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    ラキ

    esukiyu3

    PROGRESS7月マ!5発行予定の、モブ視点全年齢の書き下ろし部分の草案です(大幅に加筆修正あるはず)。
    タイトル『名前のない僕はいない』全年齢
    マロでお題くださった方、ありがとうございますね! 
    再録予定は↓
    ・縁の器/僕の強運/キラキラの一等星/僕の作り手/ヒガン
    で多分200p前後です。各話の間に、狂児さんの家の鏡に住む幽霊視点の話が挟みこみます。
    名前のない僕はいない「へー、こんな億ションでも首吊る馬鹿がおるんか~」
     人の声がする。随分艶のある男の声だ。オートロックの玄関がカードキーで開いたと同時に聞こえてきたので、随分五月蠅い住人が来たな、と僕は思った。
    「でも、どこで吊ったん? 随分綺麗みたいやけど」
     ドカドカと足音がこちらへやってくる。この部屋の間取りは高級マンションなだけあって、無駄に広い。玄関から入って、リビング、キッチンなどを通り抜けて、このサニタリールームに入ってくると、鏡に映しだされたのは随分顔の濃い色男だった。
     年の頃は三十代くらいか。意志の強そうな眉に、いちいち目鼻立ちの主張が激しい顔。だが、それらが綺麗に配置されているので、ハッと人の目を惹くような若い男がそこにはいた。
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    I__B_gno

    DONE私の3周目(英語版では1周目)のノマエン以降のレムラキこうなったよ小説です。
    ・過去も未来も捏造もりもり
    ・英語版準拠なので違和感あるところもあるかもですが「この宇宙はそうなんだな」で流してもらえると
    ・ほぼ無意識かつレ→(←ラ)なレムラキ未満
    R 自分はここでも運が悪いのか。レムナンはその船団に入国した瞬間にそう予感していた。
     深宇宙での探査が一区切りついたのもあり、レムナンが補給のために近くの惑星を検索したのは、つい数日前だ。ヒットしたのは「グリーゼ移動船団」という、聞き覚えのない星系だった。おそらく、船団の航路がこの近辺を通っていたことで「近隣惑星」としてサーチされたのだろう。そのまま、そのグリーゼについての詳細をディスプレイに映す。星間航行船の一時的な滞在許可あり、ただし居住区との往来は原則不可、フードプリンター用食材等の購買施設や短期的な宿泊施設あり、治安良好、直近数十年における軍介入のある事件・事故の記録なし。そこまで確認して、ふう、と息を吐いた。ひとまず、自分の目的はこの星でも果たせそうだ。観光に行くわけでも、国民の誰かに用事があるわけでもない。船のメンテナンスを考えると最低でもひと晩は滞在しなければならないが、その1日だけ滞在できれば何の問題もない。用事を済ませたらまた深宇宙に戻ろう。そこまで考えて、レムナンは航路決定のウィンドウを表示した。
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    hashi22202

    MOURNINGほんのりオカルトにありそうな「時空の食い違いで死んだはずの人に会う話」で、戦前のトラキア王と戦後の息子さんがなんでか出会う話。同じ話なんですが、前半は息子さん視点で、後半はお父さん視点です。ほんのりアリ→アル
    (779年)
     朝、執務室の扉を開けたら、いないはずの父がいた。
     ”父”は相変わらず顰めっ面をして書類を読んでいたが、ふと顔を上げて、
    「なんだ、おまえか」
     と、ぼそりと言った。どう返していいかわからなかったので、
    「はい、私です」
     と、つい間抜けなことを言うと、そうか、とだけ言われた。”父”はしばらく目の間を揉んでから、少しばかりこちらの顔を眺めていたが、やがて書類に視線を戻した。あまりにも日常的な動作であったから、アリオーンには何も訊けなかった。そうして息子の見ている先で、”父”は長々とため息をついた。
    「相変わらず勝手を言う」
     まったくあの馬鹿は。そう言って”父”は、書類に署名をしたためた。それから、もう一度、やはり深々と息をついた。そうしてため息混じりに、いくつかの決裁を片付けていった。その苦り切った様子が、アリオーンにはめずらしかった。その”父”の、奇妙に悄然とした姿は、あのときのことを思い出させた。
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