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    事故

    井幸ミキ

    DOODLE昨日参加したヴィク勇版ワンドロワンライ。
    1時間で書けるところまで書いたものの、もうちょっと書きたくなって、書き足し!!
    ヴィさんの愛が重い感じを出してワンライしましたが、勇利くんも同じくらい重いんだーっていうのを、回りくどく書きたく…

    世界情勢を取り入れております。
    事故は飛行機事故のつもりで…。
    天使も悪魔も 僕の名前は勝生勇利。
    日々迷える魂を還る場所へ導いてるよ。
    実感はないんだけど、多分、僕は、地上に生きる人々からは『天使』と呼ばれる存在だと思う。

    かく言う僕も迷える魂だった。
    地球での生を終えて、とある理由で魂の還る場所へ戻れなくて、どうしたらいいだろうと迷っていたんだ。

    迷える魂っていうのは、生きている間に生じた未練や業によって、本来魂の進むべき道からはぐれてしまった魂のことを言うんだけど。

    僕は、少し違う。

    僕は…未練がないかと言えば嘘になるけど、道に迷うほどではなかった。
    誰だって、大なり小なり未練や後悔があると思うけど、肉体を脱ぎ捨てる時、それらは生きている時ほどの重さを持たなくなる。あぁ、ああすればよかったな、こうすればよかったな、程度で、それじゃあ、次の生でチャレンジしようってなるんだ。
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    南に北上

    DOODLE弟が事故でも何でも、死ぬ時に兄の記憶は戻る。
    その時まで記憶は戻らない。

    弟は何度も世界線を生きていたけどどの世界でも寿命迄兄弟が揃っていることはなく、また兄の平穏もそのせいで無かった為今世の穏やかに安堵している。思い出して貰えないことは少し寂しいけどそれまでの記憶が戻り苦しむ兄は見たくない。
    どうにもなれない兄弟「そうさなぁ…」

    ドア一枚隔てた先でクラスメイトに囲まれ頭を悩ませる肉親がいる。

    「“ 前 ”に酷い別れ方しちまったから、罰なんだろうなぁと思うよ」

    なんでもないような顔で笑って言いたい事を全て丸め、嚥下して心配そうに覗き込むクラスメイトの頭を優しく撫でた。

    「その時にな、酷い言い方もしちまったから。」

    「でもだからってお前がそんなに無理する事はないじゃないか」

    ず…と短く鼻を啜った少年は多分、泣いている。
    肉親に撫でられながら俯き泣いている。

    「ね、もう諦めちゃったの…?御兄弟が“ 前 ”を思い出すこと」

    「そうだな。…今世こそ穏やかに、幸せになって欲しいから、もう思い出して欲しくないな。」

    眉を八の字に下げて水膜をきらりと輝く瞳に張る少女に困ったように笑いかけて小さく「ありがとう」と謝礼を口から転がす。
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