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    悪夢

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    TRAINING怪我をした狡噛さんとそれ以来悪夢を見るようになった宜野座さんの話。
    一人で乗り越えられるけど一緒にいたいな〜という感じのお話です。
    800文字チャレンジ6日目。
    昨日見た夢(花の銃弾) 夢見が悪くなったのは、狡噛が俺を庇って怪我をした日からだった。怪我自体は大したものではなかった。ただの銃弾のかすり傷だ。だがその場所が問題だった。こめかみ、もう数ミリずれていたら、失明どころか命さえ危うかったところ。狡噛はこんなのは紛争地帯じゃ日常茶飯事だと笑っていた。しかしそんな場所を知らない俺にとっては、やはり恐怖でしかなかった。
     夢の内容は色々だ。狡噛が死んでしまうものが多いが、彼がそもそも俺の人生に存在しなかったものもあった。その世界では俺は無事に監視官を務め上げて厚生省の官僚となっていた。ただ父と和解することは最後までなく、彼は現場で死んでいたが。夢の話は狡噛には話さなかった。ただでさえ縁起が悪いし、それほどまでに弱っていると見られたくなかった。もちろん花城にも話していなかったのだが、彼女はどうしてか目の下にクマを作った俺を呼び出すと、よく眠れるサプリメントよと、私も使っているのと錠剤を渡してくれた。俺は眠るのが怖いんだ、と言った。花城はそれを聞いてこれは重症だといった顔をしたが、それ以上追及しなかった。狡噛と話し合え、ということなのだろう。
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    甘味。/konpeito

    TRAINING本日の800文字チャレンジ
    Ⅱその後/クロ+リン/幸福な悪夢
    「クロウ先輩、卒業おめでとうございます」
     一輪のカーネーションをクロウへ差し出した。ライノの花に似た色の、丁寧にラッピングされているそれは、在校生から卒業生へ感謝の気持ちを伝えるためのものだった。
    「なんか企んでやがるのか」
     一向に受け取る気配のないクロウへカーネーションを押し付ける。ようやく受け取ってくれたそれを検分する彼にため息が出た。
    「そんなんじゃないから」
    「だったらいつも通りにしろよ」
    「でも……」
     言い淀むリィンの肩を叩くクロウは別れを惜しむ涙もなく、普段と全く変わらない。明日から会えないなんて考えもしない振る舞いだった。
    「いいからいいから。それにお前から先輩なんて呼ばれると、こっちの調子が狂うんだよな」
    「分かった。クロウ、卒業おめでとう」
    「おう、あんがとな。トワたちにはもう渡したのか」
    「ああ。先に会えて。クロウは卒業後はジュライへ帰るんだろう。寂しくなるな」
    「男との別れを惜しんだってなんにも出ないんだからな。まあ、俺もお前さんの顔が見れなくなると思うと寂しくなるぜ」
     とん、と彼の大きな手がリィンの頭を撫でた。滲んだ涙をごまかすために瞬きを繰り返す。
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    harurubaru

    MAIKINGラギレオ小説[※何でも許せる方向け。
    [あらすじ]
    恋人が目の前で砂になった日から毎日悪夢を見るラギーが、夢を見なくなるまでの物語。
    序章、起承転結の起。ハッピーエンド。
    夢の見方はアンタが教えた

     「悪い」という判定はおおよそ何かとの比較の上で成立するものであって、単純計算で1826回以上見た悪夢というのは、もはや普通の夢と呼ぶべきではないか。
     目覚めるたびに感じる新鮮な絶望。それさえなければ、夜ごと眼裏で上演される恋人との会話劇を悪夢と名付けたりはしない。累計出演料はいかほどか。むしろ勝手に夢に住み着いたのだから、賃料くらい貰いたいものだと、あくびをした。今日もまた、色濃い不在に彩られた憂鬱な日常が幕を開ける。
     恋人が砂と消え、5年。悪夢はいまだ、覚めない。

     ──これは、ラギー・ブッチが悪夢を見なくなるまでの物語。

    1.
     休日にわざわざ目覚ましをかけ、観光客向けの豪勢なホテルで目覚めるなんて。良く晴れた空とは裏腹、大きな薄曇りの瞳を瞼で半分以上覆いながら、ため息をついた。今しがた夢で別れた恋人に、届かない一言をつぶやく。
    「今日、アンタの葬式なんスよ」

     窓枠に腰を掛け、足まで上げて行儀悪く"パレード"を睥睨する。
    「思った通り、よく見えるなぁ」
     王都の中央通りは観光客向けのホテルが立ち並んでおり、中でも中央通りに面するここは、王宮 6970