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    陽炎@ポイピク

    DONE #プロペシ版ワンドロ・ワンライ
    お題『キセキ』
    月祈(きせき)は神仏に祈る事
    街中で鮮やかな色の糸を見た。
    糸を辿ろうと其れに触れた途端消えた。
    男は直感した。あの糸はスタンド能力だと。
    男は何日間もあの糸が再び現れるのを待った。
    どうして組織の把握していないスタンド使いが居る?
    パッショーネに所属していないスタンド使いが居るとするならば、ポルポの試験で矢に刺される事の無かった天性のスタンド能力者という事になる。
    きらりと光る針先が通りの遠くの方へ進んでいくのを目撃した男は糸の紡ぐ軌跡を追うように辿った。
    その釣り針は観光客の懐へと潜り込むとあっという間に財布だけを掠め取った。男は釣り上げられた財布と並走した。
    正確には糸を引いている主の元へ辿り着く為に。
    「あっ……」
    釣竿を手にしている少年はボロボロの布切れを身に纏い身体中が痣だらけであった。
    弾かれたように逃げようとしたものだから男は咄嗟に釣り糸を掴んだ。掌の中に食い込む針の痛みに構わず男は唇を開いた。
    「――お前、家族は」
    少年は怯えたように頭を横に振った。声が出ないのか、それとも出せないのか。それでもスタンド能力を解除しようとはしない。男はぞくりとした。腕を這い上がっていく釣り針と糸の感覚。この少年はオ 1665

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    MAIKING仏゛部のふたりが仲良くなるまでの話②
    気まぐれに続きます
    陸に上がって初めてできた先輩は、何かと人の正気を疑ってくる失礼な男だった。
    陸の礼儀に則って完璧な挨拶をしてみせたというのに、衣服を深く被って視線を逸らす。その隙間から覗く黄金色の細い瞳と、青く揺れる髪が印象的だった。
    ああ、陸にはこんなものもあるのかと。
    共に海からやってきた双子も同じ色の瞳を持っているが、彼の黄金はどこか陰がさしていて、ただ輝くだけではなかった。どちらかと言えばその反対で、薄暗く見えるのに時折、ひらりと光を反射して瞬く。ほとんどが暗闇に包まれた海の底とは違って、地上は光に溢れていた。沈みゆく茜色の太陽に照らされて、その黄金色と、淡く揺れる青がきらきらと。
    彼の髪が「炎」というものだと知ったのは、後になってからだった。

    「シュラウド先輩。おはようございます」
    「……おはよう。きみ今日もいるの」
    「先輩だって来てるじゃないですか」

    入部した日から三日、アズールは放課後になるとボードゲーム部の部室へと足を運んでいた。
    散々こけにされたチェスの腕を磨きたかったのもあるし、彼の言う「他のゲーム」にも関心があった。部室には海の中で学んだものとは桁違いの数のゲームがあって、そ 2184

    Cornet_twst

    MAIKINGいずれ💀🐙になる仏゛部のふたりが仲良くなるまでの話①
    気長に続きも書けたらなと思います。
    ボードゲーム部は、文化部の中でも地味で大人しい部活である。
    軽音楽部のようにウェイな陽キャが新入生歓迎会で壇上からダイブすることもないし、サイエンス部のように変人が集って料理をしたり演劇の手伝いをしたりすることもない。所属するのはただゲームが好きなだけの目立たない生徒ばかりで、端から活動自体があまり活発とは言えないし、参加も自由だから所属してるだけの者も多い。一応新歓期間ということで活動日を増やしているこの一週間だって、部室にやって来てるのは精々四、五人だ。
    それでも平時に比べれば多い方だ。いつもは一人か二人、多くて三人。対戦相手がろくろくいないから来る者も減るという、分かりやすい悪循環である。
    もっとも、そんな所もイデア・シュラウドは気に入っていた。
    一人でひっそりと過ごしていたいイデアにとって、いつ来てもほとんど人のいない部室は貴重な安全圏だ。どうしても校舎に来る必要があるとき、あるいはデジタルではなく直接駒に触れてゲームをプレイしたいとき。イデアはこの人気のない部室の片隅で、一人盤面と向き合う。
    だから、まあ、この時期にやって来たのはイデアにとって失敗だった。
    いつもより人が多い 5310