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    奇跡

    のくたの諸々倉庫

    DONEいずれ永遠へとつながる奇跡/鍾タル人というものは不変の日常に、「いつもと同じ」であることに安堵しながらも、望む以上を与えられれば絶望する生き物だと聞いた。
    「おはよう先生、元気してる?」
    「……ああ、公子殿か。そうだな、健康状態が良好かどうか……という意味でなら、おそらく元気であるだろうよ」
    「はは、どうしたのその言い方。まるで心は元気じゃない、みたいに言ってるように聞こえるけど」
     俺の部屋を訪ねるなり、ソファにどっかりと腰を下ろした公子殿。人好きのする笑顔を浮かべ、けれど深海のように濁る瞳で──しばし思案の海に沈む俺を、「先生?」と不思議そうに呼んだ。
    「どうしたのさ、本当は体調悪いんじゃないの?」
    「……お前たちが異常だと、病的だと呼ぶ事柄について……少し考えを巡らせていた」
    「へえ、例えば?」
    「例えば……そうだな、公子殿はもし今この瞬間から、その身が不老の存在になったとしたならばどうする?」
    「難しい質問だねえ……まあそれが誰に言われたか、どんな瞬間にどのように言われたかでも信じるか信じないかは変わるね。不老かどうかなんてさ、そこそこ時間が経たないと分からないだろうし……というかそこ、不死はつけなくていいの? 1804

    XMASOG

    DOODLEお題ガチャ「大事故に遭ったものの奇跡的に軽傷で済んだわしが、セックスのやり方についての記憶“だけ”喪失していると発覚した」「……んぅ…」
    どこやここ。薬品の匂いがする。調合の途中で寝てしもたんやろか?
    「こはくっち! よかったァ、目が覚めて」
    「こはくちゃん心配したぜ…猫助けるためにあんなでかい木登ってよぉ…」
    「……。」
    「どうしたんだよこはくちゃん。まさか俺っちのことがわかんねーとか言い出すんじゃねぇだろうな? 俺はともかく、藍ちゃんのことは――」
    「こはくっち、おれたちのことわかる?」
    「……燐音はんと、ラブはん」

    どうやらわしは、事故にあったらしい。小さい猫はんが中庭の高い木に登って降りることができなくなっていたのを助けに行ったんやけど、天辺近くで猛烈な風が吹いてそのまま落ちてしまった。
    幸い、猫はんにもわしにも大きな怪我はないという。
    燐音はんはわしの具合をCrazy:Bのみんなに報告するために先に星奏館に帰ってしまった。病室はわしとラブはんの二人きりになった。
    「無事で本当によかったよォ〜…」
    「心配かけてえろうすんまへん。木登りには自信あったんやけどなぁ」
    「あんな風、いくら鍛えてても無理だよォ! もうすっっごい突風だったんだから」
    と言うラブはんの目元は赤い。
    「目ぇ赤くなっとる」
    「… 1998