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    幻想

    absdrac1

    MOURNING単に文章が書きたいだけの理由で書いた、目的も主題もなく下らない落書き。
    明確なアウトプットがないと気が済まないので此処で供養します。人が読むような内容ではありません。件のカードの出現が契機になっていますが、一体誰が認めるのやら。
    虹を待つ暇持て余して結露拭く指折り数えた雨の幻想
    大体こう云う話です。
    不遣の雨 窓の結露を指で拭って外を眺める。待ち人は未だ来ない。
     ――こうして待っていても、仕方がないのでしょうか。
     濡れた指先をまだ温かさの残っている手拭きで包んだ。先頃から降り続く晩秋の雨は、徐々に冬を運んでくる。私の居るこの喫茶店の外は、冷たい水の膜で覆われた別の惑星のようだった。
     ――止まないものでしょうか。雨が止まなければ、彼が来られない。
     気分が塞ぎ、それを紛らわそうと短い溜息をわざと吐く。そうして机の上に頬杖を突き、読みかけの本を繙いた。その内容は一人の作家が喫茶店で人を待っているというものであり、現在の私の状況と全く同じであった。
     読み進めるうちに、物語の作家の待ち人が既に亡くなっていることに気付く。この作家は、雨が止んだ後に雲間から青空が見えるのを、即ち、親友の去っていった空が見えるのを待っていたのである。作家の親友が死亡していることは明記されず、喫茶店内での何気ない出来事と、それを見ていた作家の思索が、親友との思い出を絡めて綴られている。
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