Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    殿下

    ichikaobm

    DONE南の島で別荘コーディネートのアルバイトをしてる殿下がルくん(お付き合いしてる)に叱られる話
    楽園【ディアルシ】「何か俺に言うことがあるんじゃないのか?」
     そう言ったルシファーはとても怒っていた。もしも私が人間だったら、きっと畏怖で気絶していたと思う。
    「る、ルシファー……君、そんないつも通りの格好で暑くないのかい? 売店にアロハシャツも売ってるよ……?」
    「俺の服装なんてどうでもいい。今は君の話をしているはずだ」
     一応の気遣いをぴしゃりとはねつけられ、しょぼんと眉毛が下がるのを感じた。
     う、とルシファーは呻いたけれど、詰問を止めるつもりはないようで、腕を組んだまま私をぎろりと見下ろしている。
     ちなみに現在、私はアルバイトの合間、カフェで休憩を取っているところだった。
     黄昏空が見えるテラス席で、スモーク暗黒ガチョウのクロワッサンサンド(ピクルス抜き)を食べるこの時間は、ここ最近の私のお気に入りだ。だから、カフェに来たときは大体これを注文するのだけれど……さっきまでとても美味しく食べていたけれど……音もなく忍び寄ってきたルシファーに詰め寄られている今は……味がちょっとわからないな……。
    3234