギン

    g_arowana2

    らくがき「世界ペンギンの日の150時くらいには上がるんじゃなかろうか(誕生祭)」というやけっぱちで着手したのですが、
    書いてみたら、「この話、誕生日一切関係ねぇ」という抜本的解決で事なきを得ました。
    ろぺんだよ

    2週間前に思いついたんで、先週の衝撃展開は何も反映されていません。
     相手の肘を手のひらですっぽり支え、空いている右手で傷痕をぐるりとなぞる。千切れた腕を嗣いだ肉芽は粘菌じみた形で、何に見立てることもできそうだ。
    「……そこにすんの?」
     問いには答えず、ローはもう一度、最初の患者の傷痕をEの刻まれた指で丹念になぞった。

       ◇

     最初はシャチだった。ポーラータングに一人、また一人とクルーが増え始めた頃、あいつの手柄と誕生日が重なった。これなら消えもの以外をくれてやる名分も立つ、と希望を尋ねたら、はしゃぐシャチが強請ってきたのが刺青だったのだ。
     言われてみれば、真皮までとはいえ体に刃物をいれるには違いない。染料に下手な混ぜものがあれば毒物を抱え込むことになる。勢いで墨入れたあんたが言うんスか、と呆れられそうな話ではあったが、そう考えてしまえばそこらの馬の骨に仲間を任せるのはムカついた。
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    Enuuu

    供養狐の雨彦×人魚の玄武
     ※ 人魚の玄武。仲間たち(ペンギン)のために冷たい地域のなんかえらい人間のとこに嫁ぐ。
     ※ 狐の神様もどきの雨彦。倉庫の中で大事に人形みたいに扱われていた玄武を救う。あめひこ狐の一目惚れ。
    波間 扉の向こうが騒がしくなり、誰かの話し声や数人の足音が響く。また面倒が始まったと、水槽の中で身体を横たえていた人魚は目を開いた。
     彼は名前をゲンブと言った。大柄で、澄んだ深い青色の魚の下半身を持つ北の海で生まれた人魚だ。ゲンブは住処の魚が激減したことで仲間たちが痩せていくのを見ていられず、住処での漁を禁止することと引き換えに網元であり豪商の家へ嫁いできた。「嫁いだ」と言っても、人間と人魚の婚姻が対等に受け入れられることはなく、ゲンブは商家の新しい商品として見せ物のように扱われている。
     鍵が回される音がし、ゲンブは身体を起こした。扉が開くのを、疲労感と底の知れない恐怖を押し殺しながら待つ。しかし扉はいつまで経っても開かない。ゲンブは水槽の縁から身を乗り出し、耳を澄ませた。先ほどよりも人数は少なくなったようだが、廊下を歩く足音は聞こえる。ゲンブはしばらく耳を澄ませ、どうやら客人が来たわけではないと息を吐いた。
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