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    志郎

    hiko_kougyoku

    DONE若やまささ+弾児郎、源志郎
    「この拳が護るもの」③
    ※弾児郎の物語。
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に書きました。
    ※途中残虐・流血表現あり。
    この拳が護るもの③  4


     鉛のような空気に、有嬪の声が響く。深刻な面持ちで耳を傾ける隊長たちを順に見やった長次郎は、次には元柳斎の向こう隣、先ほどは座る者がいた場所へと視線を移すと、胸の辺りがじんと重くなるのを感じた。
     本日二度目となった全隊長の招集。集まった顔ぶれの中に、しかし先の当事者であったはずの源志郎の姿はない。元柳斎が自室に下がらせたのだ。
     長次郎は虚の襲撃後の源志郎を思い出す。茫然自失として佇んでいた源志郎の手には使われることのなかった斬魄刀が握られ、肝心なところで身が竦んでしまった未熟者を悔やむように、あるいは嘲るように、だらりと下がったまま揺れていた。
     戦う者であれば一度は経験したことのある、〝恐怖〟という洗礼だった。恐怖は常に人間のそばで息を潜めている。そうしていつの間にか背後から両の手を伸ばして目隠しをし、思考も、理性も、努力も、知識も、全てを無へと変貌させる、まさに魔的な存在……。その冷たさに、源志郎は身動きが取れなくなってしまったのだ。
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