いわゆる両思いってやつになって
ほんの少し変化があった
週に三回来てくれるようになったのだ


「あれ？どうしたの？忘れ物した？」

「…週一回じゃ足りなくないか？」

毎日だっていいと言ったら

「それじゃ帰りたくなくなっちまう」

と返されて倒れなかった僕を誰か褒めて欲しい
何かの拍子にさらっと

「愛してるぜ　ダーリン」

とか言ってくるし正直心臓によくない
ただでさえ！顔が！！いいのに！！！
彼氏がかっこよすぎて倒れそうですマジで。



「ゔ〜〜〜〜〜〜〜〜」

「腹でも痛いのか？」

「違いますよ　ライトさんが来てくれる回数が増えたじゃないですか
すごく嬉しいんですけど　なんか僕ばっかり
ドキドキしてる感じがして
ちょっと悔しいなって」

「俺が平気そうに見えるなら聞いてみろ」

今日の月　綺麗ですね

—俺　死んでもいいぜ、って返すんだったか？

旧文明の話なんて　よく知ってますね

こんな月夜にあんたと飛び降りるのも悪くないな

嫌ですよ　あなたは僕のお葬式に参列して
毎年墓参りもしてくれないと
せいぜい他の誰かと長生きして下さいね

あんたよりいい男なんてどこ探したって居る訳ないだろ

（僕から解放してあげたいのになんで自分から捕まりに来るんだよ）


手が届かないから綺麗なんだよね　お月様は

「週に一回抱かれに来てよ」なんて言ってみたものの
契約書も罰金もない口約束で本当に来てくれる保証なんて
ライトさんの良心次第なわけで
わりとお人よしな所を利用させてもらう形に
心が痛まなくもないけど
会う機会が増える（しかもおさわりOK）のは
大歓迎なわけで　どうしたもんかな〜
なんてダラダラしてたら
ノックノックにメッセージが入った

『今晩行く。』

ま　じ　す　か
具体的な時間も添えてほしいけど
来てくれるなら問題ないです！
そうだアレ買い溜めしとかなきゃ
スティックシュガーとコーヒーフレッシュ
牛乳の方がいい派だったりして？
あっスキンとローションは確保済みです
ご心配なく


…遅いなあ　メッセ送っても既読付かないし
急な仕事でホロウに入ってるとか？

部屋までノコノコ着いて行った俺が悪いのかも知れないが
たまにプライベートで食事する程度の取引先にそういう目で見られていた事に
押し倒されるまで気付かなかった俺は鈍感なんだろうか

押し倒したのはいいものの　どうしていいかわからないとか言うから
興が乗って教えてやったら
先にイった方が相手に従う賭けが始まり
情けなく初心者にボロ負けした俺は
相手の要求に従い　先日散々啼かされた現場に戻ってきたわけだ


「週一セフレ権？」

「そう　聞いてもらうお願いこれにしようと思って
週に一回抱かれに来てよ」

「週一ペースであんな目に合うのかよ　若いのは元気だな」

「優しくしてほしいなら対応するよ？
言っとくけど自分が不利な方向に煽ってるのライトさん本人だからね」

巳波のおうちのベッドの上。そこに眠るモンはるは真ん丸の毛玉になっていた。
暖房によってある程度の温度に調整されていても、それでも寒いものは寒い。モンはるはさらなるぬくもりを求めてお昼寝用のブランケットの中にもぞもぞと潜っていく。
巳波と悠の優しいにおいのするお布団の中はあったかくて、安心出来る。
まるで二人に撫でられている時のような安心感がそこにはあって、眠るにはうってつけの場所だった。

「はるぅ……」

悠たちが帰ってくるのはまだかな。
モンはるはそんなことを考えながら眠りにつく。
起きたあとは悠たちにたくさん抱っこしてもらおうと考えながら、すやすやと。


+---+---+---+


モンはるが眠ってから少し経った頃。

知れば知るほどライト
現在は郊外のカリュドーンの子所属
通称無敗のチャンピオン
過去に地下闘技場、傭兵の経験あり
傭兵時代にホロウ内で仲間を失っている

ざっと調べて箇条書きで並べた内容をぼんやりと眺める。
郊外の協力者に適していると判断し色々なツテを使い他にも多々調べ上げたがどうにも知れば知るほど好きじゃないタイプだなと悠真は結論づけた。
まぁでも業務上のやり取りの相手に好意は不要、寧ろ絆される可能性が下がって良いだろう。なんて、好いていたって割り切る自分を笑いながら独りごちる。

大切な人を無くして、下を向いて立ち止まって死に焦がれている。

そんな人間がこの世に居ることも理解出来る。ライトの生い立ちも哀れであると言えばそうなのかもしれない。